落ちそうなエアコンを取り外し
こちらで点検したエアコンの取り外し工事を行います。
1年半前に量販店で購入設置とのことでついでにどのような施工が行われているのか見ていきましょう。
(今回も辛口😄)
まずは室外機へ冷媒(ガス)を戻すためポンプダウンという作業をします。
おっといきなり電線のはみ出し
外装シース(被覆)のむき過ぎですね。
本来は電線を押さえるところまでシースに入っていないといけません。
カバーを外すとこんな感じ
なぜこんなに長くむいてしまうのかというと、ケーブルストリッパーというワンタッチで電線をむき取ることができる工具を使うからです。
まずシースをワンタッチではぎとり、次に心線も3本まとめてワンタッチ。
速いし楽ですね~。
でもこれでは3本の先端の長さが同じになってしまうのでシースを短くむいた場合、端子台に合わせて心線を広げると中央の1本だけ長くなってしまいます。
それをさけるため長めにシースをはぎ取る。
そのため電線押さえにシースが収まらないわけです。
要は手抜き工事です。
下を見るとバルブ部分に電線が強く接触
これも褒められたことではありません。
バルブは状況により60℃を超えてしまうこともあります。
配管に巻かれたテープは上下逆さ
作業能率を重視して施工され、これでは雨水や結露水が中に溜まり乾くことがありません。
冷媒管を外すと接続面に黄色いものが付着
これ何かというと冷媒漏れ防止の粘着剤。
こんなもの使わないと冷媒漏れするようではエアコンの技術屋とはいえませんね。
トルクレンチに頼るからこういうものが必要になるんです。
室外機のカバーをつけてねじを締めようとねじ穴を見ると
下にねじ穴が広がってます。
しかも固定面はねじの締め過ぎでペラペラです。
ねじ穴をよく確認せず電動インパクトドライバーを使ったのでしょう。
このようなところは力の弱い電動ドライバーや手締めが基本。
インパクトドライバーのような加減ができないものを使ってはだめ。
このあと室内機を取り外しますが落下の危険性が高いため万一に備え、お客さんに手をそえていただき作業しました。
据付板の設置状況
画像ではよくわかりませんが直接見ると壁が曲がっているのが確認できます。
上部の固定ねじは金属製かさ式ボードアンカーですね。
でも通常とは異なるねじが使用されています。
(これについては後ほど)
ねじより左にある固定用の穴と壁の間に隙間がありますがボードアンカーが抜けてきているのかもしれませんね。
右下はどういうわけか初めからねじが抜けてますけど・・・
ぐらぐらしてますが引っ張ってもとれません。
どうしてこうなった?・・・
据付板を外したらこれ
ねじ込み式ボードアンカーが抜けてました。
壁の穴を見ると奥にGLボンド(壁の石膏ボードを躯体に貼り付ける練物のボンド)のようなものが見え、そこへムリにねじ込んだようです。
抜けてぐらぐらになってました。
その他の部分に使用されていた金属製かさ式ボードアンカーですが、
これ、下穴いらずでいきなりねじ込んでそのまま壁内で傘が開く作業速度重視のタイプです。
(ねじ先端が尖っているのが特徴)
これの危険性をわかってませんね。
下穴を開けずに内部空間寸法不明の状態でこのようなアンカーを使用すると空間寸法が足りず躯体コンクリートにねじ先端が着きボードを剥がすことになりかねません。
その他には電線などが壁内にあると刺さります。
画像に見えるノギスの寸法は躯体コンクリートから石膏ボード(壁)表面までの寸法です。
ねじの長さと見比べると少しの余裕しかありませんね。
でもすでにこちらの壁は手前にはがれて浮いてきているので、もしかしたらボードアンカー打ち込みの際にはがれたのかもしれません。
しかし以前にもこちらにはエアコン設置跡があるのでどの段階でこのようになったのかは不明です。
下から見上げてみます。
天井と接触しているところが曲がっています。
壁は剥がして貼り直さないとエアコンは設置できません。
もう少し詳しくボードアンカー部分を見てみます。
スケールを縦にあててますがボードアンカーの部分だけ壁に接触し他のところは離れています。
エアコンの荷重により壁が曲がったこともありますが、おそらくボードアンカーが石膏ボードを破壊して部分的に膨らんだことも原因でしょう。
荷重が掛ったままだとそのうち抜けて落ちます。
ボードアンカーの穴をのぞいてみます。
ボードアンカーのかさが完全に開ききって石膏ボードを破壊しているようです。
インパクトドライバーで勢いよく回して止まるまで締めこんだことがうかがえます。
ボードアンカーは止まるところまで締めてはだめなんです。
どの程度かさが開いているか想像しながら力加減をしなければこのようなことになります。
いろいろ見てきましたが、これらは工事の能率そして効率を求めて施工されていますね。
しかしそれらは必ず手抜きとなり事故や不具合に発展します。
まあ、それ以前に今回のような重くて厚み(壁からの奥行き)のある機種をこのような壁へ設置してはだめということを施工者が認識する必要があります。
http://kato-aircon.com/
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