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エアコンの構造

2022年11月25日 (金)

冷暖房を切り替える弁

ここのところ暖かくなったり寒くなったりと徐々に冬に近づいてきましたね😊

これからは暖房を使用するシーズンです。

エアコンの暖房はどうやっているの?と思っている方もいるのではないでしょうか。

本体の中に電気ヒーターが入っている?

昔のルームエアコンでは補助ヒーターとして電気ヒーター(電熱)が使われていたり、いまでも一部業務用エアコンでは使われているようです。

でも現在のルームエアコンは電気ヒーターは使わず冷房と同じことをして暖房をしているんですよ。

それに欠かせないのがこれ、
冷暖房を切り替える四方弁
四方弁(四方切替弁)です。

円筒形で冷媒(フロン)の通る銅管が上から1本、下に3本つながっています。

”しほうべん”とか”しほうきりかえべん”などと呼び、エアコンに精通している人は”4切弁(よんきりべん)”と言ったりします。

円筒形の筒の中にスライドする弁が入っています。

弁の断面図
四方弁の断面図
かなり簡略してますがこのようになっています。

水色の部分は冷媒が流れるところで、白い部分はスライドする弁です。

そして切り替わると
四方弁の弁が右へスライド
弁が右へスライド。

これだけで冷暖房が切り替わります。

ではこれに冷媒サイクル(回路)を加えて冷房時の運転状態を見てみます。

まずは冷房サイクル。
冷房サイクルの図
赤色は冷媒の高圧となる部分、青色は低圧部分です。
(図はクリックで大きく見れます)

左にあるコンプレッサーで圧縮された”高温高圧ガス”は四方弁を通り右下の管へ出ていきます。
(ここでいうガスはガス状の冷媒のこと)

つぎに室外機の熱交換器へ入り、そこで冷媒は冷やされて温度が下がりながら液化し”中温高圧液”になります。
(このとき室外機から熱風がでる)

つぎに膨張弁を通過すると一気に減圧、”低温低圧半液”状態になります。

それが室内機の熱交換器へ流れ込み、室温で温められて”低温低圧ガス”へと変化します。
(このとき室内機から冷風が出る)

そしてコンプレッサーへ戻ってまた圧縮されて再び”高温高圧ガス”へ・・・あとは繰り返し。

とまぁ、こんな感じです。

このことを理解すると気づきますよね。

室内機と室外機を入れ替えれば冷暖房が切り替えられると。

そのための四方弁。

では次に四方弁を切り替えた暖房サイクルです。
暖房サイクルの図
四方弁の弁が右にスライドしました。

するとコンプレッサーから来た高温高圧ガスは左の管へと流れ出ます。

そこからつながっているのは室内の熱交換器。

室温で冷媒が冷やされて液化と同時に室内機から温風が出ます。

室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器の部分は冷媒の流れが冷房と逆になりました。
(コンプレッサーの流れは変化しません)

これが四方弁の役割です。

しかしこの弁を動かすには大きな力が必要。

そこでもう1つ小さな弁が脇に付けられていてそれを電磁力で操作し、冷媒の高圧、低圧の圧力差を利用し大きな弁を動かしています。

なのでコンプレッサーが作動していないとこのタイプの四方弁は動きません。

最近のエアコンではあまり聞きませんが、たまにエアコンから”プシュー・・・”と聞こえるのは弁が切り替わった時の音です。

弁が故障すると暖房をかけても室内機から冷風が出たり、またその逆ということもあります。

ややこしい話になってしまいました😅

ルームエアコンは四方弁により冷房と暖房が同じ原理で動いているということですね。

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2022年9月23日 (金)

ブラシレスDCモーター分解

先日こちらで取り上げた修理記事で取り外したモーターを分解してみます😊

これです。
エアコンの室外機ファンに使用されていたブラシレスDCモーターを分解する
ブラシレスDC(直流)モーター。

室外機のファンモーターに使用されていました。

まずはその前に昔多く使われていた単相誘導モーターはというと・・・
昔のエアコン室外機ファンに使われた単相誘導モーター
このモーターは交流(AC)電源で回ります。

開けてみると
単相誘導モーターを開けてみた
リード線は直接コイルの巻き線に接続され単純な造り(電気回路)です。

そして本題のブラシレスDCモーター。

ブラシレスではないDCモーターで身近なものは子供のころよく使ったマブチの130モーターなんかもそうですね。

でもそれらと異なる点は”ブラシレス”で文字通りブラシという消耗部品を使わずDCモーターの効率の良さを活かせるところ。

しかしブラシや整流子を無くしてDCモーターを回転させるにはそれに代わる機構が必要になります。

それを電子回路で行っています。

では分解してみましょう。

まずはカシメを起こして金属枠を外しました。
モーターの金属枠を外した
すると中にはリング状のゴムパッキンで防水されていました。

背面の金属カバーを外すためリード線引込口のプラスチックを割ると
モーター背面の金属カバーを外すためリード線引込口のプラスチックを割った
さっそく基板が見えてます👀

室外機本体の制御基板だけではなくモーターの中にもまた制御基板。

リード線は巻き線ではなく基板につながってます。

そして金属カバーを外そうと力を加えますがまったく動じません。

モーター軸部分を小型の万力に挟みハンマーで叩いて外しました。
モーターの背面金属カバーをハンマーで叩いて外した
外周と軸受けのベアリングがカバーに圧入されて外れにくかった。

こちらがモーター内部の制御基板
ブラシレスDCモーター内の制御基板
部品点数が少なく単純に見えますね。

赤い丸いものはベアリングと金属カバーの間に入っていたものです。

上のほうに見えるのはモーター駆動用のICで内部回路のスイッチングでモーターの巻き線に電流を流します。

そのため熱が放出されるので白い放熱グリスがついてます。

金属カバー側にも
IC放熱のため放熱グリスがついている
放熱グリスがついてました。

さて単純そうな基板ですが裏側を見てみると
基板の裏側のほうが部品が多い
こっちのほうが部品点数が多いですね。

こちらが表側といった感じ。

そしてまたIC
モーター制御用IC
こちらはモーター制御用のようです。

モーター回転子の位置を正確に読み取り駆動用ICを制御しているものではないでしょうか。

位置検出にはモーター内部にホールセンサなどを使っているのかもしれません。

ブラシと整流子の代わりをする回路はこれだけ複雑になり故障が多くなるも頷けます。

昔から使われている単相誘導モーターのほうが構造が単純なため長持ちするのは当然ですね。

使用時に高効率、省エネというものは生産時の環境負荷、高コスト、そして短寿命で全体的には大した貢献はしていないのかもな・・・

などと考えながら分解はここまでにしてモーターは処分。

なお、このブラシレスDCモーターが故障するとそこに接続された本体側(室内機や室外機)の制御基板にも波及して一緒に壊れてしまうことがよくあります。

そのためモーターと本体の制御基板をセット交換することになるわけです。

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2022年3月17日 (木)

バルブのキャップ

エアコンの室外機には冷媒を止めたり流したりできるバルブ(弁)が付いています。
室外機にあるバルブ
(参考画像)

新品の室外機には冷媒が予め規定量封入されています。

そのため設置工事では室内機を冷媒管で室外機に接続して真空引きをし、このバルブを開くだけでヒートポンプサイクル管内が冷媒で満たされます。

もし真空引きをせず大気が入ったままバルブを開けてエアコンを使用すると圧力が異常上昇したり空気中の水分が氷結して管路を詰まらせ能力低下の原因になるんですよ。

それはさておき先日新築のお宅でエアコンを設置していると、
「別の業者に2台の工事をしてもらったところバルブのキャップを手で締めただけだったが大丈夫か?」というような質問をいただきました。

バルブはキャップを外すとこのようになっています。
バルブのキャップを外して六角レンチを差している
(参考画像)

六角レンチを使用して回転させることによりバルブを開閉できるようになっています。

回転するということはそこに隙間があるので内部はシールパッキンで冷媒が漏れないような構造になっています。

しかし・・・

冷媒は圧力変化が大きく冷房時は0.3MPa(3kg/c㎡)くらいまで下がることがあり、暖房時は逆に4MPa(40kg/c㎡)近くまで上昇することがあります。

この圧力変化や圧力そのものでどうしても少しずつ冷媒が漏れたり、時にはパッキンがズレて漏れが多くなることもあります。

その時にキャップがあれば漏れ量は最小限にできます。

キャップ内の圧力も高くなるので一層漏れにくくなるわけです。

なので単なるホコリよけとか腐食防止ではありません。

取り外し工事でバルブキャップをレンチで緩めると必ず”プシュッ!”と圧力の抜ける音がします。

キャップ内に冷媒が漏れてきている証拠です。

手締めではダメなことは明らか。

お客さんへはレンチで締めなければならない旨伝えました。

「できれば点検してほしい」とのことで帰り際に見てみると、

ほんとうに2台とも手締めでしたよ😆

真空を引いたり冷媒を入れたりするサービスポートのキャップも手締め。

こりゃ単に忘れたのではなく知らないんでしょうね。
(こわいこわい)

お客さん立ち合いでサービスポートも含め計6つのキャップをレンチで締めました。

これでひと安心😊

設置工事をしたのはまだ若い人だったようなので教えた人が同じことをしていたんでしょう。

手抜きの伝統が脈々と受け継がれています😆

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2020年5月 8日 (金)

エアコンの原理は難しくない?(6)

今回は蒸発です😊

エアコンの原理についてはこれで最後になります。

ヒートポンプサイクルの蒸発

前回までご覧になられていればどこかはわかると思いますが
室内機の熱交換器
冷房時は室内機の熱交換器です。

膨張弁から流れてきた冷媒は低温低圧の半液です。

そこへ室内機のファンで送風します。

冷媒は半液だったものが部屋の空気中の熱を吸収しながら(奪いながら)蒸発します。

それに加え、圧力が低いので蒸発しやすい状態なんですよ。
例えば、よく聞くのが富士山の頂上では大気圧が低いのでお湯を沸かしても80℃台で沸騰蒸発してしまうといいます。
圧力が低ければ沸点がさがり蒸発しやすいということですね。

蒸発時に熱を奪うことをメーカーの講習などでは「暑い日に打ち水すると涼しく感じる」などと説明しています。

これを子供でも感覚でわかるのは屋外でプールなどから出たとき体に水滴が付いているときはすごく寒く(ガタガタブルブル)感じるのに乾いたとたんに暑くなるということがありますね。

室内機から出てくる風が涼しいのはこのためです。

膨張弁からきた冷媒が低温、低圧なので蒸発器で効率よく吸熱(熱の移動)、蒸発(状態の変化)します。

熱交換器で冷媒は低温低圧半液から低温低圧ガスへと変化。
蒸発器の図
再度コンプレッサーの吸入へと戻っていきます。

サイクルの対面にある凝縮器とはこれまた全く逆の役割ですね。

このとき蒸発器でも凝縮を起こしているところがあります。

上の図にある熱交換器表面。
この部分には部屋の空気中の水分が冷やされて凝縮し結露します。

この水が夏に屋外に排水されているドレン水です。

エアコンのヒートポンプサイクルでは冷媒の”温度”、”圧力”、”状態”の3つが変化し熱を運んでいること(ヒートポンプ)が少しは感じ取れたでしょうか。

熱が温度として伝わる(顕熱)だけでなく、冷媒の状態の変化で伝わる(潜熱)という考え方も必要です。

最後にヒートポンプのサイクル図に冷媒と熱の動きを書き入れてみました。
ヒートポンプの冷媒と熱
やっぱり難しい?😅

これは冷凍機や車の冷房などでも冷媒は変わりますが原理は同じです。

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2020年5月 7日 (木)

エアコンの原理は難しくない?(5)

今回は膨張です😊

ヒートポンプサイクルの膨張行程

圧縮がコンプレッサーで行われているため、膨張もさぞ大掛かりな機器なのではと思われるかもしれません。

室外機の中のこれです。
室外機内の電子膨張弁
小さな電子膨張弁。

膨張弁とか減圧弁と呼ばれます。

単に冷媒サイクルの途中に狭く通りにくい部分を作って流量を絞っているだけです。

画像の電子膨張弁は現行のルームエアコンではほぼあたりまえの装備で、半導体センサで冷媒の温度を検知し電子制御でステッピングモーターを回し膨張弁の開度を調整するため冷媒流量制御範囲が広いのが特徴です。

以前は電子制御ではなく、感温筒という封入ガスを使った冷媒温度検知部とそのガス圧でダイアフラムを動作させ弁の開度を制御する機械式の膨張弁(応答性、耐久性が低い)や、冷媒温度検知を行わないキャピラリーチューブ(内径1mm程度の管で古くなるとよく詰まる)だけのものが多く存在しました。

絞られた狭い部分を冷媒が通るためコンプレッサーの吐出から膨張弁入口までが高圧になり、膨張弁出口からコンプレッサー吸入までが低圧となります。

コンプレッサー(加圧、圧縮)とは反対の減圧、膨張の役割をしています。

冷媒が膨張し蒸発し始め温度は低くなります。

これらのことからコンプレッサーとはまったく逆の存在であることがわかりますね。

凝縮器で液化した中温高圧の液冷媒が膨張弁を通過すると低温低圧の半液へと変わります。
膨張弁の図

これが膨張です。

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2020年5月 6日 (水)

エアコンの原理は難しくない?(4)

えー、今回は凝縮です😊

まあ私も習ったわけではなく工事や修理をしているうちに「あ、こういうものなんだ」と感じ取ったことが多いので、かなり独特(変)な説明になっていることをご了承くださいませ😅

ヒートポンプサイクル、凝縮

冷房時にはこちらの室外機の熱交換器
室外機の熱交換器
ここが行います。

凝縮って意味がよくわからないかもしれませんね。
ガス状の冷媒を液化することです。

コンプレッサーから熱交換器に入ってきた冷媒は高温高圧ガスです。

それをどうすると液化できるのか・・・

まず冷媒が高温なので熱交換器に外部のファンで大気の風を当てると内部の冷媒が冷まされます。
と同時に熱交換器表面を通過する風は熱風へと変わります。
夏に室外機の前に立つと出ているあの熱風です。

ここで冷媒の熱エネルギーを大気中へ放出していることがわかりますね。

すると冷媒は凝縮されてガスから液体へと変化します。

鍋に水を入れて火にかけると高温の水蒸気がフタで冷やされて結露し水滴がつきます。
それと同じことが熱交換器内の冷媒でおきます。

それに加えコンプレッサーからきた冷媒は高圧となっています。

料理に使用する圧力鍋は気圧を上げることによって水の沸点を高くして高温の調理が可能になっていますね。
同じように高圧の冷媒は停止時の圧力よりも沸点が高くなっているため液化しやすい状態になっています。

そのため熱交換器内の高圧環境下で冷まされた冷媒はどんどんと液化しながら通過していきます。

冷媒の熱を屋外へ放出(熱の移動)しながら液化(状態の変化)する。

コンプレッサーからきた冷媒が高温で高圧だからこそ効率よく放熱、凝縮できます。

結果、熱交換器を出た冷媒は中温高圧の液になります。
熱交換器による冷媒凝縮

これが熱交換器でおこなう凝縮です。

なお暖房時はこの凝縮行程を室内機の熱交換器でおこないます。

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2020年5月 5日 (火)

エアコンの原理は難しくない?(3)

ヒートポンプに流れる冷媒がどのように変化するか・・・

今回は圧縮での冷媒の変化😊

なおこの先、冷媒の”圧力”、”温度”、”状態”の3つを同時に想像することが必須となります。
状態は”液”(液化した状態)や”ガス”(蒸発した状態)などです。

ヒートポンプの圧縮

圧縮はエアコンの心臓部ともいわれるコンプレッサーで行います。
圧縮には大きな力が必要なためエアコンの電力消費のうちほとんどがここで消費されます。

コンプレッサー
室外機のコンプレッサー

停止しているときの冷媒圧力は周囲の温度に影響されて変化しますが20℃程度の環境で1.4MPa(メガパスカル)位です。
(現在のルームエアコンの場合)

コンプレッサーが回り始めると冷媒サイクルに高圧と低圧という圧力差ができます。

高圧側は停止時よりも高く、逆に低圧側は低くなります。

コンプレッサーは圧縮と同時に冷媒を循環させるポンプの役割を果たしていて、吐出管からコンプレッサーの対面にある減圧弁(膨張行程)までが高圧、そして減圧弁から戻って吸入管までが低圧。

減圧弁は冷媒の通り道がとても狭いのでこのような圧力差が生じます。

なので
高圧となるのはコンプレッサーの圧縮吐出力。
低圧となるのはコンプレッサーの吸入力。
です。

冷媒はコンプレッサーに低圧ガス(ガスは蒸発した冷媒)で吸入、圧縮されて高圧ガスで吐出。
もしコンプレッサーに蒸発不足の液状の冷媒が多く吸入されると液バックなどといって、圧縮しシリンダ内が液で満たされた瞬間に衝撃で破損😱します。

そして圧力に加えて変化するのが冷媒の温度。

おおよその参考値ですが吸入での温度が5℃位だとすると吐出は80℃位。
圧縮することで一気に上昇します。

これは自転車のタイヤに空気をいれるポンプなどでも起こりますね。
力強く空気を入れているとポンプが熱くなります。

コンプレッサーの吸入は低温低圧ガス(温度、圧力、状態)、吐出は高温高圧ガス。
コンプレッサーの図
これがヒートポンプには欠かせない要素です。

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2020年5月 3日 (日)

エアコンの原理は難しくない?(2)

ヒートポンプサイクルは各行程をどの機器が担っているのかルームエアコンで冷房のみに限って見ると、

前回のサイクル図に機器名を入れました。
ヒートポンプサイクルと機器名
こうなります。

”コンプレッサー”という名称はよく聞くのでこれはご存知の方が多いことでしょう。

日本名では圧縮機。

その対面に位置しているのが減圧弁。
膨張弁ともいいます。

コンプレッサーと減圧弁は室外機の中にあります。
20042910

つづいて凝縮用の”熱交換器”。

冷房時では同じく室外機のこれ。
室外熱交換器で冷房時は冷媒を凝縮
室外機にある熱交換器。

そしてその対面に位置する蒸発用の”熱交換器”。

冷房時は室内機の熱交換器です。
室内熱交換器で冷房時は冷媒を蒸発

主にこれらの4つ機器で行っています。

エアコンの修理などをしているプロでも室内機の熱交換器を”エバポレーター(蒸発器)”、室外機の熱交換器を”コンデンサ(凝縮器)”と表現している場合がありますが、これは冷房時に限った場合の表現で冷暖房エアコンの場合は正しくありません。

冷房時と暖房時は室内と室外の熱交換器が逆の役割をするためです。

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2020年5月 1日 (金)

エアコンの原理は難しくない?(1)

エアコン等の冷媒サイクル(ヒートポンプ)の原理はそれほど難しいものではありません。
(冷媒:熱を運ぶ媒体となるもので多くのエアコンではフロンガス)

これはそのヒートポンプサイクルです。
ヒートポンプサイクル
圧縮→凝縮→膨張→蒸発→戻って圧縮・・・

この4つの行程を延々と同時に繰り返しているだけです。
これだけで冷房、暖房ができるんですよ。

このサイクルは冷媒管で環状に接続された機器での冷媒の状態変化を表しているものです。

なので矢印の部分は冷媒管(接続管)と思って差し支えないと思います。

よくエアコンのガスが減ると耳にすると思いますが「蒸発」ってところでなくなっていくようなイメージを持つ方もいるかもしれませんね。

この蒸発はあくまでも機器内で起きている冷媒の状態の変化であって消えていくわけではありません。

ガスが減るのは消費や蒸発ではなくどこかに穴があって外部(大気中など)へ漏れているからです。

そのため漏れがなければ冷媒が減ることはありません。

車で毎年定期的にエアコンのガス補充をしているのであればそれは漏れている証拠です。

先ほどの話に戻って4つの行程を見てもこれじゃ何がなんだかわからないと思います。

でもこの4つの内、対面にある”圧縮”と”膨張”、そして”凝縮”と”蒸発”はそれぞれ文字通り逆のことをしていることがわかります。

繰り返しのサイクルなのでこの真逆のものがないと成立しないということですね。

こう考えると少しはこのサイクルを覚えやすくなったのではないでしょうか。

また繰り返しのサイクルではバランスというものが大切。
どこかに不具合があればたちまちヒートポンプサイクルは破綻します。

今回はこれまで。
エアコンのどの部分がどの行程を担っているのかについて次回書く予定です。

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2020年2月 2日 (日)

室外機と室外機は1セット?

取り外した室外機を知り合いにあげたいとの相談をいただきました。

先方の室外機が調子悪いようでそれを交換しようとお考えのようです。

はたしてそれは可能なのでしょうか。

昔、日本が経済発展を遂げ、まだ周辺のアジア諸国が遅れをとっていた頃、処分されたエアコン(クーラー)を他の国で再使用していることをよく聞きました。

それも寄せ集めなので室内機と室外機が別のメーカーなどとかなりアバウトだったようです。

昔のエアコンはそれが可能だったということですね。

なぜそんなことができたかというと制御の仕方に理由があります。

まずはこれをご覧ください。
一定速機の室外機電気配線
これは昔よく使用された室外機電気配線を図にしたものです。
各社だいたいこんな感じでしたね。

ケーブルは4心(4線)のもので室内機と接続されています。

コンプレッサー、ファン、四方切替弁(冷暖房切替弁)へ1線ずつ計3本で配線され戻りは共用1線で賄っています。

この方式は室内機のリレーで各機器をON・OFFし電源電圧をそのまま印加するため室外機の構造が単純で、室内機が他のメーカーであっても方式が同じであれば運転できました。

ただし室内機と室外機の冷暖房能力がちがうとバランスを保つことはできません。
また電気容量も考える必要があります。

それさえクリアできればなんとかなったわけです。

しかし現在はどうでしょう。

よく修理などで室外機に付いている基板をお客さんに見せると
「へぇー、こんなふうになってるんだー」
と電子制御基板が搭載されていることに驚かれます。

これ、
エアコンの制御基板に搭載されているマイコン
エアコンの制御基板に搭載されたマイコンです。

室内機と室外機の両方の基板にマイコンがついて
室内機と室外機がシリアル通信
互いにシリアル通信しています。

指令を出したり、状況を伝えたりといろんなことをやりとりしているわけです。

ただし、この信号は機種ごとに異なります。

機種がちがうと・・・
例えば日本語を知らない異国の人にいくら話しかけても通じません。
またその逆も通じません。

それと同じで通信が成り立ちません。

もしかしたら指令とはまったく違う動きをするかもしれませんね。
実際にはシリアル信号エラーなどで全く動かないのが普通です。

これでは使えません。

それならコンプレッサー、ファンなどの機器に基板を通さず直接電気を投入したら動くんじゃないの?・・・

残念ながらそれもムリ。

シリアルでやりとりするようなエアコンではコンプレッサーやファンはインバーター制御されていて100Vや200Vを直接印加することはできません。

四方切替弁にしても現在では省エネのため起動時に数秒DCで電圧をかけ冷暖房を切り替えるタイプもあるのでこれもだめ。

冷媒の流量制御も電子制御でお手上げ。

単なるリレーのON、OFF制御じゃないんですねぇ。

ということで省エネ性能を追求しマイコン制御が全盛の現在では室内機と室外機の組み合わせを別のものにすることはできません。

同じシリーズでも冷暖房能力が異なっていてはいけません。

室内機または室外機を取り替える必要がある場合は全く同じ機種でなければならないのです。

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