ミリねじ・インチねじ
エアコンの室内機や室外機を固定するために使われるボルトやナット。
これにはミリとインチの2種類が存在します。
こちらは室外機を天井に吊るために埋め込まれているインサート
4か所のボルトナットで固定するようになっています。
左に見える化粧ナットとワッシャー、ボルトはこちらにも付けられていたのですが工事のためすでに外してあります。
このインサートは
中にごく普通の6角ナットが入っているタイプ。
このナットは穴をスライドして位置を調整できできるようになっています。
そこへこちらで用意したボルトナットとワッシャー
これらを用いて金具を天井に固定します。
こんな感じ
その後他の金具も取り付けて室外機が載せられるようになります。
さて長くなりましたがここからが本題。
これらボルトナットのねじにはインサートも含めミリとインチがありまして・・・
室外機の天井吊に使用される10ミリと3/8インチサイズを並べてみました。
違いがわかりますかね。
比べるとなんとなくわかるような気がしますが片方ずつ見たら多分見わけがつきません。
0.6mm位の差がありますね。
ナットをならべて
こうすると穴の大きさから右が10ミリのナットとわかります。
同じねじ同士でナットを入れてみました。
当然ですが普通に入ります。
このことを知らないルームエアコン専門工事屋さんいますね。
「あれー?ボルトが硬くて入らない・・・」なんてときは3/8インチのインサートに10ミリボルトを差し込もうとしているかもしれません。
昔は天吊り金具に天井に止めるボルトナットまでが同梱されていて(現在は入っていません)それがインチだったりミリだったりとバラバラでインサートと合わないことがありました。
次にインチサイズのボルトにインチとミリのナット両方は・・・
すんなり入ります。
でもよく見てください。
左はインチのナット、右はミリのナット。
指で軽く押すと右のミリナットのほうは斜めになっています。
サイズが合わずゆるいのでガタガタと動きます。
これでは強く締め込むとねじ山が崩れますね。
今度はボルト同士のねじをナットの山数と同じ程度重ねます。
ほぼ山同士がかみ合っているように見えます。
しかしこうすると
矢印部分は山同士が合っていますがその中間はずれてますね。
そう、ねじのピッチも違うんです。
(インチは粗い)
異なるサイズのボルトとナットを使用するとねじ山同士が面で接触せず、ところどころ点で接触するのでまともな締め付けはできません。
これらを考えるとミリねじのインサートにインチのボルトを使用して天井に重い室外機をつけてしまうことは安全とは言えません。
調べず、または知らず、なんでもインチのボルトで固定している業者さん(エアコン業界に限らず)結構いますね。
インサートがミリならミリのボルトナット、インチならインチのボルトナット、これが本来正しい使い方です。
はじめから天井に付けられている化粧用のボルトナットもインサートのサイズに合っていないことが多く、ボルトの長さも不足していることがあるので当方では使いません。
またこのミリとインチの混在する建築、設備業界も困ったもんです。
公共系の建物はミリが基本ですが民間の建物はインチが多く、なんなんでしょうかねぇ。
過去の何かを未だに引きずっているんでしょうか・・・
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