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2024年8月20日 (火)

エアコンが冷えすぎる

温度設定を高くしても部屋がどんどん冷えて寒くなってしまうという点検依頼をいただきました😊
(横浜市内)

エアコンは2016年にこちらのお客さん宅が新築時に当店で以前のお住まいから移設したもので2015年製。

しかし冷え過ぎるという点検依頼はめずらしいですね。

数十年前の古~いエアコン(クーラー)ではリレーが溶着して室外機が回りっぱなしになって冷え過ぎたり室内機が凍ったりしたものですが。

スイッチ切ってんのに室外機が回ってるなんてあったな~(ほのぼの)

現在のインバーターエアコンでそのようなことはないでしょう。

現地到着。
リモコンの温度設定は32℃
リモコンの温度設定は最高の32℃。

室温は30℃程度。

風量を自動にすると弱くなるはずの吹き出す風が最大風量で出てきます。

室外機を見に行くとこちらもコンプレッサーがほぼ最高回転で回っています。

どうやら室内機の室温センサー系の異常のようですね。

センサーが断線したり、ショートをするとエアコンはそれを検知してエラーを出します。

しかしそれはありません。

室温センサーを見てみることにします。

エアコンの吸い込み口周辺にはセンサーがありませんでした。

ということはこの中か・・・
室内機にあるスリット
本体底部にあるスリットの中のようです。

この位置、もしかして・・・

お客さんに最近エアコンの洗浄を業者に頼んだか聞いてみると、去年の夏の終わり頃にしてもらったとのこと。

それか・・・

前面グリルを外しました。
前面グリルを外した
基板があります。

見たところ室温センサーはありません。
エアコンの基板
外してみることにします。

裏の配線パターン側に付いてました。
チップ部品のサーミスタ
ついていた綿埃を取ると出てきました。

2mm程度のゴマ粒のようなチップ部品のサーミスタです。

え、これエアコン用に使うの?初めて見たような。

よく基板上の温度を測定するのに使用する基板表面実装部品です。

周囲の配線パターンは洗浄時に流れ込んだ薬品により劣化しています。

下の方にある電気部品は洗浄するとき外さないとダメなんですよねぇ~

でもそのままやってしまったのでしょう。

サーミスタからプリントパターンを追っていくとこちらが制御基板(マイコンなどが載っているメイン基板)へとつながるコネクタへの半田付け部分。
基板の半田付け部分
こちらも綿埃が付いていたので取り去りました。

やはり周囲はパターンが薬品でやられてますね。

メーカーへ電話して30℃のときのサーミスタ抵抗値を聞き、マルチメーターで測定するとほぼ問題ない数値。

手でサーミスタを温めると抵抗値は低下していき正常のようです。

エアコンで使用される温度測定用のサーミスタはネガティブタイプなので温度が上がると抵抗値が下がり、逆に温度が下がると抵抗値が上がります。

あれ~、予想とちがったようで制御基板側の故障か?

ここでふと気づきました。

さっき取り去った綿埃・・・

しかもそれには薬品が染み込んでいた・・・

それがサーミスタの電極部分やコネクタへの半田付けのところに付着していて並列回路となり抵抗値を下げていた(温度が高いほうへズレていた)のではないか。

ということはもう直っているのでは?

室内機を元通りに戻して運転しました。

リモコンの温度設定を26℃にすると吹き出す風が強くなり、30℃で落ち始め、32℃で弱風へ。

おっ、やっぱり直った😄

室外機の回転(周波数)制御も正常。

でもあの基板、かなり劣化してコネクタリードの付け根も薬品により緑青が噴いている状態。
コネクタに緑青
この先また不具合が出るので交換することにしました。

部品を取り寄せ再訪問。
取り寄せたエアコン部品
基板となにやら追加で付けるスポンジテープ。

メーカーさん曰く基板は代替部品だそうで。

部品に不具合などがあると改良されて代替部品に入れ替わります。

電装ボックスを外して制御基板とつながるハーネスを配線できるようにしました。
配線のため電装ボックスを外した
ボックスの中央を貫通するように通すのでこうしないとできません。

スポンジテープを説明書通りに貼り付けました。
対策用のスポンジテープを貼り付けた
これは吹き出し口からの風が基板やサーミスタに回り込まないようにする対策のようです。

そして新しい基板についているサーミスタは
新しいサーミスタ
これが本来の空気温サーミスタですね。

樹脂のような素材でモールドされています。

やはり同じような不具合が他でも多発したようでチップ部品ではなくなりました。

このようにメーカー部品は不具合があると改良されます。

なのでエアコンの場合は基板上に付いているパーツを汎用品に交換して修理するのはやめたほうがよいわけです。

取り付けました。
基板を取り付けた
今度のサーミスタは見えますね。

このほうが感度もよさそうです。

制御基板に抜いたコネクタを再接続
制御基板にコネクタを接続

正面から配線の状況を確認します。
配線の状況を確認する
なにを見てるかって?

左にある熱交換器は冷房や除湿時に結露して水が出てきます。

その水が付近を通る配線を伝って漏れ出したり、制御基板などの方へ流れ込まないか配線ルートを確認しています。

前面グリルを取り付けて絶縁抵抗を測定したら運転開始。
エアコンを運転開始
リモコンで温度を上げたり下げたりして動作を確認。

正常動作で作業終了です😊

電気部品や配線接続部などに流れたり付着した洗浄用薬品は通電すると化学反応で劣化や緑青を発生させます。

これにより火災になった事例もあります。

やはりエアコン洗浄もきちんとした業者へ頼まないとこういった不具合が起きやすくなります。

なお当店ではエアコンの掃除や洗浄はおこなっておりません。
(自分の家のだけは自身でやりますけどね😆)

Katoairconservice_mark160
http://aircon.la.coocan.jp/

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