2年程前に船長室のエアコンを修理した船で、今回は冷蔵庫のコンプレッサー交換です。
場所は横浜ベイサイドマリーナ。
前回に引き続き当店をご利用いただきありがとうございます😊
(記事の内容が専門的なことが多くわかりにくいかもしれませんのでご了承ください)
なにも起こらなければよいが・・・と思ってましたがやっぱり今回も・・・
機械室の中

ここで氷を作って冷蔵庫へモーターで送るようになっているそうです。
コンプレッサー故障でスイッチが入るとブレーカーが落ちるとのことで交換することになりました。
冷蔵庫ははっきりいって専門外。
冷媒はR134aで車のエアコンと一緒ですね。
R134a用の専用工具類はお客さんが持っているそうなのでお借りしておこないます。
なおこの船に搭載されている空調や冷蔵、冷凍装置はみな海外製で原理は同じでも日本とは異なる部分が多々あります。
午前9時頃に現地到着

駐車場からカートを借りて船の横まで。
途中には関係者以外の人が入れないようにゲートがあるため迎えに出てきてくださいました😊
ではさっそく機械室へ

作業の邪魔になる部分は事前に取り外してありました。(ありがとうございます)
でもガスはほとんど入ってません。(いやなよかん・・・😱)
溶接器でパイプ類を外したら、クルーの方がコンプレッサー本体の入れ替えをしてくれました。

えー、なにか気付きました?
形がちがいますね。
ここが海外製です。
前のコンプレッサーはもうないので「代わりにこれを使って」てな具合です。
日本であれば供給終了でおわりですが、さすが考え方がちがいますね。
となれば当然接続口の配置も

うひょ~😱全然ちがいます。
切ったり曲げたりつないだり・・・

なんとか形になりました。
もう一つポートがあります。

ここには圧力スイッチやサービスポートが付きます。
ようやく全部接続が終わって真空引きを開始!
その間に昼食をいただきました😄
しかしいつまで経ってもポンプの音が変わらない・・・🤔
どこかから漏れてますね。
真空ポンプを止めるとすぐに大気圧まで戻ってしまう状態。
逆に圧力をかけて漏れ箇所を探すことにしました。
リークディテクタで探ろうにも結構な量が漏れているので「ピピピピピ・・・」どこでも反応してしまい使えません。
諦めて泡による検知に切り替え。
今回行った溶接箇所には漏れはなし。
しばらく、”ここでもない、そこでもない・・・”と探していると、
なんとなくガスの臭い・・・パイプに巻かれた断熱材の切れた部分からしてきます。
この奥か・・・とパイプの断熱材を全部はがします。

あった!
ここは機器の上部奥になる熱交換器部分

近づくと

泡が出て漏れているのがわかります。
ケースの中で漏れているので溶接修理はムリ。
どうするか相談していたところお客さんがこの部分のケースを全部はがすとのこと。
船上でしばらく待っていると「あ、ここだ!大丈夫直せる」と聞こえてきました。
見るとアキュームレータと思われる部品の付け根で銅管がパックリ切れてました。
画像は撮り忘れてます。(半分放心状態)😅
以前から切れて少しずつガス漏れしていたところへ今回のコンプレッサー交換でパイプが動きさらに広がってしまったようです。
溶接できるところまで機器を出してもらい、アキュームレータと熱交換器の周囲に隙間なく注入されたウレタンを丹念にすべてはがしていただきました。
ウレタンに溶接の火や熱で燃え出すと火事になりますからね。
溶接修理後

この部分1/4位が切れてました。
しかしこのアキュームレータは熱伝導率の高い銅でできているため溶接しようにも熱がどんどんそちらへ奪われてしまい酸素が減るわ減るわ。
しばらくあぶってようやく着きました。
続けて真空引きとガス入れ完了。
機器類はクルーの方々が元に戻してくれるので片づけをしながらしばらく休憩。

そろそろ夕方です。
コンプレッサーの電源配線も担当の方につないでいただくのですが日本の製品のように端子台などという気の利いたものはついてません。
配線図

これを見て電源を接続します。
そしてこれがコンプレッサー始動用の電装品

ここのランコンデンサとポテンシャルリレーの端子に電源を接続します。
これじゃ間違えて壊す人いると思いますよ。
ポテンシャルリレーはコンプレッサー始動用のリレーですが日本ではあまり使われないもののようで調べてもちっとも出てきません。
わたしが知らないだけかもしれませんが。
海外のサイトでいろいろ調べましたがなかなか難しいリレーです。
コンプレッサーの始動巻線の逆起電力で動作しスタータコンデンサを切り離す・・・
そして接続も終わって試運転。
これで終わりかと思ったら・・・
低圧カット!
あちゃ~😱
何回リセットしても低圧カット。
低圧異常といってコンプレッサーの吸入圧力が下がり過ぎると作動する保護装置です。
冷媒の凝縮に使用する海水の流量を絞ってもらいましたがダメ。
以前から低圧カットはしょっちゅうしていたとのこと。
これは・・・最悪キャピラリーチューブが詰まっているかもしれません。
もう辺りはすっかり暗くなり諦めムードの中、終了となりました。
あくる日、考えられる原因と対策の検討のためお客さんへ電話をすると「製氷用の水が出ていないらしいのでそれが原因かもしれない」とのこと。
たしかに製氷用の水が出ていないと冷媒の蒸発が不十分になってヒートポンプサイクルでは全体の圧力が下がり低圧カットします。
そういえば試運転の際にここの水がなかったような記憶が・・・

まあそもそもコンプレッサー交換と冷媒管を担当で作業しており、他の水回りの関係はお任せして気にしてなかったため気付きませんでした。
これが原因ならうれしいですね。
ほかの船でも水のノズルが詰まって低圧カットというのはよくあることだそうです。
つぎにもう一つコンプレッサー交換があるそうですが、なんとか同じものを手に入れるようにするそうです。(お願いします)
何十回も桟橋と船の間を飛び移っていたので筋肉痛になりました😅
お客様をはじめクルーのみなさん本当にお疲れさまでした。

http://kato-aircon.com/