隠蔽配管から露出配管へ
一戸建て住宅で隠蔽配管されているエアコンを撤去し、新しいエアコンを露出配管で設置する工事を行いました😊
隠蔽配管(先行配管)とは建物を建築するときに壁内や天井裏、床下に冷媒管や電線を予め通しておき、建物が仕上がった後にエアコン本体を設置する方式です。
パイプが見えないので設計士さんに好まれるのですが、後に必ずと言っていいほど問題になる方式。
こちらはガス(冷媒)漏れで、数年前にどこかの業者さんでエアコンを交換したらしいのですが、またもやガス漏れで冷暖房効かず🤔
隠蔽配管部分で漏れている可能性がありますね。
室内機から室外機までの距離が長いのでもしかすると冷媒管(銅管)の途中をユニオン(メカニカルのジョイント、施工後漏れる可能性があるのでメンテのできない部分で使用してはいけない)で接続しているかもしれません。
このような状況から隠蔽配管の使用をやめて露出配管で新しいエアコンを設置することになりました。
バルブやパイプが普通のエアコンより多いですね。
これは2室マルチの室外機(冷房能力4.5kW)で室内機が2台接続されているからです。
2台の室内機は広めの同じ部屋に設置されており、新しく設置するエアコンは室内機を1台に減らして冷房能力5.6kW(1.1kWアップ)の通常のタイプ(ペア=室外機1台に室内機1台)へ変更します。
室外機の接続を全部外しました。
このマルチエアコンは室外機に200Vで電源供給(端子台直結)し、そこから室内機2台へも電源が送られるようになっています。
そのため室内機には普通のエアコンのような電源プラグはなく、壁にはコンセントも設置されていません。
室内機の撤去
室内機は1台だけ撤去してもう1台はそのまま残すことになりました。
(もちろん残した室内機は動かず飾りになります)
撤去完了
壁の穴などはあとで内装屋さんに直してもらうそうです。
冷媒管や電線は抜き取ることができないためそのまま壁内に残ります。
お客さんが購入されたのはこちらのエアコン
このメーカーのここの”V”は室外電源機を表しています。
いままでのマルチエアコンも室外電源だったので、これであれば別に電源工事を必要とせず設置できます。
今回の場合、通常の室内電源機を買ってしまうと室外機のところから電源を伸ばしてコンセントを設置することになります。
エアコンの大部分の電気を消費するのは室外機。
せっかく室外機のそばに電源が来ているのに一旦室内機へ行ってからまた室外機に戻ることになり、長くなった電線では電圧降下(無駄な電力消費)を起こしてしまいます。
なのでこの室外電源機を選んでいただいた次第です。
新しい室内機は左側面の外壁に面した壁へ取り付けます。
こちらへ設置することで風の吹き出しが部屋の長手方向となり冷暖房効率がよくなります。
細かな設置位置はハウスメーカーから取り寄せていただいた図面をもとにお客さんと決めました。
こちらは通常の木造と異なり柱の配置や壁構造が特殊。
配管穴を開けるには図面が必要でした。
小さな穴は配管穴位置の壁内を探った跡です。
コアドリルで配管穴貫通(直径65mm)
壁の構造は”壁紙―石膏ボード―合板―発泡断熱材―合板―モルタル―外壁塗装”となっていました。
室外機はいままでと同じ所(地面)へ設置します。
室内機が付きました。
室外電源機のため電源プラグはありません。
電線と交差するところがあり配管化粧カバーを切って加工。
電線保護のため塩ビ管を切って被せました。
冷媒管・ドレンホース・電線(内外連絡線)をカバーの中へ収めていきます。
塩ビ管が立てかけてありますが、これに横引き部分のドレンホース(排水用)を差し込んで使用します。
このように配管化粧カバーへ収めます。
ドレンホースは軟らかく、そのままだとカバーの中で波打って詰まりを起こすなど不具合につながるため、それを防止する目的です。
なお横引きの配管化粧カバーはドレン排水が流れやすいように1/50下り勾配(1mにつき2cmの勾配)をつけています。
配管化粧カバーの仕上がり。
途中にある大きな段差はジャバラのカバーを使用しました。
室外機設置完了。
一通りの工事が終わって分電盤で絶縁抵抗のチェック(漏電検査)をしたら通電して試運転開始。
お客さん立会いで確認していただき作業終了となりました😊
これで余計なガス漏れの心配はなくなりました😄
隠蔽配管はパイプが見えなくなること以外に何のメリットもありません。
そして隠蔽配管のデメリットは
・ガス(冷媒)が漏れた際、検査や修理が難しい。
・設置工事を断られることが多い。
・壁内などに配管するため、建物の気密性が落ちる。
・埋め込んだパイプが壁内・天井裏・床下で結露する。
・室内機が結露し水漏れを起こすことがある。
などなど・・・
建物の構造上やむをえない場合を除き露出配管で施工するのがよいと思います。
http://kato-aircon.com/