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2023年8月 2日 (水)

マルチエアコンの1台が冷えない

エアコンが冷えないとの点検依頼をいただきました😊

場所は東京都渋谷区(エリア外出張しました)にあるマンション。

状況は、
マルチエアコンの室外機に接続された2台の室内機のうち1台が冷えない。
というもの。

※室外機に複数台の室内機を接続することができる機種をマルチエアコンといいます。

現地に到着してさっそく点検を始めます。

2台の室内機は天井カセット形(本体が天井に埋め込まれてパネルだけが天井面に見える形式)。

室内機の温度測定をすると1台はよく冷えてますがもう1台はまったく冷えません。

ということで室外機をメインに点検を行います。
これから点検を行うマルチエアコン室外機
でかい😅

ちょっとした業務用エアコンの大きさです。

カバーも業務用室外機と同じような形式で開きます。
マルチエアコン室外機のカバーを開けた
通常のルームエアコンより点検はしやすいです。

各室の室内機への冷媒管接続部。
各室の室内機への冷媒管接続部
全部で5台の室内機が接続できるようになっていますが使用しているのは2台。

運転して調べると一番上に接続された系統に冷媒が流れていません。

各室への接続は下からA~E系統となっており冷えないのはE系統。
冷媒管接続部
なお正常に冷えているのはD系統です。

そして疑わしいのはここに並んだ膨張弁。
疑わしい膨張弁を点検する
一番上のE系統の膨張弁を調べます。

このときはまだあるコトに気づいていません。

膨張弁は冷媒の流量をコントロール、減圧する重要な部品ですが、おそらく閉まったままで動かなくなっていることが予想されます。

制御基板上には膨張弁をコントロールする配線が接続されたコネクタ。
膨張弁に接続されているコネクタ
さきほど膨張弁はA~Eの5つでしたがコネクタは6つあります。

室外機内部を見るともう1つ
室外機の内部にも1つ膨張弁が
膨張弁があり計6つでした。

コネクタを外してE系統の膨張弁コイルの断線、ショートを調べましたが正常。

となると膨張弁の内部が動かなくなっているのか・・・🤔

だとしたら重症です。

もしくは基板から正常に電圧(ステッピング)が出ていないのか・・・

2系統(D、E)のコネクタを入れ替えて運転してみました。

しかしそれでもE系統は膨張弁が開かず。
(D系統は開きました)

あちゃ~、ということは弁本体が動いてないですね。

コネクタを戻し、最後の手段で軽く弁に衝撃を与えてから運転してみましたがやはり開きません。

こりゃ修理が大変だ・・・もしくは冷媒管をA~Cの系統へ接続を替えるか・・・

などと考えながら見ていると・・・あれ?
膨張弁コイルがずれている
クリップが正規の位置にはまっておらずコイルが左にずれてます。
(すぐ下のD系統のコイルと見比べるとわかりやすいですね)

これか!

はめました。
膨張弁コイルを所定の位置に固定
これで再度運転。

しばらくしてE系統の弁のイニシャライズ音がして室外機が回りはじめ弁が開き正常に冷えるようになりました😄

はじめのほうにある膨張弁が5つ並んだ画像でも一番上のコイルだけがずれているのがわかりますね。

このコイルはクリップで止まっているだけなので簡単に外れてしまうんです。

お客さんに状況を説明すると、
「以前に建物の修繕工事で室外機を脱着した」
とのこと。

その時の脱着工事で何かが膨張弁コイルに触れて外れてしまったようです。

ということはその工事をした人は施工後の試運転を行っていないということですね。

そしてこのエアコンには冷媒管と配線の誤接続の検知と修正を自動でする点検機能が・・・
室内機と配線の誤接続の検知と修正を自動でする機能が付いている
もし以前の脱着工事後にこの機能を使っているとE系統は冷媒が流れないため誤判定しているかもしれません。

なので念のためこの点検機能を作動。

説明によると10~15分程度かかるということで待っていると・・・

10分程度で室外機がパタリと止まりました。

お、終わったかな・・・

基板上のLEDを確認すると”コンプレッサー吐出温度異常(高温)”で停止してました(なんじゃそりゃ😅)

この日も気温は35℃位あり、点検機能を使える環境ではなかったのかもしれません。

もしくは脱着工事の時に冷媒を減らしてしまい不足していることも考えられます。

しかし現段階での判断は尚早と考え冷媒量に関してはこのまま様子を見てもらうことに。

お客さんから扇風機をお借りして過熱したコンプレッサーを冷まします。

点検機能は使えないため一旦ブレーカーを切ってエアコンをリセットし自身で誤配線がないか確認。

問題はありませんでした。

ふぅ~、この確認に一番時間がかかった😅

点検前は吸い込み吹き出し温度共に31℃だったE系統室内機は吸い込みが28℃
室内機の吸い込み温度は28℃

吹き出し温度は7℃
室内機の吹き出し温度は7℃
とよく冷えるようになりました😄

今回のような室外機内部の機構に触れられるような機種ではエアコンの構造や動作に理解のない工事屋さんでは難しいかもしれません。

とくにマルチエアコンは工事人の不注意で配管と配線が入れ替わっておかしな動作をするなんてことが多いですから。

なお当店は1人作業なので今回のような大きい室外機(67kg)は運べないため施工できませんが😅

またメーカーの設計も膨張弁コイルの固定をクリップではなく、ねじ固定など容易に外れないようにしていればこのような不具合は発生しないと思いますがね。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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