”漏電”はご存知ですか?
ショート、接触不良などと並びわりと有名ですね。
絶縁抵抗が下がって電気が大地へ漏れる、これが漏電。
電線などの絶縁材が破れるなどして起きます。
そもそも漏電した場合、地球が電気を吸い取っているのではなくて、”接地方式”といっていろいろな理由から大地に電気が流れるようにあらかじめ電路が作ってあるんです。
その大地までの回路が人(感電事故)であったり建物(火災事故)であったりすると大変です。
そこでエアコン、冷蔵庫、洗濯機などはアース線をつないで事故に至らないようにしているんですよ。
またアースがつながっていることで漏電の際には漏電遮断器の検知能力も上がります。
ではエアコンの漏電に対しどんな測定器で絶縁抵抗計測を行うのが良いのか考えてみます。
電気設備技術基準の経済産業省令第5条【電路の絶縁】を内線規程(誰でも?わかるように訳したもの)では対地電圧150V以下(普通の一般家庭)の電路は0.1MΩ以上の絶縁抵抗があればよいとされています。
この絶縁抵抗を直接測定するものがこれ

”絶縁抵抗計”です。
この絶縁抵抗計は状況に応じて125V、250V、500Vの直流電圧をかけて抵抗値を測定します。
これでエアコンを測定していままで何件か絶縁不良を発見したことがあります。
犬に電線をかじられて穴が開き絶縁抵抗が低下しているものもありました。
この絶縁抵抗計で測定するにはいちいち電気を止めなければなりません。
エアコンではコンセントを抜いたりブレーカーを切ればいいのですが。
どうしても電気を切れない事情があれば通電したまま電流計測する方法もあるんですよ。
その場合、内線規程には漏れ電流が1mA以下であればOKとなっています。
一般家庭の対地電圧は100Vなのでそれを1mA(0.001A)で割ると100000Ω=0.1MΩで合点がいきますね。
この漏れ(漏洩)電流の測定はどうやっておこなうのかというと・・・
こんな測定器具を使います。

クランプメーターといいます。
これで交流電流が測れます。(直流は測れません)
画像下のものは最小分解能が10mAで1mAなんてこまかなものは測れないので使えません。
一方上のものは分解能が0.01mAとかなりこまかく余裕で測れます。
本体にも

LEAKAGE CURRENT TESTER(漏れ電流計)と書かれています。
これの使い方は輪の部分を開き電線を入れて閉じれば(クランプすれば)測れます。
簡単ですね。
実験用電源から交流2Vを出力して抵抗に流れる電流を測定します。

電流値は

10.46mAです。
電線を流れる電流で発生した磁界により輪(鉄製)を通る磁束が変化しそれを内部のコイルで計測しています。
クランプメーターはもう一つの使い方があります。

このように往き還りの電線をクランプします。
そうすると両方の電線から出ている磁界が打ち消し合うので

0.00mAになりました。
「それがどうしたの?」なんとなくそんな声が聞こえますが・・・
この測定では往き還りの電流が同じため相殺されて0になってますが、このクランプ部より抵抗側で漏電があった場合還りの電流量が往きより少なくなります。
そうなると磁界のバランスが崩れて往きのほうが強くなり輪の磁束が変化しメーターに0ではない電流値が表示されます。
その表示された電流値(往きと還りの差)が漏電している電流量です。
この原理は皆さんのお宅にある漏電遮断器でも使われていますね。
ではクランプメーターがきちんと正しい数値を示すか試してみましょう。

交流電源2Vに10kΩの抵抗を2個直列につなぎました。
合成抵抗は足し算で20kΩですね。
ということは2V÷20kΩで0.1mAであればOKです。
測定値は

0.10mAでピッタリです。
100Vのエアコンであれば電源コードをクランプすれば漏電電流を測定することが簡単にできます。
200Vは接地線も入っているので測れませんが。
絶縁抵抗計など使用しなくても簡単に測れて便利ですね。
でも残念ながらそこには落とし穴が・・・
手抜きが多いといわれるエアコン工事。(実際そうですが)
その中でもわざとアースを接続しない業者もいますね。
そんなとき絶縁が破れ室外機の外板やパイプ類に電圧がかかっていたとしてもアースがなくて漏電(実際に電気が大地に漏れる)に至らないケースがあるんです。
これでは漏れ電流が流れないためクランプメーターで計測してもわかりません。
漏電遮断器も作動しません。
人が触って感電したりしないと判明しないことになります。
これは致命的な問題ですね。
こんな場合でも絶縁抵抗計を使って計測すればわかるんですがねぇ。
なのでこのクランプメーターはほとんど使いません。
最近のエアコンでは点検時に電流測定することもほぼありませんので。
内線規程にも漏れ電流計(クランプメーターなど)を使うのは”測定電路を停電できない場合”となっているのでやはり基本は絶縁抵抗計ですね。
当店では絶縁抵抗計はエアコンを取り外し前、取り付け後、点検時、修理後とやたら使用頻度が高い計測器です。

http://kato-aircon.com/