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2023年10月17日 (火)

冷房を運転すると暖房になる?

さて前回と同じお客さん宅で2台目のエアコン点検です😊

こちらの故障内容は冷房を運転すると室内機から熱風が出て暖房になってしまうというもの。

室外機内部の部品故障が一番に考えられます。
冷房運転しても暖房になる室外機を点検する
1台目と同じ室外機に見えますが同じメーカーでシリーズの異なる機種です。

疑われる部品としては冷暖房を切り替える”四方弁(四方切替弁)”や”制御基板”の故障。

じつはメーカーさんに数週間前に一度点検してもったそうで、結果は四方弁の故障でその部品の供給が終了しており修理不能と判断されたとのこと。

四方弁により冷媒の流れを冷房と暖房とで切り替えるため、それが壊れるとどちらかに止まったまま動かなくなることがあります。
(ごく稀に中間で動かなくなっているものもありますが)

ちょっと見づらいですがこちらが四方弁の参考画像(別機種)
四方切替弁
青色の電磁コイルで手前の小さな弁を動かし、次に冷媒の圧力で奥の大きな弁を切り替えます。

しかしメーカーさんの点検結果が信用できないということで当店へご連絡いただきました。

こちらのエアコンも製造から20年経っているのでたしかに部品がない可能性が大ですね。

もちろんそのことは事前にお客さんへ伝えてあります。

では点検開始。

冷房運転してみると確かに暖房サイクルに入っています。

暖房運転しても暖房サイクルです。(ずっと暖房😅)

これでは暑いと思ってリモコンの温度設定を下げれば下げるほど暖房が強く効きます。
(こりゃたまらん😆)

まずは室外機の天板を外して制御基板を見ます。
室外機の天板を外して基板を点検する

回路図から四方弁へつながるコネクタを見つけました。
四方弁へつながるコネクタ
コネクタを抜いて四方弁コイルの抵抗を測定すると550Ω程度でした。

コイルの断線やショートではなさそうです。

次に回路計(テスタ)を使い基板からの出力電圧を調べます。
回路計(テスタ)で基板からの出力電圧を調べる
冷房運転したり暖房運転したりしましたが基板からは全く電圧が出ていません。

この時点で制御基板の故障はほぼ確定です。

メーカーさんの”四方弁故障”の判断を検証するためもう少し調べます。

ここでメーカーの技術部へ電話し当機種の四方弁コイルの仕様をを聞くと、
・冷房時にAC100Vで駆動(励磁)。
(暖房時は無電圧)
・巻き線抵抗は550Ω程度で問題なし。
との回答をいただきました。

巻き線抵抗550Ωあれば100Vを印加しても0.2A以下と頭の中で計算して直接100Vをコイルに掛けて四方弁の動作を見ることに。

実際にはAC(交流)なのでコイルのリアクタンス(虚数のΩ)が加わり合計のインピーダンスは550Ωより大きくなります。
(ちょっと専門的すぎ😆)

なお不慣れな方はこういうテストは思わぬ事故になるのでやってはいけません。

また現在ではDC(直流)の極性反転で冷暖房を切り替えるタイプが主流なので事前の確認は必要。

ちょっと工夫してコンセントからコイルに直接AC100Vをかけてみました。
コイルに電圧をかける
四方弁から”カチン”と音が聞こえました。
(お、これはいけるんじゃないの?)

そしてこの状態でエアコンを冷房運転。

すると冷媒の流れは冷房サイクルに入り冷房が効くようになりました😄

当方の結論は四方弁のコイルおよび弁の動作に異常はなく、制御基板の故障でまちがいありません。

おそらく基板上のリレー回路周辺がダメになっているのでしょう。

リレーをペシペシ叩いたり揺すったりしましたが電圧は出てきませんでした。
(昭和の修理技術😆)

メーカーサービスステーションへ電話したところ基板の在庫は少ないがまだ有り(ラッキー😄)

修理の依頼もいただきました😊

部品発注・入荷して後日再訪問。
再訪問しエアコンの修理を行う
また外板を外します。

故障した制御基板を取り外し撤去。
故障した制御基板を取り外し撤去
前回の記事でも書きましたがこの時代までのエアコンはパワーモジュールやダイオードスタック、平滑コンデンサが別部品で配置されています。

そのため制御基板の部品価格は現在主流の一体基板よりかなりお安め。

しかしその分接続される配線が多くなり修理には手間がかかりますが😅

接続本数が多いため差し忘れなどがないように抜いたコネクタやファストン端子には黄色のテープを付けています。

取り寄せた部品
メーカーから取り寄せた部品

箱から出して異常がないか目視で確認。
制御基板を箱から出して目視で確認

取り付けて配線をすべて接続完了。
制御基板に配線を接続
周囲の部品にも抜けなどが発生していないか一通り確認。

交換した基板だけに集中していると周りの配線が抜けたことに気付かないこともあるので。

久々の配線の多さに翻弄されました😅

基板下部のコネクタ類は周囲の部品で手が入らなくてちょっと苦戦。

あとは室外機の外板を取り付けてもとに戻します。

ついでにこれも直しましょう。
電線が長すぎる
室内外機の連絡電線ですが長すぎ。

これまで余分な線はカバーの中に曲げて押し込んでありました。

修正してスッキリ。
電線を修正した
室外機の中に赤いランプが付いているのが見えますがすでに冷房運転中。

バルブ付近の温度を測定します。

室内機への往き11.5℃
室内機への往き管11.5℃
ちょっと低めです。

室外機への戻り1.5℃
室外機への戻り管1.5℃
低いですね。

冷房の調子は良いのですが、ヒートポンプサイクルとしては湿り運転でしょう。

長年にわたり使われたので室内機のフィルターやファン、熱交換器がホコリで詰まっているかもしれません。

これはエアコンクリーニングなどで対応していただければと思います。

暖房運転(四方弁切り替え動作)も問題なく無事に修理完了です😊

今回の修理で
「これから暖房だから修理は来年でも・・・」
と思った方がいるかもしれませんね。

でもそれは誤り。

冬にも四方弁が切り替わり冷房サイクルに入るんですよ。

「そんなわけないでしょ・・・なんで?」

と思いますよね。

暖房時には室外機の熱交換器が凍り付いてしまうことがあります。

それは寒くて湿度の多い日。
(雪が降ったりしたときは特に)

そうなると室内機から吹き出す温度も低くなり能力が出なくなります。

そのようなときエアコンは除霜モードに切り替わりヒートポンプを冷房サイクルにして凍った室外熱交換器を溶かし乾燥させます。

暖房時に時々ランプが点滅したりして止まったように見えるのは除霜運転中です。
(点滅したままずっと動かないのは故障だったりしますが)

なので今回のような故障は来年へ持ち越そうと考えてはいけません。

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http://kato-aircon.com/

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