契約アンペアと200Vエアコン
今回は電力会社とアンペアで契約をしているお宅に200Vのエアコンを設置する場合のおはなし😊
前回の工事記事では200Vのエアコンが15A使用すると電流制限器(電力会社の契約アンペア)には2倍の30A流れたことになると書きました。
なぜそうなるのか・・・
エアコンに炊飯器、電子レンジを同時に使い、お子さんがドライヤーをブイーン・・・”バチン!”
「あれ真っ暗😱停電?」なんて経験あるのでは?
電気を使いすぎると落ちるアレです。
電力会社の財物で、画像の40Aは契約アンペアを表しています。
この場合、電気機器を合計40Aを超えて使用すると作動して電気が切れます。
(ブレーカーが落ちる)
これは保安目的ではなく、電気の使用量を制限するために設置されているもの。
ただ現在ではこのような形ではなく屋外の電力量計に電流制限器の機能が搭載され、触れられないようになったものへと変わりつつあります。
「えー、それじゃ落ちたらどうするの?」
ご安心ください、自動で復帰するようになってます。
ただし何回も連続して落ちた場合、復帰しなくなるので電力会社に連絡して通電してもらう必要がありますが。
こちらは分電盤の例
左から電流制限器、漏電遮断器、各回路のブレーカーとなっています。
ではここから電流制限器に電気がどのように流れているのか見ていきましょう。
まずこれは電流制限器とそこから配線接続された100Vと200Vの機器の図です。
(漏電遮断器や各ブレーカーは省略しています。図をクリックすると大きく見られると思います)
3本(L1,N,L2)の電線で配線されることで100Vと200Vの電気が使用できるようになっています。
このような方式を単相三線式などと言います。
L1とN、L2とNの間はそれぞれ100V。
そしてL1とL2の間はN(中性線)を中心に極性の+-が逆になっているので200Vとして使用できます。
このようにして一般家庭で100Vと200Vの両方が使えるようになっているわけですね。
余談ですが100Vしか使えない家(昔はほとんどそうでした)はL1-NまたはL2-Nのどちらかのみ2本線(単相二線)で受電しているお宅です。
話は戻りまして下の図はL1-N間にだけ100Vの10Aと5A機器を接続したときの電流の流れ。
(交流なので常時流れは変化しますが直流と同じように表現します)
L1から2つの機器へ分流してNでまた合流。
L1からNへ15Aの電流が流れて電流制限器も15Aの電流が流れていると感知します。
そして次はL2-N間にも5Aと10Aの機器を接続しました。
4つの機器の使用する電流に応じてこのように流れます。
(ちょっと複雑になってきました😅)
電流制限器のNには0Aで電流が流れていませんね。
L1-NとL2-Nのそれぞれの間に接続された機器の電流が同じとき(完全な平衡状態)このようになります。
(L1-NとL2-Nの平衡が少しでも崩れると電流制限器のNにも電流が流れます)
こんどはL1からL2に15Aの電流が流れています。
でも電流制限器はこの場合15Aではなく30A使用していると感知します。(ここがポイント)
たしかに機器をすべて合計すると10A×2台、5A×2台で30A使用しています。
電流制限器はL1とL2に流れる電流を合算して感知しているんです。
ここまでくると勘のいい方は気付くと思います。
ここに200Vで10Aを使用する機器を接続するとどうなるでしょう。
L1とL2に流れる電流を見てください。
両方とも10Aずつ増えています。
200V機器はL1-L2間に接続されるのでこうなるのは当然ですね。
さきほど電流制限器はL1とL2の電流量を合算して感知しているといいました。
ということは25A+25Aで合計50A。
10A使用する200V機器を接続したら倍の20Aが増えたことに😲
ここが200Vエアコンを導入するときの注意点です。
電流制限器のアンペア数は一見、電流を制限していますが、よくよく考えると電力を制限しているということになります。
例えば100Vで10Aを使用してるときその電力(皮相電力)は100×10で1000VA(ボルトアンペア)。
200Vで10Aでは200×10で2000VA。
200Vでは同じ電流でも単純に2倍の仕事ができ、それに応じた電力を消費するわけです。
なので40A契約(40Aの電流制限器)であれば最大40A×100Vの4000VA(4kVA)まで使用できるということです。
逆に計算すると40A契約で200Vの場合、4000VA÷200Vで20Aが制限一杯となります。
電気が足りない場合、契約アンペアを上げる方法などがありますが建物の状況(電線の太さなど)によってはそれができないこともあるのでよく調べてから機種を選定する必要があります。
なお、電流制限器のNに電流が流れてもそこは合算されません。
Nには電流量を測定する素子が付いていませんので。
ちょっとわかりづらい説明だったかもしれませんね😅
少しでも参考になれば幸いです。
http://kato-aircon.com/