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エアコン修理作業

2024年8月26日 (月)

外壁の配管カバーから水漏れ

横浜市内の一戸建てにて、外壁の配管カバーから水が漏れているという点検依頼をいただきました😊

現地に到着してさっそく見てみると、
外壁の配管カバーから水が漏れている
配管カバーから漏れ出た水を下のカップで受けていました。

上を見上げると配管カバーは2階からおりてきています。
配管カバーは2階からおりてきている
あやしいのはてっぺんのあたり。

壁の配管穴の少し下です。

二連梯子を使って登りカバーを開けました。
配管カバーを開けた
すぐに目についたのは冷媒管接続部に巻かれた防湿テープ。

これを屋外で使うと雨水などを吸い込んで機能しません。

またこのテープには保持力がないため断熱材に隙間ができてしまいます。
(下に少し銅管が見えてしまってますね)

でも今回の水漏れ原因はこの部分ではありません。

よく見ると・・・
ドレンホースが抜けている
排水用のドレンホースが抜けて10cm位下がっています。

おもてに出してみると
ドレンホースの抜け
こんな状況。

ビニルテープがほどけてホースはぶら下がってました。

テープを取り去り、試しに差し込んでみるとゆるゆる
ドレンホースの差し込みがゆるい
サイズが合っていません。

サイズが合う部分にカット。
ドレンホースの接続サイズが合う部分にカット
これでグイグイと力を入れて接続します。

ビニルテープをしっかり巻きます。
ドレンホース接続部をビニルテープでしっかり巻く
これだけで安心してはいけません。

抜けないようにさらに施工しますがその前にこれ、
冷媒管の断熱材が縮んで銅管露出
防湿テープで巻いてあっただけなので断熱材が縮んで10cmほど銅管が露出しています。
(できるだけ防湿テープをはがしました)

断熱材を追加
銅管に断熱材を追加

ビニルテープで巻きます。
追加した断熱材をビニルテープで固定

そして仕上げはこのコーテープ
コーテープ

接続部分とその上下全体を冷媒管、ドレンホース、電線をまとめてコーテープでテーピング。
テーピング
これでドレンの抜けや断熱の縮みによる隙間を防止します。

配管カバーを戻して漏れがないことと排水状態を確認し完了😊

ところが1階にも1台同じような症状があるとのこと。

そちらもカバーを開けてみると
ドレンホース抜け
2階と全く同じ症状。

こちらはビニルテープはほどけることなくホースだけがすぽっと抜けた感じ。

先ほどと同じ作業を繰り返し修理完了しました😊

配管カバーは仕上がりはきれいなんですが、中はどうなっているかわりません。

室内外問わず水漏れに関する問題が多い印象です。

Katoairconservice_mark160
http://aircon.la.coocan.jp/

2024年8月20日 (火)

エアコンが冷えすぎる

温度設定を高くしても部屋がどんどん冷えて寒くなってしまうという点検依頼をいただきました😊
(横浜市内)

エアコンは2016年にこちらのお客さん宅が新築時に当店で以前のお住まいから移設したもので2015年製。

しかし冷え過ぎるという点検依頼はめずらしいですね。

数十年前の古~いエアコン(クーラー)ではリレーが溶着して室外機が回りっぱなしになって冷え過ぎたり室内機が凍ったりしたものですが。

スイッチ切ってんのに室外機が回ってるなんてあったな~(ほのぼの)

現在のインバーターエアコンでそのようなことはないでしょう。

現地到着。
リモコンの温度設定は32℃
リモコンの温度設定は最高の32℃。

室温は30℃程度。

風量を自動にすると弱くなるはずの吹き出す風が最大風量で出てきます。

室外機を見に行くとこちらもコンプレッサーがほぼ最高回転で回っています。

どうやら室内機の室温センサー系の異常のようですね。

センサーが断線したり、ショートをするとエアコンはそれを検知してエラーを出します。

しかしそれはありません。

室温センサーを見てみることにします。

エアコンの吸い込み口周辺にはセンサーがありませんでした。

ということはこの中か・・・
室内機にあるスリット
本体底部にあるスリットの中のようです。

この位置、もしかして・・・

お客さんに最近エアコンの洗浄を業者に頼んだか聞いてみると、去年の夏の終わり頃にしてもらったとのこと。

それか・・・

前面グリルを外しました。
前面グリルを外した
基板があります。

見たところ室温センサーはありません。
エアコンの基板
外してみることにします。

裏の配線パターン側に付いてました。
チップ部品のサーミスタ
ついていた綿埃を取ると出てきました。

2mm程度のゴマ粒のようなチップ部品のサーミスタです。

え、これエアコン用に使うの?初めて見たような。

よく基板上の温度を測定するのに使用する基板表面実装部品です。

周囲の配線パターンは洗浄時に流れ込んだ薬品により劣化しています。

下の方にある電気部品は洗浄するとき外さないとダメなんですよねぇ~

でもそのままやってしまったのでしょう。

サーミスタからプリントパターンを追っていくとこちらが制御基板(マイコンなどが載っているメイン基板)へとつながるコネクタへの半田付け部分。
基板の半田付け部分
こちらも綿埃が付いていたので取り去りました。

やはり周囲はパターンが薬品でやられてますね。

メーカーへ電話して30℃のときのサーミスタ抵抗値を聞き、マルチメーターで測定するとほぼ問題ない数値。

手でサーミスタを温めると抵抗値は低下していき正常のようです。

エアコンで使用される温度測定用のサーミスタはネガティブタイプなので温度が上がると抵抗値が下がり、逆に温度が下がると抵抗値が上がります。

あれ~、予想とちがったようで制御基板側の故障か?

ここでふと気づきました。

さっき取り去った綿埃・・・

しかもそれには薬品が染み込んでいた・・・

それがサーミスタの電極部分やコネクタへの半田付けのところに付着していて並列回路となり抵抗値を下げていた(温度が高いほうへズレていた)のではないか。

ということはもう直っているのでは?

室内機を元通りに戻して運転しました。

リモコンの温度設定を26℃にすると吹き出す風が強くなり、30℃で落ち始め、32℃で弱風へ。

おっ、やっぱり直った😄

室外機の回転(周波数)制御も正常。

でもあの基板、かなり劣化してコネクタリードの付け根も薬品により緑青が噴いている状態。
コネクタに緑青
この先また不具合が出るので交換することにしました。

部品を取り寄せ再訪問。
取り寄せたエアコン部品
基板となにやら追加で付けるスポンジテープ。

メーカーさん曰く基板は代替部品だそうで。

部品に不具合などがあると改良されて代替部品に入れ替わります。

電装ボックスを外して制御基板とつながるハーネスを配線できるようにしました。
配線のため電装ボックスを外した
ボックスの中央を貫通するように通すのでこうしないとできません。

スポンジテープを説明書通りに貼り付けました。
対策用のスポンジテープを貼り付けた
これは吹き出し口からの風が基板やサーミスタに回り込まないようにする対策のようです。

そして新しい基板についているサーミスタは
新しいサーミスタ
これが本来の空気温サーミスタですね。

樹脂のような素材でモールドされています。

やはり同じような不具合が他でも多発したようでチップ部品ではなくなりました。

このようにメーカー部品は不具合があると改良されます。

なのでエアコンの場合は基板上に付いているパーツを汎用品に交換して修理するのはやめたほうがよいわけです。

取り付けました。
基板を取り付けた
今度のサーミスタは見えますね。

このほうが感度もよさそうです。

制御基板に抜いたコネクタを再接続
制御基板にコネクタを接続

正面から配線の状況を確認します。
配線の状況を確認する
なにを見てるかって?

左にある熱交換器は冷房や除湿時に結露して水が出てきます。

その水が付近を通る配線を伝って漏れ出したり、制御基板などの方へ流れ込まないか配線ルートを確認しています。

前面グリルを取り付けて絶縁抵抗を測定したら運転開始。
エアコンを運転開始
リモコンで温度を上げたり下げたりして動作を確認。

正常動作で作業終了です😊

電気部品や配線接続部などに流れたり付着した洗浄用薬品は通電すると化学反応で劣化や緑青を発生させます。

これにより火災になった事例もあります。

やはりエアコン洗浄もきちんとした業者へ頼まないとこういった不具合が起きやすくなります。

なお当店ではエアコンの掃除や洗浄はおこなっておりません。
(自分の家のだけは自身でやりますけどね😆)

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2024年8月 2日 (金)

配管カバーから水が出る

外壁に取り付けられた配管カバーから水が出るという点検依頼をいただきました😊

場所は都内のマンション。

現地到着。
現地到着
どこかの下請けエアコン屋さんの施工だと思いますが見た目には普通に設置されています。

水が出るのは配管カバーの下から
配管カバーから水が出る
試しに室内機に水を注入するとけっこうな量がカバーから落ちます。

カバーを開けてみます。
配管カバーを開けてみた
室内から配管された排水用のドレンホースは断熱タイプで途中にカフスという接続部品を使って室外用のドレンホースへとつながっています。

その接続部は
ドレンホースの接続部
一見抜けているようには見えませんねぇ。

もしかすると下についている逆止弁が詰まって水位上昇して漏れ出たのでしょうか・・・

接続部で漏れているのは間違いないようですが。

もうちょっと引っぱり出して見やすいように・・・
ドレンホースを見やすいように引っぱり出す
上の断熱ドレンホースとカフスは接着接続。

そして下の室外用ドレンホースとカフスは差し込むだけでビニルテープで固定するようになっています。

なので抜けるとしたら室外用ドレンホースですが・・・

あれ~😆
断熱ドレンホースからカフスが抜けた
そっちかい!

接着してあるはずの断熱ドレンホースが抜けました。

抜けた部分を見ると接着剤の跡がない。

接着し忘れたみたいです。

水を流す管を接着接続する場合は接着剤を塗布する前に試しに接続してはいけないというのが基本だと思います。

基本的な施工方法をしらないとミスの元になります。

抜けかけた状態でしばらく使用していたので接続部分は汚れなどが付着。

しっかり掃除してから接着剤で接続しました。

10分ほど放置して水を流し漏れのないことを確認。

そしてテープでしっかり固定しました。
ドレンホースを接続
この状態で再度室内機へ注水して漏れがないことを確認。

配管カバーのフタを元通りに取り付けました。

ここでおわりかと思ったらもう1つ水が落ちるところがあるとのこと。

室外機のこの部分。
室外機から水が落ちる
たまにポタリポタリと落ちるそうです。

これは一目見て原因はわかりました。

この部分は冷媒管接続部のバルブがあり、そこから落ちた結露水がカバーを伝って室外機の中へ流れるようになっています。

が、このカバーの取り付けがきちんとはまっていない。

付け直しました。
バルブカバーを付けなおした
隙間なくぴったり。

これにて完了😊

今回の不具合は”手抜き”ではなく”手抜かり”の工事です。

おそらくほかのお宅でもいろいろやらかしていると思いますね。

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2024年6月 4日 (火)

ドレンパン交換修理

以前こちらにアップしたドレンパン割れのお客さん宅へ交換修理に伺いました😊
室内機のドレンパン交換修理を行う

メーカーから取り寄せた部品
メーカーから取り寄せたエアコンの部品
部品といってもちょっと大きめ。

箱は長さ90cm位あります。

割れ物注意のシールが箱に貼りつけてあり、中もしっかりクッション材で養生されていました。
部品がクッション材で養生されている

中身を出しました。
取り寄せたドレンパン組品
ドレンパンです。

これはドレンパンのみではなく組品(アッセンブリー)になっていてドレンホースや上下左右のルーバー、モーターなどが組み込まれた状態です。

ドレンパンのみという部品設定もありましたが、周辺部品を組み換えるのが大変らしくメーカーさんの勧めで組品にした次第です。

組み換えで工賃が高くなっては意味ないですからね。

なおここにあるドレンホースは今回使用しません。

ホースも新しいものに交換となるといろいろ作業が増えてしまうため、現在使用中のドレンホースに差し換えます。

余った新しいホースはお客さんへ渡しました。

それでは室内機を分解していきます。
室内機を分解する

ドレンパンを外すには右にある電装ユニットを移動させる必要があります。
室内機の電装ユニット

しかしこのエアコンは配線が多い😅
エアコン内部の配線が多い
これを全部外すのはたいへんです。

室外機へつながる連絡電線(ケーブル)を抜いて下部だけを右にずらしました。
電装ユニットをずらした
これでなんとかいけそうです。

ドレンパンを本体に固定しているねじを外すことができました。

問題はドレンホースを固定しているねじ
ドレンホースを固定しているねじが外しにくい
通常のドライバーではムリ。

こんなラチェット式ドライバーで回しました。
ラチェット式ドライバーでねじを回す
しかし周囲を囲まれ取っ手を大きく振ることができません。

ちょっと回しては1山「カチッ」(ラチェットの音)、またちょっと回しては1山「カチッ」と根気で勝負😅

なんとか取り外せました。

制御基板からルーバーモーターなどにつながる3つのコネクタを抜きます。
ルーバーモーターなどにつながるコネクタを抜く

配線をほどいてロックを外しドレンパンがとれました。
室内機のドレンパンを外した
送風ファンと熱交換器の下部が見えます。

横に長い熱交換器から落ちてくる水を受けるのがドレンパンの役目です。

そのほかに本体背面の樋から流れ出てくる水もこのドレンパンに落ちるようになっています。

取り外したドレンパン
取り外したドレンパン

水漏れは左端のこの辺りから
ドレンパンの水漏れ箇所

よく見てみます。
ドレンパンの水漏れ箇所を確認する
割れているところが見つかりました。

拡大します。
ドレンパンのひび割れ
ゴム栓の上がひび割れてますね。

ひびの入ったところは付着した汚れも裂けてます。

こちらの左端にはドレンホースがつながっていないので製造時にゴム栓がしてあり冷房・除湿時に水が溜まります。

なので割れた部分から水が染み出ていたと。

ホースもなにもつながっていないのでなんの力も加わらない部分ですが、このようにどういうわけか自然に割れてしまうことがあるのです。

それには冷暖房の温度変化による伸縮などが関係しているかもしれませんね。

さて新しいドレンパンを本体にセットしドレンホースを接続してねじ固定。
新しいドレンパンを室内機にセットしてドレンホースをねじ固定

電装ユニットを元通り固定して電線を接続。
電線を接続

基板にコネクタ接続
制御基板にコネクタ接続
結束バンドは取り外しの際に切ったので新しいもので再度結束。

基板の金属カバーを取り付けます。
基板の金属カバーを付ける

そして室内機本体のカバーを取り付ける前に配線の状態を確認。
配線の状態を確認
なにを見てるかって?

ここには熱交換器に接続されたアース線やサーミスタ、その他の配線がたくさんあります。

それらの配線類に熱交換器や銅管の結露水が伝わり電装ユニットへ流れ出ないか、また途中あらぬところへ滴下しないか見ています。

あやしいところは修正しました。

室内機のカバーを取り付けます。
室内機のカバーを取り付ける

そして試運転と排水試験をして水漏れはなくなりました・・・あれ?
何か部品を付け忘れている
何か部品がない🤔

あ、これだ・・・
プラズマクラスターユニット
プラズマクラスターユニットを撤去したドレンパンから外して取り付けました。

ユニットからは「ジー・・・」とプラズマの小さな音が出て機能しています。

組品だから全部ついていると思ったら
メーカーからもらった展開図
(メーカーからもらった展開図、一応ぼかしてます)
このプラズマクラスターユニットは別部品でした😅

この機種のプラズマクラスターユニットは寿命が来たらユーザーが簡単に交換できるようになっています。

ロックを外してスライドするだけです。

さてこれにて作業完了😊

水漏れは解消されました。

余談ですがエアコンからはいつ水漏れが起きるかわからないので室内機の下に濡れて困るものや電気製品などを置いてはいけません。

このことは取扱説明書にも記載されています。

よくテレビとか無線LAN機器などを置いているお宅を見かけますが・・・ご注意くださいませ。

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2024年1月15日 (月)

運転ランプが点かない

東京都世田谷区内の一戸建てでエアコンの運転ランプが点かなくなったとの点検依頼をいただきました😊

予想されるのは、表示基板や制御基板の不良、コネクタ類の接触不良などの可能性。

点検を行わなければどの部品に異常があるのかわかりません。

ということで現地到着。
運転ランプが点かなくなった室内機を点検する
あらま~しかし室内機はずいぶんと高いところに設置されてます😅

当方の脚立では長さが足りず「こりゃだめだ撤収!」かと思いましたが、お客さんが長い脚立(2.7m)をお持ちとのことでお借りして点検開始。

天井が高いため照明器具の電球交換等に使用しているそうです。

室内機のグリル等を取り外して分解します。
点検のため室内機のグリル等を外す

運転ランプはココ
点かなくなった室内機の運転ランプ
ほかのランプは正常ですが運転ランプだけ点きません。

内部の基板を取り外して運転ランプLEDの逆方向抵抗値を測るとおかしな数値が・・・
LEDの抵抗値がおかしい
LEDの不良です。

見積もりを出して修理することになりました😄

後日、部品が入荷し修理開始。
メーカーから取り寄せた表示基板
こちらのメーカーは休日でも部品部門につながり発注できるのでよいです😄

新しい基板に交換。
新しい表示基板を取り付ける
この基板にはランプのほかにもいろいろ付いてます。

グリルを元通り戻してランプの点灯を確認。
部品交換後にランプや動作の確認
運転ランプを含め3つとも点きました😄

リモコンの受信やブザー音、そして運転/停止のスイッチ動作も確認して正常。

修理完了となりました😊

運転ランプが点かないと動いているのか止まっているのかはっきりしないのでやはり困りますね。

機種によっては運転ランプで除霜運転や本体異常を示すものもあります。

Katoairconservice_mark160

2023年12月31日 (日)

室内配管化粧カバーからの水漏れ

前回の記録簿では外壁の配管化粧カバーからの水漏れでしたが、今回は室内側に取り付けられた化粧カバーからの漏れの修理です😊

場所は東京都大田区内にあるマンションの一室。
エアコンの配管化粧カバーから水が漏れる
室内機の右側に設置された配管化粧カバーからの水漏れ。

この時期(暖房時期)には漏れてきませんが夏に何度か水が下のテレビに落ちたそうです。

冷房時に継続的な水漏れではないということはドレン排水の漏水ではないでしょう。

ついでなので・・・
エアコンの真下に電気製品や濡れて困るものを置いてはいけないことが取扱説明書に書かれています。

水漏れなどの際、被害を最小限に止めるため。

さて、では点検から。

水が漏れたのはココ。
配管化粧カバーの水漏れ箇所
室内機から下がってきたところの曲がり部品。

この部品を開けてみます。
配管化粧カバーの曲がり部品を開ける
内部はすでに乾燥している状態。

外した部品の内側を見ると
外した部品の内側を見ると水漏れ跡が
水の漏れていた跡(汚れ)が残っていました。

その先のカバーの内側は
配管化粧カバーの内側を見る
少し汚れているような・・・

外してみました。
配管化粧カバーの内側が水漏れによりかなり汚れている
やはり水漏れでかなり汚れてました。

この水漏れは配管の結露によるものと判断。

カバー内の配管状況は・・・
化粧カバー内の配管
冷媒管は断熱の上に隙間なくテープが巻かれています。

ドレンホースも断熱タイプが使用されてます。

でもこの配管が表面結露したとしか思えません。

その理由は・・・

壁の配管穴のカバーを開けてレンジフード(台所換気扇)を回していただくと
配管とパテの隙間から外気が勢いよく入ってくる
配管とパテの隙間から外気がスースー勢いよく入ってきています。
(お客さんにも確認していただきました)

おそらくこれが原因でしょう。

夏はここから入った外気(熱風)が配管化粧カバー内の温度と湿度を上昇させて冷たくなっているパイプの結露量を増加。

集まった水滴がカバーの継ぎ目から漏れ出てきたといった具合です。

そのため継続的な漏れではなく、その時の温度や湿度、エアコンの運転状態に影響されたまに漏れてくるという状況になったのではないでしょうか。

また、外気はカバー内を通過し室内機背面などにも流れ込み、室内機の結露増加や室内温度の誤検知を招きます。

パテにできた隙間は設置当初しっかりと埋められていても時間が経つにつれ徐々に断熱材の痩せ(収縮)などにより発生します。

配管化粧カバーは見た目はよいのですが、このような結露問題が起きやすいのが欠点。

今回の補修方法としては穴の隙間をなくすことで対処することにしました。

まずは外壁側から。
外壁に設置された配管化粧カバー
配管穴部分を開けます。

やはり隙間ができてます。
パテと配管に隙間ができている

硬くなったパテをはがしました。
配管穴のパテをはがした

新しいパテで隙間なく埋めます。
新しいパテで配管穴を隙間なく埋める
一旦この状態でレンジフードを回していただき室内側で確認すると外気の流入は止まりました。
(こちらもお客さんに確認していただきました)

埋めたパテはまた長期経過後に隙間ができてきます。

それを防止するためシリコンシーラントを表面に塗布することにしました。
パテの上にシリコンシーラントを塗布
(透明なのでよく見えませんが😅)
ゴム状に固まりパテの硬化と隙間を防ぐことができるでしょう。

カバーを戻して周囲をコーキング。
化粧カバーを戻して周囲をコーキング

室内側は現在のパテの上から補強するかたちで埋めました。
室内側のパテを補強
こちらはヘタにパテをはがすとドレン勾配が崩れるので重ねる方法にしました。

室内側のカバーも戻して作業完了😊
室内側のカバーを戻して補修作業完了
あとは来年の夏にどうなるか確認していただくことになります。

今回のようなパテの隙間は断熱材の収縮のほか、マンションの大規模修繕工事でも発生します。

修繕工事ではパイプがつながったままの室外機をあちらこちらに移動させるためです。
(ひどい場合はドレン勾配が崩されて異音や水漏れ、そのほか冷媒漏れ(ガス漏れ)となることもあります)

また室内の配管化粧カバーは見た目以外になんのメリットもない、逆に今回のようなデメリットとなるケースがあることを知っておく必要もありますね。

Katoairconservice_mark160

2023年12月26日 (火)

外壁の配管化粧カバーから水漏れ

外壁に設置されたエアコン用の配管化粧カバーから水が漏れるという点検依頼をいただきました😊

場所は東京都内の一戸建て。

当店へは今回はじめてご依頼いただいたお客さん宅です。

現地へ到着し状況は
外壁に設置された配管化粧カバーから水が漏れる
2階の配管穴から地面に設置された室外機付近まで配管化粧カバーで配管されています。

エアコンが2008年製なので設置されたのは15年ほど前。

しかしこの時期に冷房や除湿は使用しないので水漏れが起きたのは夏のことだと思います。

水漏れを再現するため室内機に注水してみると
室内機に注水すると外壁の配管化粧カバーから水が漏れ出た
窓の上のコーナー部品のところから水が漏れて滴下しています。

しかも結構量が多い。

お客さんはこの下にある窓ガラスに水が流れているのを室内側から見て気付いたそうです。
お客さんは窓に流れる水を見て漏れに気付いた
以上のような状況からほぼ何が原因かは察しがつきました。

本日も二連梯子でたのしい?高所作業😅
二連梯子を掛けて作業
2階の配管穴付近(地上約5.5m)へ上ります。

さてその前に1つ問題が・・・
配管化粧カバーが塗装で固着している
配管化粧カバーが外壁塗装の際に一緒に塗られてしまっており固着しています。

(ジョイント部品が上下逆さまについているのは施工した人のセンスなので気にしないことにしましょう😆)

カバーを開けようにも塗料でねじの頭が埋まっておりドライバーが立たず回せない。

ねじの頭の+部分を削ったりしてなんとか回して外しました。

このねじは再利用ができません。

それに加えてカバーの蓋も全部塗装で固着しているので叩いたり切り込みを入れて外しましたが一部割れてしまいました。

配管化粧カバーは叩き割らないと外せなくなることもあるので塗装してはいけません。

とくにこちらのようなモルタル壁では外壁と化粧カバーの隙間に塗料がしみ込んで固着し、カバーを交換する際にはモルタル部まではがれて高価な補修費につながります。

そこまで塗装屋さんは考えてくれないので施主が指示監督するしかありませんが。

なんとかカバーを開けて最上部の配管接続部が見えました。
配管化粧カバーを開けて配管接続部が見えた
見えているのは冷媒管です。

冷媒管と電線の裏にドレンホース(排水ホース)がありました。
ドレンホースが見えた
やっぱりね、予想した通りの状況。

ここのホース接続部で抜けてます。
ドレンホースが抜けている
ここから漏れ出た水が配管化粧カバーの中を流れて下のコーナー部品から滴っていました。

これはむか~しから現在までもよくあるド定番の症状。

ホース接続部はビニルテープを巻いて止めてあったのですがそれでは足りないのです。

時間がたつと冷媒管断熱材の縮みやホース自身の重さで引き抜け、ビニルテープが解けてこのような状態になります。

特に2階など高所から地面付近まで配管化粧カバーで施工した場合に多く発生します。

施工者はこれでよいと思っているのかもしれませんが未熟さが感じられます。

冷媒管の接続部は防湿テープで巻かれていました。
冷媒管接続部に巻かれた防湿テープを撤去する
このテープは使用場所が間違っているので撤去します。

半分は劣化で粉になっていました。

断熱強化のつもりだったのかもしれませんが雨水で濡れるようなところで使用するものではありません。

防湿テープを撤去すると断熱材は縮んで冷媒管(銅管)が露出していました。
断熱材が縮んで冷媒管が見えている
冷媒管の断熱材は収縮するのでテープの巻き方が悪いとこうなります。

そして接続部も施工がよくないので露出。
冷媒管接続部が露出
防湿テープでは断熱材にすき間ができ断熱不良となります。

それでは補修作業へ。

まずはこの冷媒管の断熱から。
断熱材をビニルテープで固定補強
断熱材に隙間ができないようにビニルテープで補強。

縮んだ分の断熱材は追加してその上からビニルテープ巻き。
断熱を追加しビニルテープで固定
これはまだ仮固定です。

つぎに抜けたドレンホースを接続。
抜けたドレンホースを接続した
この上からビニルテープで固定しましたがこれも仮固定です。

ビニルテープで巻いただけではまた時間が経つと解けて抜けます。

冷媒管接続部、電線、ドレンホース接続部をまとめてコーテープ(非粘着テープ)で巻き全体を固定しました。
冷媒管、電線、ドレンホースをまとめてコーテープで巻いた
こうすることで断熱の縮みによる銅管露出やドレンホースの抜けを防止します。

穴パテの補強。
穴パテの補強
その後配管化粧カバーの蓋などを取り付け、配管穴付近はコーキング(止水処理)をしました。

塗装で使えなくなったねじは交換。
塗装で使えなくなったねじは交換
カバーに適合する太さ3.5mmのステンレスです。

再度、室内機から注水してドレン排水の確認。
室内機に注水して排水状態確認
仮に置いた水受けに水が溜まり排水状態は問題なし。

そして水漏れしていたコーナーでは
配管化粧カバーからの水漏れは止まった
漏れはなくなりました😄

これにて修理完了😊

配管化粧カバーは誰が施工しても割ときれいに仕上がりますが、中の配管はどうなっているのかわからないのでこのような不具合が起こります。

見えないところに施工者の考えや性質が出ているのだと思います。

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2023年12月 3日 (日)

パイプの劣化等を補修

パイプのテープと断熱材がはがれて銅管が見えているが修理対応可能か、という旨のお問い合わせをいただきました😊

もちろんエアコンに関するものであれば大丈夫です😄

見積もりを出して補修作業を行うことになりました。

場所は川崎市内の一戸建てで、当店へは初めて依頼いただいたお客さん宅。

状況はこちら
パイプのテープと断熱材は劣化している
劣化しているのは室外機と配管化粧カバーの間。

室外機付近
室外機付近のパイプ劣化
テープははがれ、断熱材にも穴が開いて銅管が露出しています。

化粧カバーの近くも
パイプの劣化
だいぶやられてますね。

このようになる原因は直射日光による紫外線🌞

テープが劣化した時点でそれだけ補修するとよいのですが、そのまま放置すると次に断熱材が麩菓子のようにボソボソになり、風に吹かれて飛んでなくなります。

しまいには銅管がむき出しになりエアコンの効率低下へ。

さてそれでは補修作業を開始します😄

そのまえにちょっと古めの機種だけど・・・
使用冷媒がR22
室外機銘板にはR22の文字が。

これは冷媒(フロン)の種類でR22はオゾン層破壊防止の観点から2020年に全廃となり、当店でも現在では扱っていません。

ガス(冷媒)が抜けないように慎重に扱わないといけませんね😅

室外機を取り外した方が補修作業をしやすいのですが、それでは工数が増えて費用が高くなるのでパイプ類は接続したまま行います。

作業のため室外機を壁から離すように手前に動かしますが、置台が地面に少し埋まっているので台はそのままで室外機だけ移動します。
(台ごと動かすと元の位置に戻しづらくなるため)

室外機背面側の置台との固定ねじを外すためドリルドライバーに長いシャフトを付けました。
ドリルドライバーに長いシャフトを付けた

室外機の上部から差し込み置台のねじを外します。
室外機上部から置台のねじを外す

外したねじはマグネットでビットに吸い付いてきます。
ビットに付いているマグネットでねじが落ちない

壁の配管化粧カバーも開けてパイプを動くようにし室外機を手前に出しました。
室外機を壁から離すように移動した
これで補修作業ができます😄

配管化粧カバーに隠れていた冷媒管を見ると断熱材が切れています。
冷媒管の断熱材が切れている

ちょっと開いてみると銅管が見えました。
切れた断熱材を開いてみる
これは人為的に切ったあとですね。

多分、このエアコンは移設したものではないでしょうか。

移設時の取り外しの際、業者がテープをはがすのではなくカッターナイフなどで切り取ったときにできたものと思われます。

手間を惜しんでカッターで切ってしまうとこのようなことになります。

劣化したテープをはがしました。
劣化したテープをはがした

傷んだ断熱材も取り去ります。
傷んだ断熱材を撤去した

新しい断熱材をかぶせてビニルテープで固定。
冷媒管に断熱材をかぶせてテーピング

電線もまとめてコーテープ(非粘着の化粧テープ)で仕上げました。
コーテープで仕上げ
屋外用のコーテープは劣化を考慮し厚みのあるタイプを使用しています。

室外機を元の位置に戻して置き台へねじで固定しますが、
錆びたねじを新しいものへ交換
使われていたねじは錆びているので新しいものへ交換しました。

置き台へねじ固定。
室外機を置台へねじ固定

補修完了。
補修完了
受け付け時はこの1台のみの予定でしたが、ほか3台も確認をとのことで内2台がテープの劣化で続けて補修します。

2台目。
テープが紫外線で劣化している
やはり紫外線でテープが劣化しています。

しかしまだ断熱材までは劣化していないのでテープのみ補修します。

こちらも1台目とおなじ要領で作業をしました。
配管テープを補修した

これで2台完了。
2台の補修が完了
2台目の冷媒は現行のR32でした。

それでもパイプの扱いは慎重にしなければなりません。

万一室外機と銅管の接続部が切れてすっぽ抜けたら大変ですからね。

エアコンの冷媒は新しいタイプほど圧力が高くなってますので。
(暖房時には3MPa(30kgf/c㎡)以上)

そして3台目。
3台目の配管テープ補修をする
こちらも2台目と同じくテープ補修のみを行います。

ちなみに冷媒はR410Aで1世代前のものです。

テープの劣化も少々進んでいますが巻き方がおおざっぱで断熱材があちらこちら見えてます。
テープの隙間から断熱材が見える

配管化粧カバーを開けるため上を見上げると
配管化粧カバーに違和感
なんとなく違和感🤔

ここにすき間があります。
配管化粧カバーにすき間がある
すき間といってもつなぎ目のわずかなものではなく、下にのびる直線のカバーのフタが下がってできたもの。

左の方はフタが少し浮いているのが確認できます。

カバーが寸足らずのためこうなっていました。

こちらの室外機と置台を固定しているのはボルトナット。
室外機は置台にボルトナットで固定されている

ドリルドライバーに取り付けたシャフトの先端を17mmソケットに交換しました。
プラスビットから17mmソケットへ交換した
これで簡単に取り外すことができます。

外したナットとワッシャーはマグネットで回収。
外したナットとワッシャーをマグネットで回収
そして室外機移動。

室外機背面の地面を見るとドレンホースが横たわっています。
ドレンホースが地面に横たわっている
これもやってはいけない施工。

ドレンホースは土や砂利の地面より5~10cm程度上で切断するものです。

プロのエアコン屋なら当然知っていることだと思うのですが・・・

テープを補修しドレンホースを適切な長さに切断しました。
テープを補修しドレンホースを切断

寸足らずの配管化粧カバーのフタを上方へスライドさせて先ほどのすき間を無くし、
配管化粧カバーの下がり防止にコーキングを付けた
下がり防止に継ぎ目の一部にコーキングを付けました。

あとは再度室外機と置台をボルトナットで固定しすべての作業が完了😊

こうして見ると不具合のもとになりそうな施工の多いことがわかりますね。

見れば見るほど気になるところが出てくるので困ったものです。
(なるべく見ないようにしないと😅)

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2023年11月14日 (火)

上下風向ルーバーが動かない

エアコン室内機の上下風向を調節するルーバーが動かなくなったという点検依頼をいただきました😊

さっそく点検開始します👀
上下風向ルーバーが動かなくなった室内機
リモコンで操作してもルーバーは止まったままで動きません。

運転を停止しても閉まらず中途半端に開いたまま。

前面グリルを外して本体左端にあるルーバーを動かすモーターを見てみます。
ルーバーモーター
リモコンを操作すると「ジジジジ、ジジジジ」とかすかに音が聞こえます。

しかしモーターから出ている軸はまったく動きません。

モーターを室内機から外して手で持ってみると
ルーバーモーターを手で持ってみると内部が動いている
振動が手に伝わって内部が回っていることがわかりました。

モーターがどこか故障しています。

1か月ほど前に業者を呼びエアコン洗浄したとのことですが、それに起因するものかはわかりません。

修理費用を見積もりして直すことになりました😊

部品が入荷し再訪問🚙💨

また前面グリルを外します。
修理のため室内機の前面グリルを外した

モーターのリード線は室内機右側面にある制御基板に接続されています。
室内機の制御基板
モーターとリード線は一体になっているため配線も入れ替えます。

撤去した故障モーター。
故障したルーバーモーターを撤去

こちらは取り寄せたモーター部品。
取り寄せたルーバーモーター部品

一応、新旧のモーターを見比べます。
新旧のモーターを見比べる
違いはありません😊

モーターを取り付けて配線中。
ルーバーモーターから制御基板まで配線する
おかしなところを配線すると水漏れすることもあるので確認しながら行います。

そして制御基板へコネクタ接続。
制御基板へコネクタ接続
基板上は発熱する部品もあるのでそこを避けて通します。

室内機をすべて元通り戻して
室内機のグリルやルーバーを元通り戻す
元電源を入れるとルーバーが動き出し吹き出し口が閉まりました。

運転すると開いて正常です😄

これにて修理完了😊

上下ルーバーは冷房時は上(正面)向き、暖房時は下向きにします。

正常なエアコンであれば自動でそのような向きになります。

むか~しはモーターが付いておらず手で動かして調整してましたね。

モーター付きのルーバーは無理に手で動かすと壊れるので取扱いに注意しましょう。

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2023年10月17日 (火)

冷房を運転すると暖房になる?

さて前回と同じお客さん宅で2台目のエアコン点検です😊

こちらの故障内容は冷房を運転すると室内機から熱風が出て暖房になってしまうというもの。

室外機内部の部品故障が一番に考えられます。
冷房運転しても暖房になる室外機を点検する
1台目と同じ室外機に見えますが同じメーカーでシリーズの異なる機種です。

疑われる部品としては冷暖房を切り替える”四方弁(四方切替弁)”や”制御基板”の故障。

じつはメーカーさんに数週間前に一度点検してもったそうで、結果は四方弁の故障でその部品の供給が終了しており修理不能と判断されたとのこと。

四方弁により冷媒の流れを冷房と暖房とで切り替えるため、それが壊れるとどちらかに止まったまま動かなくなることがあります。
(ごく稀に中間で動かなくなっているものもありますが)

ちょっと見づらいですがこちらが四方弁の参考画像(別機種)
四方切替弁
青色の電磁コイルで手前の小さな弁を動かし、次に冷媒の圧力で奥の大きな弁を切り替えます。

しかしメーカーさんの点検結果が信用できないということで当店へご連絡いただきました。

こちらのエアコンも製造から20年経っているのでたしかに部品がない可能性が大ですね。

もちろんそのことは事前にお客さんへ伝えてあります。

では点検開始。

冷房運転してみると確かに暖房サイクルに入っています。

暖房運転しても暖房サイクルです。(ずっと暖房😅)

これでは暑いと思ってリモコンの温度設定を下げれば下げるほど暖房が強く効きます。
(こりゃたまらん😆)

まずは室外機の天板を外して制御基板を見ます。
室外機の天板を外して基板を点検する

回路図から四方弁へつながるコネクタを見つけました。
四方弁へつながるコネクタ
コネクタを抜いて四方弁コイルの抵抗を測定すると550Ω程度でした。

コイルの断線やショートではなさそうです。

次に回路計(テスタ)を使い基板からの出力電圧を調べます。
回路計(テスタ)で基板からの出力電圧を調べる
冷房運転したり暖房運転したりしましたが基板からは全く電圧が出ていません。

この時点で制御基板の故障はほぼ確定です。

メーカーさんの”四方弁故障”の判断を検証するためもう少し調べます。

ここでメーカーの技術部へ電話し当機種の四方弁コイルの仕様をを聞くと、
・冷房時にAC100Vで駆動(励磁)。
(暖房時は無電圧)
・巻き線抵抗は550Ω程度で問題なし。
との回答をいただきました。

巻き線抵抗550Ωあれば100Vを印加しても0.2A以下と頭の中で計算して直接100Vをコイルに掛けて四方弁の動作を見ることに。

実際にはAC(交流)なのでコイルのリアクタンス(虚数のΩ)が加わり合計のインピーダンスは550Ωより大きくなります。
(ちょっと専門的すぎ😆)

なお不慣れな方はこういうテストは思わぬ事故になるのでやってはいけません。

また現在ではDC(直流)の極性反転で冷暖房を切り替えるタイプが主流なので事前の確認は必要。

ちょっと工夫してコンセントからコイルに直接AC100Vをかけてみました。
コイルに電圧をかける
四方弁から”カチン”と音が聞こえました。
(お、これはいけるんじゃないの?)

そしてこの状態でエアコンを冷房運転。

すると冷媒の流れは冷房サイクルに入り冷房が効くようになりました😄

当方の結論は四方弁のコイルおよび弁の動作に異常はなく、制御基板の故障でまちがいありません。

おそらく基板上のリレー回路周辺がダメになっているのでしょう。

リレーをペシペシ叩いたり揺すったりしましたが電圧は出てきませんでした。
(昭和の修理技術😆)

メーカーサービスステーションへ電話したところ基板の在庫は少ないがまだ有り(ラッキー😄)

修理の依頼もいただきました😊

部品発注・入荷して後日再訪問。
再訪問しエアコンの修理を行う
また外板を外します。

故障した制御基板を取り外し撤去。
故障した制御基板を取り外し撤去
前回の記事でも書きましたがこの時代までのエアコンはパワーモジュールやダイオードスタック、平滑コンデンサが別部品で配置されています。

そのため制御基板の部品価格は現在主流の一体基板よりかなりお安め。

しかしその分接続される配線が多くなり修理には手間がかかりますが😅

接続本数が多いため差し忘れなどがないように抜いたコネクタやファストン端子には黄色のテープを付けています。

取り寄せた部品
メーカーから取り寄せた部品

箱から出して異常がないか目視で確認。
制御基板を箱から出して目視で確認

取り付けて配線をすべて接続完了。
制御基板に配線を接続
周囲の部品にも抜けなどが発生していないか一通り確認。

交換した基板だけに集中していると周りの配線が抜けたことに気付かないこともあるので。

久々の配線の多さに翻弄されました😅

基板下部のコネクタ類は周囲の部品で手が入らなくてちょっと苦戦。

あとは室外機の外板を取り付けてもとに戻します。

ついでにこれも直しましょう。
電線が長すぎる
室内外機の連絡電線ですが長すぎ。

これまで余分な線はカバーの中に曲げて押し込んでありました。

修正してスッキリ。
電線を修正した
室外機の中に赤いランプが付いているのが見えますがすでに冷房運転中。

バルブ付近の温度を測定します。

室内機への往き11.5℃
室内機への往き管11.5℃
ちょっと低めです。

室外機への戻り1.5℃
室外機への戻り管1.5℃
低いですね。

冷房の調子は良いのですが、ヒートポンプサイクルとしては湿り運転でしょう。

長年にわたり使われたので室内機のフィルターやファン、熱交換器がホコリで詰まっているかもしれません。

これはエアコンクリーニングなどで対応していただければと思います。

暖房運転(四方弁切り替え動作)も問題なく無事に修理完了です😊

今回の修理で
「これから暖房だから修理は来年でも・・・」
と思った方がいるかもしれませんね。

でもそれは誤り。

冬にも四方弁が切り替わり冷房サイクルに入るんですよ。

「そんなわけないでしょ・・・なんで?」

と思いますよね。

暖房時には室外機の熱交換器が凍り付いてしまうことがあります。

それは寒くて湿度の多い日。
(雪が降ったりしたときは特に)

そうなると室内機から吹き出す温度も低くなり能力が出なくなります。

そのようなときエアコンは除霜モードに切り替わりヒートポンプを冷房サイクルにして凍った室外熱交換器を溶かし乾燥させます。

暖房時に時々ランプが点滅したりして止まったように見えるのは除霜運転中です。
(点滅したままずっと動かないのは故障だったりしますが)

なので今回のような故障は来年へ持ち越そうと考えてはいけません。

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