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2022年11月

2022年11月30日 (水)

高圧一括受電マンションと工事資格

高圧一括受電というのをご存じでしょうか。

これはマンションでの電気配線系統図の一例
マンションの電気配線系統図
左から高圧(高電圧)の6600Vで建物の電気室へ引き込まれ変圧されて100/200Vの低圧になり各戸へ分配されています。

多くのマンションでは電気室の管理と設備の所有は電力会社になっていて、そこから低圧で各戸が受電する方式になっています。
(各戸で直接電力会社と契約を結び受電)

この方式では各戸の電気設備は一般用電気工作物と言って、電気工事を行う場合には第二種電気工事士の資格とそれを請け負うには一般用電気工作物の電気工事業登録が必要になります。

たとえエアコン工事に電気工事士法でいうところの電気工事が含まれないとしてもエアコン工事を請け負うには一般用電気工作物の電気工事業登録が必要です。

なお現実には電気工事士の資格がなければエアコン工事を行うことはムリ。

コンセントを交換したり電圧を切り替えたり、専用回路を増設したりと必ず資格が必要になります。

さて次にもうひとつの方式。

それが高圧一括受電

これは各戸を含めたマンション全体を管理会社(組合)などでまとめて高圧(6600V)で電力会社から受電する方式。

電気室の設備は電力会社ではなく管理会社(組合)などが所有管理します。
(電気主任技術者がいて各戸を含めた建物全体の電気設備の保守も兼ねています)

電気代が安くなる(設備管理、更新を含めると実際はよくわかりません)ということで導入しているところがあります。

ところがこれが問題なんですよねー🤔

高圧一括受電(需要電力500kW未満)の場合、各戸は一般用電気工作物ではなく自家用電気工作物になります。

そこでは各戸の電気工事を行うには低圧の部分なのに第一種電気工事士または認定電気工事従事者(認定電気工事従事者は高圧部分の工事はできません)とそれを請け負うには自家用電気工作物の電気工事業登録が必要になります。

しかし現在多くのエアコン工事業者は第一種電気工事士などの資格がないのはさることながら自家用電気工作物の電気工事業登録はもちろんなく、そこでは法律上エアコン工事が請け負えません。

現状はその法律や、自家用電気工作物では低圧部であっても第二種電気工事士資格だけでは工事をしてはならないことすら知らずに行っているのだと思います。
(それどころかもし第二種電気工事士も所持していなければ電気工事士法を知る由もありませんね)

なので工事に訪問した人は「ここは一般用か自家用か」などと調べることもしないでしょう。

なお、自家用電気工作物でも例外があります。

それは需要電力が500kW以上の場合。

これに関しては電気工事士や電気工事業が適用される法律がないため資格自体が存在しません。

なぜ?、500kW未満じゃないの?という疑問が湧くことでしょう。

理屈じゃありません、そういうものなんです。

まぁ、これには過去に企業と・・・おっとこれ以上はやめておきましょう😅

なお当店は第一種電気工事士の免状を所持、一般用電気工作物自家用電気工作物の両方で電気工事業の登録をしていますのでご安心を😊

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2022年11月28日 (月)

洗浄でコーティングがはがれる?

これは室内機の熱交換器。
室内機の熱交換器
アルミフィンの中に銅管が通してあり冷媒との熱交換をしています。

近頃ではエアコンの熱交換器にコーティングがされている機種があります。

先日のこと、別件であるメーカーへ調べたいことがあったため問い合わせをした際についでにエアコン洗浄(掃除業者によるクリーニング)でこのコーティングがはがれないのか聞いてみました。

回答は
「使用する薬品や水圧によってははがれることもあり得る」
だそうです。

さらにこのコーティングがはがれても特に問題はないのか聞くと
「親水性の低下により吹き出し口から水滴が落ちたり飛んできたりする可能性がある」
とのこと。

この親水性が低下すると熱交換器のアルミフィンが水を保持できなくなります。

なぜそうなると吹き出し口から水滴が飛んできたりするのかというと・・・

熱交換器は室内機の前面をあけてフィルターを外すと見えますが、実際には送風ファンの上をまたぐようにぐるりと本体の背面側までつながっています。

親水性のあるうちは熱交換器で生じた結露水はアルミフィンを伝って本体手前と背面にあるドレンパンへ流れます。

しかし親水性が低下してくると熱交換器上部の水滴がフィンから滴下しファンにあたって吹き出し口から”ピッ、ピッ、・・・”と飛んできてしまうんですよ。

これは困りますね。

市販の洗浄スプレーでもコーティングがはがれることがあるとも言っていました。

エアコンの洗浄はある程度信頼できるところへ依頼したほうがよさそうです。

なお当店ではエアコン洗浄はお掃除屋さんではないので行っておりません。
(昔はやっていたんですけどね)

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2022年11月25日 (金)

冷暖房を切り替える弁

ここのところ暖かくなったり寒くなったりと徐々に冬に近づいてきましたね😊

これからは暖房を使用するシーズンです。

エアコンの暖房はどうやっているの?と思っている方もいるのではないでしょうか。

本体の中に電気ヒーターが入っている?

昔のルームエアコンでは補助ヒーターとして電気ヒーター(電熱)が使われていたり、いまでも一部業務用エアコンでは使われているようです。

でも現在のルームエアコンは電気ヒーターは使わず冷房と同じことをして暖房をしているんですよ。

それに欠かせないのがこれ、
冷暖房を切り替える四方弁
四方弁(四方切替弁)です。

円筒形で冷媒(フロン)の通る銅管が上から1本、下に3本つながっています。

”しほうべん”とか”しほうきりかえべん”などと呼び、エアコンに精通している人は”4切弁(よんきりべん)”と言ったりします。

円筒形の筒の中にスライドする弁が入っています。

弁の断面図
四方弁の断面図
かなり簡略してますがこのようになっています。

水色の部分は冷媒が流れるところで、白い部分はスライドする弁です。

そして切り替わると
四方弁の弁が右へスライド
弁が右へスライド。

これだけで冷暖房が切り替わります。

ではこれに冷媒サイクル(回路)を加えて冷房時の運転状態を見てみます。

まずは冷房サイクル。
冷房サイクルの図
赤色は冷媒の高圧となる部分、青色は低圧部分です。
(図はクリックで大きく見れます)

左にあるコンプレッサーで圧縮された”高温高圧ガス”は四方弁を通り右下の管へ出ていきます。
(ここでいうガスはガス状の冷媒のこと)

つぎに室外機の熱交換器へ入り、そこで冷媒は冷やされて温度が下がりながら液化し”中温高圧液”になります。
(このとき室外機から熱風がでる)

つぎに膨張弁を通過すると一気に減圧、”低温低圧半液”状態になります。

それが室内機の熱交換器へ流れ込み、室温で温められて”低温低圧ガス”へと変化します。
(このとき室内機から冷風が出る)

そしてコンプレッサーへ戻ってまた圧縮されて再び”高温高圧ガス”へ・・・あとは繰り返し。

とまぁ、こんな感じです。

このことを理解すると気づきますよね。

室内機と室外機を入れ替えれば冷暖房が切り替えられると。

そのための四方弁。

では次に四方弁を切り替えた暖房サイクルです。
暖房サイクルの図
四方弁の弁が右にスライドしました。

するとコンプレッサーから来た高温高圧ガスは左の管へと流れ出ます。

そこからつながっているのは室内の熱交換器。

室温で冷媒が冷やされて液化と同時に室内機から温風が出ます。

室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器の部分は冷媒の流れが冷房と逆になりました。
(コンプレッサーの流れは変化しません)

これが四方弁の役割です。

しかしこの弁を動かすには大きな力が必要。

そこでもう1つ小さな弁が脇に付けられていてそれを電磁力で操作し、冷媒の高圧、低圧の圧力差を利用し大きな弁を動かしています。

なのでコンプレッサーが作動していないとこのタイプの四方弁は動きません。

最近のエアコンではあまり聞きませんが、たまにエアコンから”プシュー・・・”と聞こえるのは弁が切り替わった時の音です。

弁が故障すると暖房をかけても室内機から冷風が出たり、またその逆ということもあります。

ややこしい話になってしまいました😅

ルームエアコンは四方弁により冷房と暖房が同じ原理で動いているということですね。

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2022年11月23日 (水)

作業車にバックカメラ

作業車には運転席と荷室の間にエアコンの効きをよくするためカーテンを取り付けているのですが、そのためルームミラーで後方を確認することができません。

またカーテンがなくても荷物で視界は確保できないんです😅

以前にはバックカメラをつけていたのですが数年で故障して取り外してしまいました。

通常の車庫入れや後退ではサイドミラーで確認すれば問題ありませんが、すれ違いのできない狭い道路で対向車が突然あらわれバックしなければならないときにバイクなどがすぐ真後ろにいると危険💥

そこでバックカメラを復活させることにしました。

いまの新しい乗用車などではあたりまえの装備なんでしょうけど一番やっすい当店の作業車にはそんな豪華なものは付いていませんので。

なんたっていまどき泣く子も黙る”くるくるウインドー”ですから。

若い子は操作がわからないなんてこともあるとか😆

ということで購入したのは
購入したバックカメラ、モニターセット
バックカメラとモニターセット。

やはり安い車には安いもので統一😅

取り付けました。
バックカメラ用のモニターを取り付けた
以前取り付けていた位置と同じところに設置。

周囲の操作に邪魔にならず見やすい位置です。

カメラは
バックカメラの取り付け位置
こちらも以前と同じくリアウインドウの内側にしました。

モニターもカメラも付属の両面テープで簡単に付きました。

配線は全部露出で以前使用していたクリップが外さず残っていたのでそのまま再使用。

さてちゃんと映るかスイッチオン!
バックカメラのスイッチオン
お、映った😄

遠くは見えませんが真後ろを見たいだけなのでアングルはこれでOKです。

スイッチはバックギア連動ではなく右下に見えるトグルスイッチで操作します。

通常の後退や後方確認はサイドミラーで行うのでこれで十分。

これで安心して細い道路に入っていけます😊

と・・・翌朝、さあ出発とドアを開けるとさっそくモニターが落ちてました😆

あらら、やっぱり両面テープだけでは無理ですね。

ねじを1本打ちました。
モニターが落ちたのでねじで固定
これで落ちることはないでしょう。

そしてまたあくる日
バックカメラが変なところを写している
ここはどこ・・・🤣

こんどはこっちかい!
バックカメラがはがれ落ちた
両面テープも価格相応ですね。

はがして超強力なテープを使いました。
バックカメラを超強力両面テープで取り付けなおした
これで大丈夫。

映りを確認。
バックモニターの映りを確認
ウインドウガラスの反射がありますが問題ありません。

バックモニターで後退するのはかえって危険なので通常はオフのままです。

何日かに1回使うといった程度ですので長持ちすることを期待しています😊

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2022年11月21日 (月)

室外機の日よけについて

みなさんこんにちは😄
(なにこのありきたりなスタート)

近年、室外機の上に日よけを付けているお宅をよく見かけます。

エアコンの効率向上、省エネなどに効果があるとされていますがそれについて私個人としては否定も肯定もしません。

状況によって効果があるかもしれないし、ないかもしれない。

また熱による室外機の内部にある部品の劣化を遅らせることができる”かも”しれないですね。

効果が見えにくいのでお客さんへ日よけの設置を勧めることはしていません。

しかーし!もし効果があるものであれば・・・

これからの季節、暖房を使用するにあたっては日よけは逆効果になりますよ。

冷房時には室外機の熱交換器をできるだけ冷やすことにより能力が向上するわけですが暖房はその逆。

室内機から吹き出す温風の温度は効率低下で低くなるでしょう。

また、室外機の熱交換器が凍りつき、頻繁に除霜(じょそう)モードに入ってしまうなんてことになるかもしれません。
(除霜:凍った熱交換器の表面の霜を溶かす。ディアイサーが働く)

除霜モード時には温風ではなく室温より冷たい空気が室内機からゆらゆらと出てきて寒く🥶感じます。

その間せっかく暖まりかけていた室温は低下。

なので日よけの付けっぱなしはやめたほうがよいかもしれません。

あくまでも日よけに効果がある前提での話ですが。

エアコンはヒートポンプの原理で熱を移動させているわけですから、暖房時はただでさえ寒い外気からさらに熱を奪い冷媒に乗せて室内へ運んでいます。

暖房では室外機に直射日光をあてたほうがその分効率が上がるかもしれません。

なおこれは積雪の少ない地域での話なので場所によっては別の目的で日よけを使用する場合などもあります。

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2022年11月19日 (土)

溶融亜鉛メッキの天吊り金具

先日こちらで撤去工事を行ったお客さんのお宅へ設置工事に伺いました😊
(相模原市南区)

まずは室内機の設置から始めます。
室内機を取り付ける壁の材質は石膏ボード
壁の材質は石膏ボード。

建物はコンクリート構造で躯体にGLボンド(だんご貼り)でボードが貼られている形態。

この場合、質量が大きいものや奥行きのある機種は設置できません。

躯体へコンクリートアンカーを打ち込めば重い機種でも取り付けられますがほとんどの場合、管理組合などの許可が下りません。

そのため軽い機種を選定していただきました。

ボードアンカーを取り付けるための下穴をあけますが、
石膏ボードにボードアンカー用の下穴をあける
ところどころGLボンドにぶつかってしまいました。

その部分はボードアンカーの傘が壁内で開かず使用できないのでGLボンドに直接ねじを打つことにします。

また、躯体とボード表面までの寸法が40mm程度と使用するボードアンカーのねじ長より短いため、
使用するボードアンカー
そのままアンカーを取り付けてねじを締めると先端が躯体へ地付きしてGLボンドがはがれてしまいます。

そうなると壁ごと室内機が落下😱なんてことに。

なのでねじをカット
ボードアンカーのねじをカット
これで大丈夫😊

空洞部にはボードアンカーと、GLボンドの部分は木ねじを使用して据付板を固定
据付板を固定
GLボンドは経年でかなり硬化しており割れやすくもろいのでねじを打ち込む角度などを慎重に考えて行いました。

もちろんねじの長さは躯体にとどかない程度のものを選定。

そして室内機設置完了。
室内機を設置完了
カーテンボックスで本体背面の冷媒管接続や断熱、テーピング等の作業が大変ですが、この機種は全面グリルの取り外しが比較的容易なため助かりました。

ではこんどは室外機の設置です。

以前と同じ天吊りを行います。
ベランダの天井にある室外機天吊り用のインサート
天井に50cmの間隔で埋め込まれた4つのインサート。

この間隔寸法は昔の住宅整備公団が決めた規格なので天吊りは”公団吊り”ともいいます。

そして今回使用する天吊り金具は
溶融亜鉛メッキの天吊り金具
なんと高級な溶融亜鉛メッキ仕上げのもの。

通常一般の家庭で使用することはまずありません。

公共の建物など耐久性を要求される場合に使用するものです。

はじめは通常のアイボリーの塗装タイプで考えていたのですが、それでは新しいエアコンの室外機が大きく設置できないことが判明。

お客さんと相談しちょっと高価ですがこちらを使うことになりました。

普段資材店に在庫していないものなので取り寄せてもらいました。

亜鉛メッキの天吊り金具を使用するのはおそらく10数年ぶり。

こちらはインサートに金具を固定するボルトナット
天吊り金具を天井に固定するボルトナット
インサートのナットが鉄なので同じ材質、メッキを選定し当方で用意しました。

サイズは当然インサートに合わせてねじ径10mmです。

「天吊り金具が溶融亜鉛メッキなのでボルトナットも同じものにするべきでは?」

たしかにそれも言えますが、インサートのナットは普通のメッキなのでそこへ溶融亜鉛メッキのボルトは同じサイズでも基本的に入りません。

なぜかというと溶融亜鉛メッキは”ドブ漬け”ともいわれるように厚みがあるため、それ用のナットとボルトの組み合わせでないと合わないんですよ。

なんやかんやと撮影を忘れて(あれまぁ😆)
室外機を天吊り金具へ設置
室外機の固定まで終わってしまいました😅

もちろん室外機を上げる専用器具を使用したので力業ではありません。

ボルトナットはこのように固定しています。
天井インサートに天吊り金具を固定したボルトナット
表面には錆止めにコーキングを塗布。

大き目の平ワッシャーとゆるみ止めのスプリングワッシャーを使用し安心感バツグン。

つぎに冷媒管などを形作ります。
冷媒管などを形作る
配管穴から出た冷媒管が一度下におりてから再度上がってますが。

これは室外機を配管穴より上に設置する場合の基本中の基本。

初心者の工事屋さんは知らずにこれをしない場合がありますね。

雨水や結露水が室内側へ入り込むことを防止する役目があります。

その他には室外機が地震などで揺れた際にパイプの動きを吸収してパテがはがれてしまうことを防ぎます。

そして施工完了。
施工完了
室外機下から斜めにのびるものはドレンホースです。

エアコンは暖房時、室外機から排水が出るので天吊りの場合これが必要です。

引いて全体
室外設置状況全体
ドレンホースは室内機からと室外機からの2本で下ろしました。

Y管などを使って合流し1本で下ろす方法もありますが、Y管は劣化で割れたりして耐久性がないためこのほうが長持ちします。

反対側から
室外機、アングルを変えて反対側から
このように仕上がりました。

お客さん立会いの下、試運転も問題なく作業完了。

終了となりました。

帰ってから夕方に作業内容や試運転結果をデータベースに入力していると・・・

そういえばこの機種・・・

ひとつやり忘れていることに気づきました。

さっそくお客さんへ電話。

日を改めて再度訪問。

室外機の冷媒管接続部
冷媒管接続部の断熱材に結束バンドをつけた
冷媒管の断熱材に結束バンドを付けました。

なんのため?

この機種というかこのメーカー、冷媒管の接続がほぼ水平なんですよねー。
(他のメーカーは斜め上からなんですが)

天吊りで後方まで水平に配管しているためこれではバルブ部の結露水が銅管と断熱材の隙間にしみ込んでいってしまいます。

あまりいいことではないので結束バンドで締めてそれを防止します。

カバーをつけて
室外機のカバーをつけてすべて完了
こんどこそ完了😊

お客さんから「いい工事をみせてもらった」とうれしいお言葉をいただきました。

また機会がありましたら宜しくお願い致します😄

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2022年11月17日 (木)

パイプカッターにもこだわる

こちらはパイプカッター
年季の入ったパイプカッター
だいぶ年季が入ってますが😅

塗装もかなりはげてメーカー名なども全部こすれて消えてます。

メーカーはドイツのROTHENBERGER、これでローテンベルガーと読みます。

これを昔はみんな”ローゼンバーガー”(相鉄のハンバーガー屋さんかよ)なんて呼んでましたが😆

これはエアコンの銅管(冷媒管)を切断する工具です。

冷媒管はノコギリのようなもので切断すると切カスが管の中に入ってエアコンを壊してしまうのでこのタイプのカッターが使われています。

しかしだいぶガタがきているせいかうまく切断できないことがあり、ここしばらくは別のカッター(別メーカーの同じタイプ)をメインに使用しこちらは荒切り用として使っていました。

先日、資材店を訪れたところ・・・
パイプカッターのパーツ
ふと見たらこれが売っていたので購入。

袋から取り出すと
袋から出したパイプカッターのパーツ
こんな感じ。

どこに使われているかというと
パイプカッターの刃の軸
回転する切断刃の軸。

もしかして軸を取り替えるとうまく切断できるようになるかもしれないという期待から交換します。

軸からCリングを外して
パイプカッターの軸からCリングを外した
これで軸が抜けます。

しかしここからちょっと手間取りました。

軸の変形で抜けてこない🤔

軸を押したり、ペンチで引っ張ったりでようやく抜けました。

ふつうはすっと抜けるんですがねぇ。

新しいものと並べると
パイプカッターの軸を新旧並べてみた
左の使い込んだ軸は回転する刃であたり面が細くなってました。

削れた部分をノギスで測ると。
パイプカッターの削れた軸をノギスで測る
4.65mm

新しいものは
パイプカッターの新しい軸をノギスで測る
4.725mm

0.075mm細くなってました。

もちろん刃のほうの穴の内径は広がっていることでしょう。

替刃は買ってきませんでしたが
新品の替刃はパイプカッターに付いている
パイプカッターに新品が付いています😄

軸と刃を新品に取り替えました。
パイプカッターの軸と刃を新品に交換
試しに銅管を切断。

切断面
パイプカッターで切断した銅管の切断面
あらら、優秀とはいえませんネー。

”まあまあ”といったところでしょうか。

バリ取りをおこないフレア加工してみました。
切断した銅管をバリ取りしフレア加工
やっぱり”まあまあ”だなぁー。

切断刃の材質や形状によるところなのでこれ以上を求めてもムリでしょう。

でもこの仕上がりでガス(冷媒)が漏れるようなことはありませんのでご安心を。

さてパイプカッターがもうひとつ
パイプカッターが2つ
シルバーっぽい色をしているのはメインに使用しているもので日本のメーカー製です。

同じ条件で銅管を切断し並べました。
銅管を切り比べた
左はメインで使用しているもので切断面の肉厚というか内側へのカエリが少ないため薄くみえます。
(当然薄いほうがいい)

右は今回新しく軸と刃を替えたほうですがカエリが大きく切断面は厚みがあります。

しかもかなりの確率でこうなります。
パイプカッターが横に走り銅管にはらせん状に切り込みが入る
カッターの刃が横にずれて走るため銅管にはらせん状に切り込みが入りました。

パイプカッターのローラーをよく見ると
パイプカッターのローラーが曲がっているように見える
刃に対して直角ではなく少し曲がっているように見えます。

これが横走りの原因かもしれません。

落としたりして曲がったんでしょうかねぇ
(おぼえてない😅)

残念ですがやっぱり荒切り用として使うことにします。

メインは引き続きこちら
メインに使用するパイプカッター
安心の日本メーカー製。

パイプカッターはただ切れればよいというものではありません。

フレアの仕上がりにも影響するので精度の高いものを選びます😊

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2022年11月15日 (火)

配管化粧カバーがとれた

外壁に設置してあるエアコンの配管化粧カバーが取れてつかなくなってしまったとの修理依頼をいただきました😊
(川崎市宮前区にて)

ありがとうございます😄

まずは状況確認のため現地調査に伺いました。

― 現地調査 ―

2階から下りてきたパイプのカバーがご覧の通り。
配管化粧カバーのフタがとれている
途中からフタがとれています。

取り付けてもすぐに外れてしまうため危険防止で外したままにしているそうです。

すぐ後ろにはお隣のうちの自動車があるのでそこへ落下したらたいへんです。

少し離れたところから2階部分を見ると
ジョイントなどの部品が使われていない
壁の段差をジャバラのカバーでのり越えてますがその端部にはジョイントの部品がありません。

これでは長期経過するうちに外れかかったフタが風などで吹き飛ぶこともありますよ。

そして直線のダクト接続部分も
直線のダクト接続部分にもジョイント部品が使われていない
ジョイントがありません。

カバーはタイル目地にねじで固定してありますがねじ長が短いため抜けてきています。

一番下も
カバーの端末に部品がない
部品がありません。

そのため1階のカバーは
配管化粧カバーのフタがずり落ちて隙間ができている
フタがずり落ちて隙間ができています。

こりゃ、だいぶ材料や手間を省かれてますねぇ。

なぜこんなことになるのかというと、エアコン工事をしている多くの業者さんは化粧カバーの長さでもらえる費用が決まっているからです。

できる限り使用する部品点数を少なく、安い資材を使えば材料費も手間も抑えられて得なわけです。

ちなみに当店は長さではなく部品点数で費用を決めてます。

調査が終わり見積もりを出してOKとのことで修理をします。

― ここから修理作業 ―

フタのつかない劣化したカバーは撤去しました。
梯子に登って劣化した配管化粧カバーを外す
ねじも適切な長さのものを使用するので抜いたものは捨てて新しくします。

撤去したカバー(左)と新しく取り付けるカバー(右)を並べると
撤去したカバーと取り付けるカバーとでは厚みが異なる
撤去したものは薄くてフニャフニャとして軽い。
(画像ではあまり差を感じないかもしれません)

周囲を見回してもメーカー名がなくどこの製品か不明です。

こちらで用意した新しいカバーは因幡電工製のSDシリーズ。

化粧カバーでは老舗のメーカーです。

2階部分のジャバラとストレートの接続部
ジャバラとストレートの接続部に部品を入れる
ここに部品を入れます。

用意したのはこれ
配管化粧カバーのジョイント部品
ジョイント部品。

メーカーが異なるのですがいままで付いていたものは因幡電工のものとそっくりなのでそのまま使用できます。

部品の受けを入れて
既設の化粧カバーにジョイント部品を入れる
ねじでサイディング壁に固定。

ストレートのカバーも取り付けてこのようになりました。
配管化粧カバーの修理が終わった
途中の画像はありませんが修理完了です。

ジャバラ両端、ストレートとの接続部
ジャバラ両端、ストレートとの接続部に部品がついた
ジョイント部品がついてしっかりしました。

下から見上げるとこんな感じ
交換、修理した化粧カバーを下から見上げる
途中のストレート同士の接続部もジョイント部品が入っています。

下部端末
化粧カバーの下部端末に部品を付けた
こちらも部品を付けました。

1階(右側)のカバーには端末の部品を追加しただけなのですが、既設のものと少しサイズが異なるためコーキングで隙間を埋めました。

これでカバーのずり落ちも防止できます。

お客さんに一通り確認していただき作業終了😊

― ここからはちょっと別の話 ―

作業中、気になったことがあったのでお客さんへ伝えましたが・・・
気になるところが・・・
これ・・・

1階エアコンのパイプの途中にコブがあります。
パイプの途中にコブがある
これはおそらく電線の途中接続。

このように接続部をパイプのテープと一緒に巻くと漏電、エアコンの異常停止、最悪の場合発火ということになります。

お聞きしたところこのエアコンは引っ越しの下請け業者さんが移設し取り付けたとのことでした。
(ほとんど使用していないとのことで今後、撤去か修理を検討するそうです)

これも先ほどのカバーと似たようなところが・・・

電線を取り替えても、お客さんから費用をいただくことを元請けの会社が嫌がったりするケースがあるようです。

もちろん元請けからも費用が支払われるはずはありません。

そうなれば下請け業者はどこかで余った半端な電線をつないで納めてしまおうとするでしょう。

これらのことを踏まえて言えることは、
”安い工事”は安い(粗悪な)材料と手抜き工事でしか成り立たない。
ということです。

たとえお客さんが高額な費用を払ったとしても中間に何社も入っていれば同じことです。

こうしたことからエアコン業界で手抜きが多いといわれる理由(これだけではありませんが)も見えてくるでしょう。

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2022年11月13日 (日)

膨張弁コイルの交換

横浜市港南区にて先日行った漏電点検、今回はその修理です😊

ではさっそく作業開始
室外機の膨張弁コイルを交換する作業を開始
右下にみえる小さい白い箱がメーカーから取り寄せた部品です。

こちら
部品の箱に表示された注意書き
箱の表面に注意書きが貼られていました。

どうやら機種によっては室外機の製造番号で使用する部品が異なるようです。

膨張弁は他のメーカーでも製造途中で仕様が変わることがあるので取寄せの際、たまに製造番号を聞かれることがあります。

室外機の外板を外して
室外機の外板をはずして
室内外の連絡電線も外しました。

ここで一旦漏電の状態を絶縁抵抗計で測定してみます。
修理前に漏電の状態を絶縁抵抗で測定
0.4~0.5MΩです。

点検時にはほぼ0Ωあたりを指していたので抵抗値は上がっていますね。

漏電は部品の湿度や水濡れ等によっても抵抗値が変化します。

でもこの数値ではまだ異常。

さて膨張弁ですが
室外機の中の膨張弁
正面からはちょっと奥まったところに付いてます。

背面側も開けて
膨張弁コイルを交換するため室外機の背面側を開けた
アクセスしやすくなりました😄

こちらが膨張弁本体になります。
室外機内にある膨張弁
ところで膨張弁ってなに?

聞きなれない用語ですよね。

詳しくは説明が難しくなってしまうのでここでは書けませんが・・・

当ブログを始めた頃にこちらで少し触れているのでご参考に。
(減圧弁として記載しています)

この室外機についているものは電子膨張弁や電動膨張弁といって電子制御のステッピングモーターなどで微妙にバルブを開閉して適量の冷媒がサイクル内を循環するように流量コントロール、減圧しています。

そのためか今回取り替える膨張弁コイルのメーカー部品名は制御モーターとのことです。

取り替える膨張弁コイルはモーターのコイル部です。

この部品が故障すると正常に冷暖房できなくなります。

コイルを外しました。
膨張弁からコイルを外した
回転子の入っている筒状のものが見えます。

錆が付いていたので少し拭き取りました。

コイルの内面
外した膨張弁コイルの内面は錆がある
錆びてますね。

膨張弁は表面が結露や凍結したりするので仕方ないと思います。

上についていた白いものは何かと思ったら
膨張弁コイルの上についていたのは断熱材
断熱材でした。

新しいコイルと並べます。
新しいコイルと故障したコイルを並べる
左が新しいものですが断熱材がなく黒いキャップが付いてますね。

部品が入荷した際、メーカーさんに以前のコイルには白いものが付いていたけど・・・と確認したところそれは無視して大丈夫と返答いただきました。

仕様が変わったのでしょう。

新しいコイルを取り付けて
新しい膨張弁コイルを取り付けた
配線をします。

必要なところには結束バンドで固定
配線を結束バンドで固定
中央に一際目立っている筒状の部品がありますが、これは冷媒の流れを冷房と暖房で切り替える”四方切替弁”。

コネクタを接続して
基板にコネクタを接続
配線もおわりです。

外板を戻していきます。
部品交換が終わり室外機の外板を戻す
ねじは何種類かあるので間違いなく元通りにします。

ねじを余らせたり、足らなくなる(どこにつけてきたの?)ような恥ずかしいことはしてはいけません😆

内外連絡電線まで接続し絶縁抵抗を測定しました。
部品交換後の絶縁抵抗測定
200MΩ位で正常になりました。

冷房と暖房で運転して異常のないことを確認。
修理後の試運転は問題なし
無事修理完了です😊

当店をご利用いただきありがとうございました😄

なお膨張弁コイルでの漏電というのは当店では初めての事例でした。

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2022年11月10日 (木)

天吊り室外機撤去と取付調査

相模原市南区でエアコン入れ替えの依頼をいただきました😊
ありがとうございます😄

室外機がベランダの天井に吊るされている”天吊り(公団吊)”になっておりその撤去と取り付けのための調査の模様です。

その室外機がこちら
撤去する天吊り室外機
かなり旧型のものになります。

冷媒もR22という現在では使用されていないもので、オゾン層を破壊する(真偽は不明)といわれていたガスです。

ではまずポンプダウン(室外機に冷媒を回収する)のためバルブのキャップを外しました。
ポンプダウンのためバルブのキャップを外す
ほうほう、やっぱりこのサイズか・・・

バルブを回すため六角レンチを差し込みますが
バルブを回すため六角レンチを差し込む
こちらのメーカー(東芝)の古い機種は他のメーカーとは異なり5mmのレンチ。

近頃ではあまり見かけなくなりましたが、たまにまだ使うことがあるので工具箱に用意してあります。

なお現在ではすべてのメーカー、4mmの六角レンチでバルブを操作します。

おっと、このエアコン4分か・・・
ガス管側が4分管
ガス管側の銅管は12.7mm(4分)というサイズ。

こちらのエアコンは冷房能力4.0kWで14畳用ですが、現在(9.52mm、3分管)よりも太い管が使用されています。

記憶が定かではありませんが、冷媒がR22の時代は冷房能力3.2kWクラスあたりから4分管だったような気がします。

新冷媒と呼ばれるR410AやR32では6.3kW以上が4分管です。

R22は圧力が低かったのでバルブに接続しているフレアナットは小さめ。

レンチのサイズが合わないので作業車へ取りにいきました😅

室外機に接続されているパイプ、電線類は外れたので室外機を下す作業にかかります。

担いで”ヨッコラショ”なんて危険なことはできません😆

これを使用します。
天吊り室外機昇降用の工具
たしか商品名は”たすかるくん”とかだったような気がしますが、これ本当にたすかります😄

が、残念ですがもう販売されてないみたいですね。

さて工具を取り付ける準備をしますがこれ・・・
天吊り金具を天井に固定しているボルトナットが・・・
天井に金具を固定しているボルトナットですがワッシャーが使われてませんね。

なぜこのような施工がされたのか・・・

天吊の金具にはこのボルトナット類が付属してこないんです。

それが悪いということではありません。

これを施工した業者が建物に初めから取り付けられているボルトナットをそのまま使用したことが問題です。

そのため平ワッシャー、スプリングワッシャーがない状態となっています。

いわゆる”手抜き工事”ですね。

昔(たしか30数年前まで)、天吊り金具には天井のインサートに使用するボルトナットとワッシャーが付属していました。

どうして付属しなくなったのか・・・これについてはあとでわかると思います。

工具を取り付けるための金具(アダプタ)を付けます。
天吊り室外機の昇降用工具を取り付けるための金具をつける
ナットを緩めて金具を差し込みますがボルトが一緒に緩んでこないか慎重にしました。

抜けたらたいへん😆

金具をつけてナットを再度締めますがこんどは狭くてレンチが回らないので
レンチが入らないのでディープソケットを使用
ディープソケットをドリルドライバーにつけて締めました。

金具がつきました。
天吊り室外機昇降用工具を取り付ける金具がついた
これは室外機背面側ですが正面側にも同じものをつけています。

金具と金具の間の寸法を測って
天吊り室外機昇降用工具のサイズを調整する
昇降用工具のサイズを調整します。

そして工具をセット
天吊り室外機昇降用工具をセット
室外機にはラチェット式の荷締め機のようなもので固定するようになっています。

室外機の足を固定しているボルトナットを外しますが
室外機を固定していたボルトは外す際折れた
錆で固着していて力で回したらボルトが折れました😅

このようなことから金具の再使用は無理ですね。

エアコンとともに金具も寿命を迎えます。

室外機を少し吊り上げて
室外機を少し吊り上げた
浮かします。

室外機が載っていた部分のバーを外して
室外機を下すため金具を外す
錆がひどく完全には外せませんでしたが。

あとはスルスルーと
天吊りの室外機を昇降用工具で降ろした
降ろしました。

無事に軟着陸😄
室外機が無事に着地
室外機を吊ったところが中央ではなく手前側にずれてますが、これで重心位置です。

室外機はコンプレッサー側が重いので勘で重心位置を見極めてベルトを固定します。

天井に固定していたボルト4本も抜き取りました。
室外機を天井に固定していた4本のボルトを抜き取った
天井側の受けはナットが埋め込まれているインサート。

もし、インサート(建設時、コンクリート打設前に埋め込まれた受け)ではなく後打ちのアンカーの場合は安全性の確認ができないため天吊りの取り付けはお断りしています。

インサートのサイズを調べるため10mmのボルトを入れてみます。
インサートのサイズを調べるためボルトを入れてみる
2箇所はすんなり入りましたが残り2箇所は手では回せずレンチで入りました。

受け側のインサートのナットは鉄で、ねじのサイズは10mm。

取り付ける際は同じく鉄の10mmで六角ボルト、ナット、平ワッシャー、スプリングワッシャーをこちらで用意します。

いままではステンレスでしたが鉄との相性はあまりよくないので鉄で統一することにします。

そしてこれ、いままで使われていたボルトナット
いままで使用されていたボルトナットは3/8インチ
3/8インチでした。

3/8インチは10mmより細いので10mmナット(インサート)に入ってしまうんです。

でもねじのピッチもちがうので点接触になり強く締め付けた際にねじ山を崩します。

それがさきほど手で入らなかった原因だと思います。

(建物に初めからついていたボルトだからといってそれを信用できるほど建築界はあまくありません)

またインサートが3/8インチという場合もあり、それでは10mmのボルトはまったく入りません。

このようなことから金具メーカーは天吊り金具に天井へ固定するボルトナットの同梱をやめたのだと思います。

10mmのボルトを同梱すると「入らない」と工事屋からクレーム。

3/8インチを入れれば10mmのインサートに使用される危険性。

これじゃ金具メーカーさんもやってられませんね。

このねじのサイズについては最近こちらでも取り上げています。

これで撤去と調査は完了です😊

天吊りの工事には事前の調査が必要になることもおわかりいただけたでしょうか。

調べもせず持ち合わせの材料でなんとかおさめてしまおうとすることは手抜き工事につながります。

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2022年11月 8日 (火)

エアコン漏電、どこから・・・

横浜市港南区のマンションでエアコンから漏電しているという点検依頼をいただきました😊

当店をはじめてご利用くださるお客さんです。
(ありがとうございます😄)

エアコンは1年半ほど前に購入だそうです。

まだ新しいですね🤔

現地へ到着
漏電してるエアコン
ブレーカーが落とされ、コンセントからプラグは抜かれてました。

経緯を伺うと、
・夜エアコンを運転していたところ突然電気が消えて停電かと思い周囲を見ると消えているのは自宅だけ。
・ブレーカーを見たところ漏電遮断器が落ちていた。
・電気保安協会の資料を見ながらブレーカーを操作し調べたところエアコン回路から漏電していることが判明。
ということです。

まず現在も漏電しているか電源プラグで絶縁抵抗計を用いて計測するとほぼ0Ω付近を指示。

しっかり漏電してますね😆

漏電が起きたときはそれが継続していないと原因不明でなかなか修理できないこともあるのでこれは不幸中の幸いともいえます。

雨がたくさん降った時だけ漏電するとかは厄介なケースになりますので。

ではどこから電気が漏れているのか切り分けて探します。

こちらが室外機
漏電しているエアコンの室外機
室内機か室外機のどちらが漏電しているかまずは調べます。

端子台部分のカバーを開けて
室外機端子台カバーを開けて電線を抜いた
室内外連絡電線を抜きました。

そして室内機側につながる電線に
室内機側の漏電をチェック
テストピンをあてて

絶縁抵抗計の指針は
絶縁抵抗計の指針はほぼ無限大
ほぼ無限大を指しています。

室内機側に漏電はありません。

つぎに室外機の端子台
室外機端子台で絶縁抵抗測定
こちらにテストピンをあてます。

絶縁抵抗計は
絶縁抵抗計がほぼ0Ωを指す
ほぼです。

室外機から漏電していることがわかりました。

というか想定通りの展開。

エアコンの漏電は室外機からというのが多いんですよ。

ということで室外機のカバーを外します。
漏電調査のため室外機のカバーを外す
内部のどこが不具合を起こしているのか探します。

エアコン漏電の定番といえばコンプレッサー(圧縮機)。

ここであればメーカー保証期間内なので無償修理が受けられる可能性があります。
(コンプレッサーは通常5年のメーカー保証)

コネクタを外して
コンプレッサーの絶縁抵抗を測定
コンプレッサーの絶縁抵抗を測定します。

指針は
コンプレッサーの絶縁抵抗は200MΩを指している
200MΩあたりを指しています。

この数値は正常で十分な絶縁抵抗があります。

定番じゃなかった😜

ここからは直接パーツを測定するのではなく、室外機の端子台で測定し部品を外して漏電が止まるところを探します。

ファンモーター・・・ちがう・・・
四方切替弁コイル・・・ちがう・・・

制御基板上にあるパワートランジスタか?、でもルームエアコンではこの部品は確率低い・・・などと思いながらパーツを外していきます。

各サーミスタ・・・ちがう・・・

膨張弁コイル・・・おっ!
膨張弁コイルを外すと室外機の漏電が止まった
200MΩ位まで抵抗値が上がって漏電が止まりました😄

膨張弁コイルで絶縁がやぶれて漏電。

部品交換すれば直ります。

ちなみにこの部品はメーカー保証期間が1年なので期間切れ。

資材店に部品の価格を確認すると「このメーカーは確認にちょっと時間がかかります」とのこと。

室外機を元に戻して
室外機をすべて元に戻して点検終了
点検終了となりました😊

次の日に資材店から連絡が入り「メーカー在庫切れで製造してからになるので入荷未定」とのこと。

えー?、まだ2年目のエアコンでそりゃないでしょ。

ということでメーカーへ直接問い合わせると即「在庫あり」で価格も判明。

お客さんへ見積額を連絡して修理の依頼をいただきました😄

すぐに部品をメーカーへ発注。

やっぱり直接メーカーとやりとりしたほうが早いですね。

資材店の場合、商社などが中間にかんでいるので情報伝達がうまくいかないことがあり時間もかかります。

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2022年11月 6日 (日)

室内機がカタカタ音して動かない

エアコンを運転すると室内機から「カタカタ」と音がして動かないという点検依頼をいただきました。

場所は川崎市多摩区のマンション。
(ご依頼いただき有難うございます😄)

取り付けを行ったのは当店ではありません。

現地到着。
ダイキンのエアコンを点検する
うわ、この機種なつかしい・・・

むかし何台か取り付けたことがありますよ。

ほんと数えるほどですけど。

このシリーズたしかすぐに消えてなくなったような記憶があります。

製造年は
2005年製造のエアコン
2005年です。

かれこれ17年ですか・・・

室内機は角ばった形でデザインに力をいれた製品でしたけど。

運転すると吸い込み口や吹き出し口のパネルが開くようになってます。

ところが・・・スイッチオンすると
吹き出し口のパネルがカタカタ音を立てて上がらない
吸い込み口のパネルは手前に出てきましたが、吹き出し口のパネルは途中で”カタン、カタン、・・・”と音を立てて上がりません。

そしてパネルが上がらないことを検知したエアコンは運転を停止し、パネルを全部閉じてしまいます。
(貝みたい😆)

少しするとリトライしますが結果は同じで今度はランプでエラーを表示し始めました。

このエアコンのように可動部の多いエアコンにはよく見られる症状です。

パネルを動かすためのギアが摩耗などして歯が飛ぶようになってしまったようですね。

試しに吹き出し口のパネルが上がるタイミングで手を添えて補助すると
吹き出し口のパネルが開くのを手で補助した
スーと上まで開きました。

パネルが上がったことをエアコンは検知し
エアコンが正常に動き出した
こんどはルーバーが動いて正常に運転を開始。

ギアを交換すれば直りそうですね。

室内機のパネルなどを全部外して内部を見たところやはりギアの歯飛び。

問題は部品があるかどうか・・・

メーカーに問い合わせると正式名称は”減速ギア組立品”(ギアユニットとモーター、ハーネスのアッセンブリ)で在庫は全国で20個程度残っているとのこと。

しかし製造から17年経っているので今後他の故障の起きる可能性は大です。

お客さんへは本体買い替えも視野に、修理費用と買い替えた場合の工事費用の見積もりをメールで送ってご検討いただくことになりました😊

メーカー問わず可動部の多いエアコンはどうしても最後はこのような症状が出やすくなります。

エアコン選定する際はできるだけ単純な造りのほうが部品点数が少なく、つまらない故障も減ると思います。

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2022年11月 3日 (木)

据付板の取り付け

エアコンを取り付けるにあたり一番初めに行うのは据付板(室内機を掛けるための鉄板)の取り付けです。

今回は一戸建てでの一例として当店ではどのように据付板を取り付けているかを見ていただければと思います😊
(ちょっと細かい内容ですが・・・😅)

あくまでもほんの一例なので建物の構造や状況により設置方法や順序はケースバイケースで変わります。

こちらはあるお客さんのお宅です。
お客さんのお宅でこれからエアコンの据付板を取り付ける
この壁に室内機を設置します。

施工を始める前に建物の構造を確認し、図面がある場合は見せてもらって、室内機の大きさや重さも考慮し取り付けに問題がないか検討します。

まずは室内機を設置する高さなどをお客さんと共に決めてから
壁にあける配管穴の位置を決める
内部の柱の配置を調べて配管穴の位置を決めます。

消せるように鉛筆で印をつけています。

それに合わせて据付板をねじ1本で仮固定
据付板をねじ1本で仮固定
他に問題がないか確認します。

配管穴をあけるところに障害がないか内部を探ります。
配管穴をあける前に壁の中を探る
壁の中には構造物、電線(電線管)、ガス管などが入っていることがあります。

障害がなければ据付板を固定するボードアンカーを打ち込む位置に細いドリル(3.5mm)で石膏ボードに下穴をあけて
ボードアンカーを打ち込む位置に細いドリルで下穴をあける
据付板を一旦外します。(ちょっと穴が小さくて見えないかもしれませんね😅)

今回は上4本、下2本の計6本ボードアンカーを使用します。

下穴には位置出しと内部を探る2つの意味があります。

そのためドリル刃は鉄工用などではなくコンクリート用を使い、内部に電線等があっても傷をつけないようにしています。

次に6つの下穴をボードアンカーのサイズに合ったドリルで広げます。
ボードアンカーのサイズに合ったドリルで穴を広げる
ドライバーなどを使って再度内部に障害がないかチェック。

ここで石膏ボードの厚みを調べます。

そしてボードアンカーのサイズを厚みに合わせて選定
石膏ボードの厚みに合わせたボードアンカーを選定する
常時4種類の金属製傘式ボードアンカーを用意してあります。

壁の厚みに合っていないと強度が出ません。

ボードアンカーを差し込んで
ボードアンカーを取り付けた
専用工具で壁内で傘を開きます。

これらの工程を省略できるボードアンカーが売られていますが、内部の状況がわからないまま使用するのは危険です。

それらはドリルドライバーでねじ込むだけで傘まで開いて固定できますが電線、ガス管などに命中すると大変なことになります。

なので当店では使用しません。

ボードアンカーのねじで据付板を仮固定
ボードアンカーのねじで据付板を仮固定
まだねじは緩んでいます。

水平器でレベルを出して
水平器を使用して据付板のレベルを出す
ねじを締め付け。

このねじはいくらでも締まっていくので加減が必要。

締め過ぎると石膏ボードを破壊して強度不足になり抜けます。

ボードアンカーでの固定が終わりました。
ボードアンカーでの据付板固定は完了
でもこれだけでは不十分です。

中央付近に柱があるはずなのでそこへ木ねじで固定します。
マグネットで柱の位置を確認する
マグネットで柱の位置を確認します。

なんでマグネットで柱の位置がわかるのか?

それは石膏ボードが鉄のねじで柱に固定されているのでそのねじを探せばほぼ正確にわかります。
(ただしマグネットでわからないこともあるのでその場合は別の方法を使います)

でもここでいきなりねじを打つのは危険。

内部を探ると据付板のねじ穴と柱の位置はこんな感じ。
据付板のねじ穴と柱の位置
柱がちょっと左にありますね。

このような状態でまっすぐねじを打つと固定できません。

また柱の側面は電線などが固定してあることもあり、すれすれにねじを打つと命中することがあります。

でもこの程度であれば左方向へ斜めに打てば問題ありません。
ねじを斜めに打った
この部分の柱は細いのであまり長いねじを大きく斜めに打つと突き抜けて反対側にある電線などに命中することも考えられるのでねじの選定や加減が必要です。

これでしっかりと固定できました。
据付板をしっかりと固定できた
すべてのねじを手回しのドライバーで一通り締め具合を確認したら完了です。

据付板の固定はそのときだけ室内機の重量に耐えられればよいというわけにはいきません。

一度設置したら10~20年、フィルター掃除やエアコン洗浄、その他メンテナンスにも耐えられる必要があります。

たまに聞くのがフィルターの掃除をしていたらエアコンが落ちてしまった😱というケース。

据付強度が不足している場合に起こります。

壁の状況に応じて固定の仕方や材料をよく吟味して施工する必要がありますね😊

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2022年11月 1日 (火)

エアコン専用コンセントと発熱

エアコン専用コンセントに差し込んだエアコンの電源プラグ
エアコン専用コンセントと電源プラグ
今回はこの部分の発熱についてです。

昨日のこと・・・

エアコンの取り付け工事がほぼ終わり、さてこれから試運転ということで
「今日は冷房と暖房どちらがいいですかねぇ」
などとお客さんと話をしながら絶縁抵抗を測定。
(測定結果は問題なし)

そしてエアコンのプラグをコンセントに差し込む前に・・・何も接続していない手持ちの延長コードのプラグでコンセントへ10回ほど差したり抜いたりを繰り返しました。

これを見ていたお客さん
「なにをしているんですか?」

奇妙な行動に見えたかもしれませんね😅

この行動の理由は・・・

コンセントとプラグは金属で電気的に接続されますが、その金属の表面に酸化被膜や汚れなどがあると接触面積が減って電気抵抗が大きくなります。

それらを削り落とすため。

※以下、計算をわかりやすくするため交流における力率は無視しています。

ルームエアコンは最大で15~20Aとけっこう多めの電流が流れます。

こんな式を学校時代に習ったと思いますが、
P=VI
P:電力[W]、V:電圧[V]、I:電流[A]

たとえば100Vで15A流れると1500Wになります。

そしてもう一つ
V=IR
R:抵抗[Ω]

オームの法則ですね。

これら2つの式から
P=VI=IR・I=I^2・R
となって電流の2乗に比例して電力が増加することがわかります。

例えばコンセントとプラグの間に1Ωの抵抗があったとしましょう。

10W程度の小さな電気製品で0.1Aしか電流が流れなければ、

そのとき1Ωの抵抗では0.1^2×1で0.01Wとなります。

これが・・・
1Aでは1W
5Aで25W
10Aで100W
15Aで225W
20Aともなれば400W
となります。

ここまで詳しくは話しませんでしたがお客さんからは
「その電気はどこかに飛んで消えるんですか?」
とすごくいいご質問をいただきました。

ここが問題なんです。

抵抗で消費される電気は熱に代わるんです。

もしさきほどの100Wや400Wなんてことが実際に起きたら完全に燃えてます😱

まあここまで抵抗が大きければエアコンも止まってしまいますけどね。

そこまでいかない中途半端な抵抗が一番危険でしょう。

コンセントとプラグ本体が面している見えない部分では熱により樹脂が徐々に変色、そのうち焦げてカーボン化。

電極と電極の間が完全にカーボン化するとそこで電流が流れ始めさらに発熱し発火します。
(こういった事故は実際に存在します)

そんなことが起きないようにするには電気抵抗をできる限り低くする以外方法はありません。

とくにエアコンは長時間、大きめの電流を流すことがあり発熱しやすい傾向にあります。

そのため差したり抜いたり何回もして接触をよくするわけです。

これをすると多くの場合温度が下がります。

接触抵抗が少なくなったということですね。

当店でエアコン工事を依頼された方は試運転時にコンセント部分の温度も測定しているところを見たことがあるでしょう。

この程度なら大丈夫、これは危険と、周囲温度と比べて判断しています。

これからの季節、エアコン暖房時はとくに電流量が多くなるので、たまに熱くなっていないか確認するといいですよ。

もしご自身でプラグを差したり抜いたりする場合は、なにもつながっていない延長コード等を使用するか、プラグの形状が合わなければエアコンのブレーカーを落として電気を停めてから本体のプラグでおこないます。
(ただしそれによる事故等があった場合でも当方では一切責任を負いかねますのですべてご自身の責任で行ってください)

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