エアコンを運転するとブレーカーが落ちる
「エアコンを運転するとブレーカーが落ち、ネットで調べたところ漏電の可能性があるらしい」とのことで点検の依頼をいただきました😊
(川崎市内の賃貸住宅でエアコンはシャープ製)
現地到着して点検を開始します。
コンセントからプラグは抜いてありました。
まずは分電盤を見せていただき、どのブレーカーが落ちたのか聞いたところ東京電力の電流制限器(契約アンペアブレーカー)とのこと。
その右横に設置されている漏電遮断器は落ちないそうです。
これは漏電ではなく電流が流れ過ぎた過電流ですね。
エアコンの絶縁抵抗を測定してみると
100MΩ以上でやはり漏電はないので過電流です。
これは稀なケースかもしれません🤔
どこかでショートしている可能性があります。
コンセントにプラグを差し込み運転すると室外機に電気が供給された瞬間に主幹のアンペアブレーカー(30A)がバチンと切れます。
しかし専用回路の安全ブレーカー(見ていないが20Aのはず)は落ちず・・・
また別の部屋にあるエアコンを運転してもアンペアブレーカーは落ちないそうです。
ということはやはりエアコンの不具合でしょう。
室外機の端子台で抵抗値を計測してもショートしている感じはありません。
むむ、なんとなく手こずる予感🙁
端子台から電線を抜いて室内機を運転するとブレーカーは落ちることなく、室外機とのシリアル信号異常表示(室外機がつながっていない)を発出します。
ということはやはり室外機内部に不具合があります。
室外機内部のリレーなどが作動した際にショートするのか・・・?
外板カバーを外して調査します。
各種測定は今回デジタルマルチメーターを使用しました。
制御基板(インバーター基板)の半田面を見てみますが特に異常は見当たりません。
コンプレッサー、ファン、サーミスタ、弁コイルなどパーツのコネクタを基板から外しました。
これで運転をすると・・・ブレーカーがバチン!と落ちて過電流。
外した周辺部品にショートや異常はないようです。
となると基板か?
基板のどこかがショート・・・
基板交換の場合の修理費を見積もりして点検終了しました。
どうも腑に落ちないところがあるためその後も頭の中でいろいろ考えていました🤔
そこで思い浮かんだんは”リアクタ”という部品。
インバーターなどの回路では突入電流が発生します。
この突入電流は電源が入った瞬間、通常の何倍から何十倍もの電流が流れることを言います。
それを防止するのがリアクタ(リアクタの参考画像)
リアクトルというのが一般的なのかもしれません。
トランスのように見えますが別物です。
このリアクタの不具合であれば専用回路のブレーカーではなく、短時間だけ流れる大電流に反応が速いと言われるアンペアブレーカーが落ちたことも頷けます。
画像にあるコイル(巻き線)のどこかがレイヤーショートして機能していない(インダクタンスが減少)している可能性があります。
メーカーの技術部へ問い合わせて確認することにしました。
まず電話に出られた方は・・・
「漏電遮断器やブレーカーが落ちる場合は電動膨張弁の不具合で案内しております」
あらー、ちょっと焦点がずれてますねぇ。
(言っていることはわかりますが今回はそれより複雑な状況)
おそらくマニュアル通りに説明されているのだと思います。
技術的なことがわかる方をお願いしたところ折り返しの電話が入り、一通り事の経過を説明するとやはり
「リアクタの不具合が考えられる」
とのこと。
ただしリアクタの技術的資料はメーカーにもなく点検のしようがないらしい。
現場ではリアクタの外観などを見ましたが特に異常なく、それだけで良否はわからないでしょう。
リアクタの不具合で突入の過電流が発生している場合は基板の部品(整流ダイオードや平滑コンデンサなど)にもその電流が流れているため制御基板も同時に交換します。
お客さんへは再度修理費用の見積もりを出してメールで送らせていただきました😊
当店としては稀な故障事例でした。
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