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エアコン点検

2023年6月 6日 (火)

隠れた故障

エアコンのランプが点滅して冷えないとの点検依頼をいただきました😊
(川崎市川崎区)

訪問して運転していただくとタイマーランプが点滅。
エアコンのランプが点滅
その点滅回数から室内機と室外機のシリアル通信異常と判明。

室内機が室外機からの信号を受け取れないことを表していました。

室外機の制御基板不良の可能性が高いのですが、このような場合は他にも複数の原因が考えられます。

それを調べるのが点検です。

ということでまずは室外機の端子台のところで調査。
室外機の端子台で点検を行うためカバーを開けた
またまた手抜き工事を発見😆

まずはこれ
電線押さえのバンドの外側を配線している手抜き
ねじ1本外すのも惜しんで電線押さえのバンドの上を配線してますね。

それに加えてケーブルの外装シースを長くむき過ぎているので、たとえバンドを使用しても押さえにはなりません。

そしてその下
電線のバンドに通さず配線している手抜き
こちらもバンドに通していない。

この工事をした人の仕事に対する姿勢が見えますね。

手を抜けるところはすべて抜いてとにかく早く終わらすことだけに執心していることがうかがえます。

なんの仕事でもそうだと思いますが数をこなすことにウエイトを置くとこういうことになります。

おっとそれはさておき点検ですね😅

デジタルとアナログの回路計を使用してシリアル信号を見ますがどうもエアコンの動作がおかしい。

室内機からのシグナルも拾えない。

これはもしかして・・・

エアコンのマイコンをリセットさせて再度運転すると普通に動き出しました。

あれ、直っちゃった?

そのまましばらく調子を観察していると・・・
しばらく運転するとバルブが凍り始めた
バルブが凍り始めました。

お客さんからこのエアコンは長期使用せずにいて久しぶりに運転したらランプが点滅して動かなくなっていたとのこと。

冷媒サイクルが安定するまでの一時的な凍り付きかもしれないのでもう少し様子をみます。

そろそろどうかな?
バルブの凍りつきが増している
増してるよー😆

症状からしてガス(冷媒)漏れの可能性が高いです。

ちなみにバルブが凍るといってもその場所や凍り方によってガス漏れなのか、そのほかの不具合なのか異なります。

凍ったらなんでもガス漏れと思ったらいけません。

エアコン本体も10年超えなのでこの際、買い替えですね。

しかし制御基板不良でなくてよかったです。

もし基板を取り寄せて修理したらガス漏れ発覚となったら目もあてられません。

何年も長期使用していないエアコンはこのように隠れた故障もあり得るのでこわいですね。

今回は不幸中の幸いといったところでしょうか。

そしてこのエアコンの入替工事の依頼を合わせていただきました。
ありがとうございます😄

施工方法等の確認のため室内機の設置状況を調べます。

室内機を浮かせて据付板の取り付け確認
室内機の設置状況確認
据付板は公団ボルトで固定されてます。

電源コードが据付板と室内機の間に挟まってました。
電源コードが据付板と室内機の間に挟まっていた
これもだめな施工。

コードが傷んだり、室内機背面は結露水が流れるため伝って水漏れしたりします。

こういう施工が多いため現在の据付工事説明書には手取り足取り、これでもかというほど細かく施工方法が書かれています。

エアコン工事はちゃんとやろうとすると時間が掛かるものなんです。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

2023年5月31日 (水)

エアコンの効きがよくない

エアコンの効きが悪く、室外機が狭所に設置されているのでそれが原因であれば移動をしたいとのお問い合わせをいただきました😊
(場所は東京都狛江市、当店はじめてご利用のお客さん宅)

まずは点検を行うことになり訪問しました。

室外機はバルコニーに設置されています。
室外機はバルコニーに設置されている
室外機の上にあるのはこちらで持ち込んだガス漏れ検知器、リークディテクターです。

たしかに室外機は3方を囲まれて多少の効率低下はあると思います。

手前には風向調整板が置かれていました。
室外機の手前に風向調整板が置かれている
お客さん自身でいろいろ試したことがわかります。

ただ、設置されている部屋は寝室ということもあり、この程度で効率低下を感じ取ることはあまりないでしょう。

お客さんの話では10年ほど前に設置して効きの低下を感じたのは2年前。

やはり本体側の不具合とみるのが妥当でしょう。

この場合、一番に疑うのはガス(冷媒)漏れ。

ということで先ほど室外機の上に置いていたリークディテクターで室内機を入念にチェック。
室内機をリークディテクターでチェック
ガス漏れといえば室内機の熱交換器からというのが現在では多くなっています。

しかし漏れの反応はありません。

うーん、ガス漏れではないのか🤔

室外機の接続部には漏れはないし・・・

この段階で冷房運転して温度測定。
吸い込み、吹き出し温度が同じで冷房は効いていない
吸い込みも吹き出しも21℃で冷房は効いていません。

作業車からゲージマニホールドを持ってきて圧力を見ます。

停止時
エアコン停止時の圧力が低い
1.1MPaと気温に対してかなり低い。

ガス漏れは間違いないようです。

冷房運転時(低圧)は
冷房運転時の低圧圧力が低い
こちらもかなり低め。

運転停止後、リークディテクターで再度室内機を調べましたが漏れはなし。

ここで可能性はかなり低めですが室外機の外板を外し内部の部品を調べます。
室外機内部の部品を調べるため外板を外した

テスター(回路計)でチェックしました。
テスター(回路計)で室外機内部の部品をチェック
故障はありません。

やっぱりガス漏れですね。

残るは室内機とパイプのジョイント不良。

しかしガス漏れの速度や時期からしてジョイントの可能性は低い。

そう思いながらも調べます😅
室内機とパイプの接続部漏れをチェックするため配管化粧カバーを開けた
そのため配管化粧カバーを開けました。

あぁ、そういうことか・・・
冷媒管の断熱材がささくれている
冷媒管の断熱材がささくれてますね。

これどういうことかというと・・・

エアコンを設置するにあたり室内機とパイプのジョイントが壁の配管穴の中になってしまったため、パイプを接続してから室内機を引っ掛けたという形跡です。

パイプが穴を通過する際、周囲に引っ掛かってささくれたもので、それをテーピングせずそのまま放置されてました。

ジョイントが穴の中では修理をするにしても一度室内機を外さなければできません。

エアコンの使用年数からあまり修理金額が高くなるのであれば買い替えたほうが賢明ですね。

ガス漏れチェックは途中の断熱を切って行いましたが、ここも漏れはありませんでした。

たまにあるんですよねー、どこから漏れているかわからないというのが😞

でもやっぱり室内機があやしい・・・

こんどは暖房運転を行い管内を高圧にしてリークディテクターでチェック。

運転中に調べましたが漏れ反応はありません。

停止して調べるとしばらくして微かに反応が・・・1つだけシグナルが出た😲

おー、きたか?

その後ゆっくり漏れのシグナルが2つ、3つと大きくなり
やっとガス漏れ反応が出た
最後はフルまで達しました。

やれやれ、やっと出ました漏れ反応。

ずいぶん遠回りになりましたが😅

ディテクターのセンシビティはハイ、オートアジャストはオフでもなんとか検知できる漏れレベル(かなりのチョロ漏れリーク)でした。

たぶん2年前どころかその数年前から漏れ始めていたのではないかと思います。

これでだめなら室内機にごみ袋でもかけて調べようかと思いましたがそのまえに終了。

結局、室内機の熱交換器からの漏れでしたね。

修理?・・・しませんよ。

熱交換器からのガス漏れは溶接修理ができないので部品そっくり交換になります。

部品代や工賃、冷媒チャージなどをすると高額過ぎてエアコンを買い替えたほうがいいですからね。

使用年数からも今後基板など他の部分が故障して部品が入手できず修理不能となるのでこの時点での高額修理は禁物です。

これからの季節、冷房をかけてみたら”あれ?効かない”というのが多発します。

それは室内熱交換器からのガス漏れかもしれません。

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2023年5月 7日 (日)

冷えないエアコンを点検

13年前に設置された2台のエアコン点検の依頼をいただきました😊

場所は東京都内の一戸建てで、他の業者さん(ハウスメーカー)で新築時に取り付けられたものだそうです。

こちらのお客さんは16年ほど前にも点検を行ったことがあり「是非また点検を」との連絡をいただき訪問しました。

まずは1台目
冷えないエアコンを点検する
リビングに取り付けられた冷房能力4.0kW(14畳用)のエアコンです。

数年前から徐々に冷えなくなってきて去年はまったく効かなくなっていたとのこと。

この症状から考えられるのは冷媒漏れ。

その場合、どこから漏れているのかはだいたい見当がついています。

エアコンを運転する前に調べてしまいます。

このようなリークディテクタ(ガス漏れ検知器)を使用。
冷媒用リークディテクタ(ガス漏れ検知器)
当店ではこの2台を主に使用してますが、センサーに赤外線式と半導体式があります。

今回は半導体式センサーのほうで一番あやしい室内機を調査するとさっそく「ピピピピピ・・・」と漏れ反応。

点検開始後3分程度で判明しました。

室内機内部の熱交換器(車のラジエターのように見える部分)から漏れています。

漏れ始めて数年経ってもまだ冷媒が残っていて微量に漏れ続けています。
(使用しているリークディテクタは年間数グラムの漏れを検知できる能力があります)

しかし熱交換器での冷媒漏れは高額修理になることと、使用年数からエアコンを買い替えする運びとなりました。

室内機とつながるパイプが隠蔽配管(壁や天井などのなかに埋め込まれているタイプ)のためこちらを建築販売したハウスメーカーに工事を依頼されるようお勧めしました。

2台目
とくに不具合のないエアコンを点検する
冷房能力2.5kW(8畳用)です。

こちらはとくに不具合はないということですが、使用頻度が高いため夏に備え効き具合に異常がないか点検をとのことです。

リークディテクタで冷媒の漏れ反応を点検しましたがまったく反応はなく大丈夫です。

この日の気温から暖房で運転し温度測定をしましたがそちらも問題なし。

まだ使えそうですね。

点検はこれで終了😊

隠蔽配管は業者により施工方法がまちまちであったり、万一隠蔽部で不具合があったりすると大変です。

なのでエアコンを入れ替える場合でも隠蔽配管した業者などに責任をもって最後まで面倒を見てもらうのがよいでしょう。

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2023年4月 7日 (金)

室内機を設置した壁にヒビが😱

室内機を設置した壁にヒビが入り始め、このままでははがれて落ちるのではないかと点検の依頼をいただきました😊
(横浜市中区のマンション)

さて現地に到着して点検を開始します。
室内機周囲の壁にヒビが入り始めた
取り付けたのは当店ではなくどこかの業者さん。

本体左側の壁には天井から梁下付近までヒビが
本体の左側には天井から梁下付近までヒビ

そして右側にも
本体右側の壁にもヒビが入っている
コンセントとの間に同じようにヒビがあります。

もしかするとこの壁(梁型)がはがれて室内機が落下するかもしれませんね🤔

壁をコンコンと叩くと内部は金属の骨組みになっているようでそこへボードが固定されています。

磁石を使ってボードを固定しているねじを探ると
磁石を使ってボードを固定しているねじを探す
ちょうどヒビの右側にあります。

ヒビのあるところはボードとボードの境目で、裏には下地の金属スタッドがあります。

なのでヒビの左にもねじがあります。
23040717

その後、ボードを調べるとエアコンのついている部分は補強として木の合板が貼られていることが判明しました。
室内機の付けられている壁は木の合板が貼られている
ヒビを境に左が石膏ボード、右が合板。

これならエアコンが落下する心配はなさそうです。

ヒビが入った原因は室内機の重さによるものではなく、合板の伸縮変形により起きたものと推測されます。

ということで危険はないと判断し点検完了となりました😄

マンションの場合はエアコン用に壁の補強があったとしても、骨組み(下地)にそれほどの強度がないことが多いので質量の大きい機種は避けたほうがよいでしょう。

一流のエアコンメーカーが造って販売しているものだから大丈夫でしょ、などと思っていると痛い目にあいますよ。

省エネ性能や高機能など売れる(?)商品を造ることが目的なので建物のことまで考えてくれてはいませんから。

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2023年3月 8日 (水)

室内機の背面に隙間が・・・

室内機と壁の間に隙間ができてきた、との点検依頼をいただきました😊

場所は横浜市栄区のマンションで、どこかの量販店で購入設置後約1年半だそうです。

さて到着。
室内機の設置状態を点検する
お部屋に案内され正面から見た時点でおかしなところに気が付きました。

つぎに横から
横から見ると室内機が前下がり
壁と室内機上部との間の隙間が数ミリほど。

それにしてはやけに室内機が前下がりです。
(画像ではちょっとわかりにくいかもしれません)

反対側からも
室内機と壁との隙間
こちらも同じ程度の隙間があります。

やけに前下がりの原因は
室内機が前下がりの原因は
壁(石膏ボードと思われる)が曲がってしまったためです。

上部は室内機の重さで引っ張られて膨らみ、下部は押されて引っ込んでます。

しかも左上部は壁がはがれかけているようで全体に手前に浮き上がっています。
壁が手前に浮き上がってきている

周囲の壁を叩くと壁材は部分的に躯体へGLボンドで接着されたいわゆる団子貼り。

そこへ重く奥行きの大きい室内機を取り付けてしまったため壁が耐えられずこのような状況になってしまったようです。

いつ壁材ごとはがれて落下するかわかりません。

下にはソファーが置かれていましたが、そこに居るのは避けていただくようお話しし後日エアコン取外しに伺うことになりました。

今回のような重く、奥行きの大きい室内機は設置できる壁(家)を選びます。

現在ではこのようなお宅が他にもたくさんあると思います。

事故などにならなければよいのですが・・・

エアコンの機種選定は建物の壁強度にもよります。

単に省エネ性能がよい(電気代が安い)からと選んでしまうと壁を壊してかえって多額の費用がかかってしまうことがあります。

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2023年3月 4日 (土)

これも隠蔽配管の欠点

エアコンの配管穴が塞がれておらず冷たい風が入ってくると点検の依頼をいただきました😊
(横浜市都筑区)

建物は賃貸集合住宅ですが予め壁内などに冷媒管やドレン管、電線が埋め込まれている隠蔽配管。

こちらがそのエアコン
これから点検を行うエアコン室内機
引っ越し時に前の住居から移設されたもの。

取り付けたのは引越しの下請け業者さんだそうです。

本体裏の壁からパイプ電線類が出ているので見えません。

本体左側から見ると
移設された室内機で左側の配管取り出し口が切り取られている
配管取出し口が切り取られているので移設する前は左配管で設置されていたことがわかります。

そこから中をみると
室内機背面の壁から出ている配管電線類
冷媒管、電線、ドレン管が壁から出ているのを確認できます。

この壁の穴から冷たい風が入ってくるそうです。

それに夏が近づくと虫の出入りも心配ですね。

これも隠蔽配管の欠点で本体裏からパイプが出ている場合、穴の隙間を埋められないことが多いんです。

そのためこのような方式の場合では穴を埋めないのが通例となっています。

しかしこの機種はラッキーなことに本体のグリルなどを取り外せばパテで埋められそうです😄

グリルを外して
室内機のグリルを外した
いかにもマシンといった感じですね😅

パテで隙間を埋めました。
パテで配管穴の隙間を埋めた

さてこれでグリルを戻したら完了
室内機のグリルを付けたら完了?
と思ったら

見ちゃった😅
エアコンにアース線が接続されてない
エアコンとコンセントにあるアース端子が接続されてません。

エアコンには安全上アースを接続することが必要です。
(手を抜かれてしまいましたね)

お客さんにお話しし接続することにしました。

1.6mmのIV線を使います。
アース用にIV線を通して
白色を使うのは目立たないようにするため。

一目でアースとわかるので緑色は不要です。

電線の先端はリングを作って
電線の先端をリングにする

ねじ止め端子台に接続
ねじ止め端子台に電線を接続

グリルを戻してコンセントのアース端子にも接続しました。
室内機のグリルをつけてコンセントのアース端子に電線を接続
この後はドレン排水試験、絶縁抵抗等を測定して運転開始。

いったんすべての窓を閉めてキッチンの換気扇を回していただき配管穴から風が入ってこないことを確認できました。

これで安心して使えます😊
エアコン試運転中

今回はグリルを外せたため穴埋めができましたが、機種によってはできないこともあります。

昔流行った隠蔽配管は現在ではいろいろと問題になっています。

家を建てる方は工務店や設計士などに勧められても断ったほうがのちのち無難です。

見た目にこだわると後悔します。

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2023年2月26日 (日)

マルチ、修理断念

2室マルチ(日立製)のエアコンが動かなくなったとの点検依頼をいただきました😊

場所は世田谷区。

購入から10数年経過しているとのことで状況によっては修理ではなく本体の買い替えということになりますが、それをご承知いただいたうえでの点検です。

現地到着し室内機がまったく反応しないのを確認後、室外機へ
マルチ室外機を点検する

銘板を確認
マルチ室外機でも電源100V
おや?電源100Vとはめずらしい。

昔は100Vマルチもありましたが普通は200Vを想像しますね。

そして下のほうには製造年2005年となっています。

約18年ですか・・・こりゃ部品交換の必要な故障では補修パーツがなく修理不能の可能性が高いです。

カバーを外して端子台を確認
マルチ室外機の端子台
電源と室内機への配線が2系統。

ここであれ?と思ったかたはエアコンにお詳しい。

マルチといえば通常室外電源でそこから室内機へ電源供給します。

各室内機への配線は2心(2線)です。

そうなると信号線はどこにあるのか?

これ、以前の日立特有の配線方式でこの2心に室内への電源100Vとともに信号を重畳してやりとりしています。

ではまず室外機に電源100Vが供給されているか測定
室外機への供給電圧は102.9V
102.9Vで正常。

つぎに各室内機への供給電圧は
各室内機への供給電圧は0V
0Vです。

これではエアコンが反応するわけがありません。

室外機を開けて基板を確認することにします。
基板点検のため室外機を開ける

基板が見えました。
室外機の電装部品
さすがこの頃の製品はまだコストカットに傾注せず部品がしっかりしてますね。

インテリジェントパワーモジュール(コンプレッサー駆動部品)も基板とは別に搭載されています。

それに基板は、制御基板、電源基板、スイッチング電源基板と3つに分かれています。

初めに気になったのは電源基板上のこれ
周囲が黒く煤けた部品
おそらく高速スイッチングをおこなうパワー半導体ですが周囲が黒く煤けてます。

このエアコンはほとんど使用していなかったそうですが使用時はかなり発熱していたような感じです。

温度はどうか・・・
パワー半導体に発熱はない
この時の外気温とほぼ同じ5℃

回路図を見るとこれはインバーター系の回路とつながっているので室内の電源とは関係がないようです。

でもかなり怪しい状態。

それにすぐそばにある電解コンデンサは防爆弁が膨らんでます。
コンデンサの防爆弁が膨らんでいる
これでは中の電解液が蒸発して静電容量は少なくなっていると思われます。

この付近はすでに正常動作していないでしょう。

つぎにスイッチング基板
室内機のスイッチング電源基板
これも煤けてます。

温度は
スイッチング電源基板の温度は22℃
22℃でこちらは動作しているようです。

しかしこの基板から電源基板までのリード線は熱の影響からか被覆がカチカチに硬化して押しても動きません。

リード線を触ると表面はベトベトとしてかなりやられてますね。

制御基板
室外機の制御基板

マイコン部を温度測定
室外機のマイコン部は8℃
8℃で周囲より高く一応動作しているようです。

ただしこれらの基板部品は症状や目視の状況からすでに複数個所正常動作していません。

もし補修パーツがあったとしてもこの先、コンプレッサーや熱交換器、ファンモーターなど他のパーツがいつ壊れてもおかしくない年数となっています。

ということでお客さんには買い替えを検討いただくことになり点検終了です。
エアコンの点検が終了

ルームエアコンは製造から10年以上で故障したら寿命と考えたほうがいいでしょう。

補修パーツもそのあたりでなくなっていきますので。

例外としては入替にかなりのコストがかかる場合は修理という選択もあります。
(部品があればですが)

エアコンを新たに導入する際は、入れ替えが容易なように機種や施工方法を選ぶとよいと思います。

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2023年1月 3日 (火)

エアコン回路が突如漏電、原因は?

エアコンを使用していたところ突然、漏電遮断器(漏電ブレーカー)が作動して電気が消えたとの点検依頼をいただきました。

場所は当店エリア外だったのですが、この日は休日でメインに使用しているエアコンということもあり緊急で訪問することになりました。

事前に漏電しているのはエアコンの回路と判明し当該ブレーカーは切っているそうです。

到着して電源プラグをコンセントから抜き絶縁抵抗計で調べるとエアコン本体から漏電しています。

たまに電源側(屋内配線)の漏電なんてこともありますので。

では室外機側で調査を始めます。
漏電調査をするエアコン室外機

側面のカバーを外して
調査のため室外機の側面カバーを外す
ここにある室内機と室外機を結ぶ連絡配線の端子台で計測しながら調べることにします。

天板を外しても
室外機の天板を外して
端子台しか確認できず内部までは見えません。

前面側も外しました。
漏電調査のため室外機の前面側も開けた
前には塀があり見えないねじを外すのに一苦労😅

これで制御基板で調べることができる・・・

と思いきや基板がほぼ全周、金属ボックスに入っていてだめでした。

この金属ボックスも外していきます。
制御基板の入っている金属ボックスを外す

上部の蓋を開けて基板を少し持ち上げることができました。

その隙間から各電装品のコネクタを抜いて調べることができそうです。

ん?なにこの汚れ
金属ボックスにスパーク痕
金属ボックス底面になにやら付いてます。

こりゃ汚れじゃなくてスパーク痕だ!

持ち上げた基板側を見ると
コンデンサの防爆弁が開いている
あちゃー、コンデンサの防爆弁がぱっくり開いてます😅

チューリップ?
コンデンサの防爆弁がチューリップのように
この開いたコンデンサの先端が金属外箱に接触して漏電したというものです。

基板をこのように浮かした状態では漏電はなくなり、ボックスへ戻すとまた漏電。

コンデンサは直流平滑用のもので奥のものと2つありそのうちの1つがこのような状態になってました。

しかしこんなに派手に開いているものを久しぶりに見ましたョ。

防爆弁はコンデンサの内圧上昇による爆発を防ぐため圧力抜きとしてありますが、これじゃほぼ爆発💥ですね。

この状況で内部の電解液がほとんど散乱していないのがちょっと気になりますが・・・

まあ、基板交換で直りそうですね。

ここで「コンデンサだけを交換すれば・・・」なんて考える方がいるようですがエアコンのパワー系統でそのような修理をすることは危険行為です。

そのような安易な修理は火災になる可能性があります。

今回も防爆弁が外箱に触れて漏電遮断器が作動したのでこの程度で済んだのかもしれません。

エアコンは購入から1年半ほどだそうで、通常使用でこのようになることは異例とも言えます。

メーカー保証期間は過ぎてますが状況から無償修理になる可能性があるかもしれないのでそちらへ一度相談されることをお勧めし点検終了となりました😊

インバーターエアコンには280Vの直流を作るコンバーター部にこの平滑用コンデンサ(電解コンデンサ)があります。

昔はコンデンサが直径5cm程度、長さ10cm以上の大きなものが基板とは別の場所に2つ搭載されてました。

現在ではそれを小さく、基板上に配置されるようになり容量(静電容量やその他)がぎりぎりで余裕のない設計がされているのかもしれませんね。

いろいろと製造コストの削減が行われ全体的に寿命が短くなっている印象です。

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2022年12月27日 (火)

エアコンが動かなくなった!

連日冷え込みますね。

先日朝、現場へと向かう途中、電話が入り
「エアコンがまったく動かなくなった💦」
と点検要請が・・・

以前から修理や工事で伺ったことのあるお客さんです。

リモコンの電池を新品に入れ替えてみたけれどダメとのこと。

室内機の運転停止ボダンを操作してもらうと動いたそうです。

これはもしかすると受信部故障の可能性がありますねー🤔

別の作業が終わったら訪問することを伝えて電話を切りました。

そして午後に訪問。

リモコンを見ると何も表示されていません。

ボタンを押してもなんの反応もなし。

あれ?受信部ではなくリモコン自体の故障か?

電池ケースを開けて見たところ極性は問題なし。

でもなにか違和感が・・・

あっ、これか!
電池にビニールが被ったままだった
電池2本のうち1本にビニールが被ったままセットされていました。
(右にあるのが外した透明のビニール)

ビニールを外してセットしなおすと
エアコンのリモコンが動くようになった
正常に表示されエアコンも操作できるようになりました😄

暮れにエアコン故障で年越しなんてことにならずヨカッタヨカッタ😊

もしリモコンで操作ができないときは室内機の応急運転ボタンで運転・停止をできることがあります。

ただし運転モードや温度や風量の設定ができないためあくまで”応急”ということになりますね。

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2022年12月23日 (金)

FL表示で運転できず

FL表示が出てエアコンが動かないとの点検依頼をいただきました😊
(川崎市多摩区)

現地に到着して表示を確認。
室内機にFLと表示され運転できない
撮影シャッターのタイミングでFがうっすらとしかみえませんが確かにFL表示。

これは三菱電機のあるシリーズに備わっている上下フラップがちゃんと付いていませんよ、というもの。

FL表示が出るとエアコンはうんともすんとも動かなくなります。

フラップの取付状況などを見ましたが問題ありません。

ということはそれを検知しているどこかに異常があります。

検知部はここ
上下フラップの取り付けを検知する軸受け部分
この中にスイッチがあります。

軸受に六角レンチを左右から2本差し込んでFL表示が消えるか試すと一瞬消灯しますがまたすぐに再点灯。

スイッチ不良のようですね。

さらにスイッチ接点の状況を確かめるため電気回路を調べます。
室内機のカバーを開けて回路図を見る
回路図からスイッチを特定して。

該当する回路をテスターを使用し計測
電気回路を調べる
スイッチを操作すると抵抗値が1MΩ~3MΩをふらふら。

スイッチ不良で間違いなし。

これで点検は終わりにして修理費の見積もりを出す手順になりますが残念ながらこの日は休日でメーカーがお休み。

到着のときから2人のお子さんが炬燵に入りこちらを見ています😅

ウーン、このまま帰るのはちょっと忍びない・・・

およその修理金額を伝え修理を行うことをお約束いただき応急処置で運転できるようにしました。
エアコンを臨時に運転できるよう応急処置
なにをしたかはマネされて事故などがあるといけないので秘密。

とりあえず暖房が使えるようになり点検終了😊

今回の故障は冬に向かう時期に多く発生するような気がします。

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より以前の記事一覧