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2024年10月13日 (日)

冷媒管潰れの修理(2)

前回からの続きです😊

銅管を溶接するための準備として窒素を用意します。

これは窒素レギュレーター
窒素レギュレーター
レギュレーターとは調整器のこと。

ボンベに接続して圧力を落としたり一定に保つものです。

右のゲージがボンベの圧力。

左は使用する側の圧力でゲージの範囲内で無段階に調整できます。
(もちろんボンベ側の圧力以上には調整できません。)

ボンベを作業場所へ持っていくとスペースが圧迫されるため作業車に積んだまま20mのホースで延長して使用することにします。
20mのホースで延長する
これは窒素用に使用している高圧ホースです。

ホースの先端にテーパーノズルを付けて冷媒管に差し込み窒素を少量ずつ流します。
窒素を冷媒管に流す
このような方法を窒素置換などといいますが、こうすることで溶接による高温でも管内面に煤が付かずきれいな状態を維持することが可能。
(煤が冷媒管内に残るとエアコン不調の元になります)

ただし窒素の流量が少ないと煤がついたり、逆に多いと溶接を失敗することがあるのでちょうどいい塩梅に調整します。

この窒素置換とは別の方法に管内に吹き付けて使用する煤防止スプレーもありますがあまり確実ではありません。

ところで断熱の近くに水あめのようなものを付けてますが・・・
銅管につけた水あめのような物体

それはサーマルブロックという熱の伝導を妨げるもの。
サーマルブロック
溶接時の熱が伝わり断熱材が溶けたり焼けたりするのを防止するために付けました。

ぬれ雑巾でもよいのですが、こちらのほうが場所を取らず簡単なので使用しました。

そしてこちらが溶接器
溶接器
プロパン・ブタンの可燃性ガスに、支燃性ガスとして酸素を加えて強力な青白い炎で1インチクラスの太い銅管でも短時間に溶接できます。

酸素には窒素と同じようなレギュレーターが付いていて調整して使用します。

溶接にはこのように事前準備に手間がかかります。

なお両手を使用するため溶接時は撮影できません。

銅管が赤く光るまであぶったらロウを流してあっという間に溶接完了。
冷媒管の溶接接続完了
水で「ジュー・・・」と音を立てながら冷却したら窒素を止めます。

焼け色もちょうどいい感じ。

表面は黒っぽくなってますが、これでも内面は流した窒素により信じられないほどピカピカなんですよ。
(見れませんけどね😅)

延長接続が終わって冷媒管の曲げ加工に移ります。

銅管が潰れていた部分の曲げです。

4分管を急角度に手で曲げるとまた折れて潰れてしまいます。

今回使用したのはレバー式ベンダー。
レバー式ベンダーで銅管(冷媒管)を曲げる
数回前の施工記事で使用したラチェット式に比べると寸法出しが複雑で、しかも狭いところでの取り回しがよくありません。

しかしこちらのほうが曲げ半径が小さくでき、設置状況から必要と判断し使用しました。

こんな感じ。
冷媒管をベンダーで曲げた
潰れることはありません。

細い2分管の方はベンダーは必要ないので手で曲げます。

フレア加工、テーピングなどが終わったら室外機を定位置に設置。

そして接続。
室外機に冷媒管を接続

真空引きしてバルブ開放し施工が終わりました。
冷媒管修理が終わった
冷房で試運転を開始。

では室内機で温度測定して修理前と比べてみましょう。

吸い込み温度から
室内機吸い込み温度の測定
29℃です。

吹き出し温度は
室内機吹き出し温度
12.5℃でその差16.5℃。

修理前は吸い込みと吹き出しの温度差が12℃だったので改善されているようですね。

まあ、あれだけ潰れていたら能力が落ちて当然でしょう。

またコンプレッサーも本来の寿命に戻ったと思います。

これにて修理作業は完了😊

冷媒管を潰されやすい4分管を使用した現在販売中のルームエアコンは冷房能力6.3kW(20畳用)以上の機種になります。

ルームエアコンではベンダーを持っていない業者も多いので、パイプに急な曲がりがある場合は今回のように折れて潰れていることがあるかもしれませんね。

Katoairconservice_mark160
http://aircon.la.coocan.jp/

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