エアコンに冷媒を追加チャージ
前回の隠蔽配管へのエアコン設置につづき、必要量の冷媒を追加チャージします😊
この作業は室外機側でおこないます。
今回使用する冷媒はR32。
”HFC-32”と表記されてますが一般にはR32と呼ばれます。
以前にはR410AやR22などもありましたが現在のルームエアコンではR32が標準となっています。
”こんな箱に入ってんの?”
いえ、一応中身はボンベです。
このボンベには足がついてないので箱に入ってないと底が丸くてひっくり返っちゃうんですよ。
中身の冷媒を使い終わったらボンベ自体は返却するのですが、たしか箱から出してはいけないことになっていると思います。
同じR32でも以前(出始め)はしっかりとしたボンベだったんですけどいつのまにやらこんな缶みたいなものに変わってました😅
さて作業に移りますが、冷媒を追加するといってもいろいろな方法がありまして。
今回は設置後短期間エアコンを使えるようにバルブは開いてすでに冷媒が流れておりちょっと複雑です。
事前に3パターンほど考えた結果、あらかじめエアコンに入っている冷媒を少しも減らさず、空気も入れず、しかも正確な量を入れられる方法でいきます😎
ただしリスクもあり万一失敗すると全量入れ替えになったり、コンプレッサーを壊してしまう可能性があるのでその点は要注意。
ぬかりのないようしっかりやります。
まず室外機のサービス用ポートにはこのようなコントロールバルブを付けます。
これを使うとサービスポートのバルブコアの開閉度合を細かく調整できるようになります。
機材をセットしました。
室外機の上にはゲージマニホールド、真空計を付けた真空ポンプ。
床にはデジタル秤の上にR32ボンベ。
すべてチャージングホースで接続完了。
コントロールバルブはこのように接続。
いまは室外機のサービスポートは閉まっている状態。
接続したすべてのホース内には空気が入っているのでまずは真空ポンプで抜き去ります。
その後、空気はコントロールバルブ内にも残っているのでバルブをちょっとだけ回して真空ポンプの音で抜けたことを確認。
(このときバルブを回し過ぎるとサービスポートが開いて一気に冷媒が逆流してきます)
これで完全に空気は抜けました。
空気が冷媒内に混入するとその分、圧力が高くなり不具合の元になります。
真空ゲージは真空を指しています。
このゲージは大気圧が右側で真空に近づくにつれ左に針が回ります。
ここで室内機へ、
強制冷房運転モードへ入れ、温度に関係なく冷房します。
こうしないと追加する冷媒は入っていきません。
ヘタすると逆にエアコンからボンベに追加チャージ😆こりゃいかん。
昔、重力で冷媒が入っていくものと思い込んで高い位置にボンベを持ち上げているエアコン屋がいましたがちょっと考えればわかりますよね。
圧力差で高いほうから低いほうへと流れます。
エアコンを冷房サイクルにすることでサービスポート部分の圧力を低圧に下げることができます。
そうすればボンベからエアコンへ冷媒を流すことができるわけです。
つぎにボンベのバルブを開けて真空になったホースやコントロールバルブ内を冷媒で満たします。
(まだサービスポートは閉)
ここでボンベを載せたデジタル秤をリセットし”0.00kg”を表示させます。
今回の冷媒追加量は20×(冷媒管長12m-5)=140gです。
(この式はメーカーや機種ごとに異なります)
隠蔽配管が最短コースを配管されているものとして11.5m程度なので12mで算出しました。
あとはコントロールバルブを回してサービスポートを徐々に開き少しずつ冷媒をエアコンへ。
このとき一気に冷媒を流し込んではだめ。
接続したマニホールドの圧力計を見ながら、そして冷媒の流れる音やコントロールバルブに伝わる振動を感じ、流れ込む冷媒の状態を想像しながら微妙に加減します。
あまり流し過ぎるとコンプレッサーが液圧縮で破壊します。
アップ
0.14kg=140gの追加です。
(左端にある”-”がボンベから冷媒が減ったことを表してます)
このエアコンに初めから封入されている量は
たったの0.42kg(420g)
そこへ140gとはけっこうな割合ですね。
セットした機材を全部片づけて温度測定。
まったく問題なく正常です😄
かなりマニアックな内容になってしまいましたが端折って書いているのでチンプンカンプンかもしれませんね。
なお、冷媒が不足した状態で運転し続けるとどうなると思いますか。
もちろん冷房暖房能力が出きらず、立ち上がりも悪くなります。
コンプレッサーは過熱運転を継続するため寿命の短縮、冷凍機油の劣化促進や還流不足など不具合につながります。
かといえ、過充填はまた別の問題を起こします。
引っ越しなどでエアコンにガス補充をしてはいけないのはこれらの点にあります。
エアコンに入っている冷媒量は測りようがありません。
「圧力計で・・・」なんて簡単なことではないんですよねぇ。
万一、入っている冷媒量が曖昧になった場合は全量を入れ替えるしかありません。
みなさんお気を付けください😊
http://kato-aircon.com/
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