モルタル外壁のメタルラス
一戸建てなどで壁に配管穴を開けてエアコンを設置する場合はこのような
スリーブと呼ばれる樹脂の筒を入れます。
何のためにスリーブを入れるのかというと、
・パイプ類の保護
・ドレン勾配の確保
・壁内と室内との空気の流れを止める
・虫の侵入を妨げる
といった理由があります。
これだけでもスリーブの必要性を感じると思いますが、実際のところ取り外し工事などに行って取り付けられているのは1割にも満たない感じです。
その理由は施工する者が
・必要性を感じていない(知らない)
・材料費がもったいない
・手間(時間)がもったいない
などでしょう。
要は業者側の都合ってことですね。
これじゃいけません。
それはさておき、モルタル外壁の場合はもうひとつスリーブを取り付ける理由があります。
電気工事士の有資格者であれば知っていると思いますが・・・
これはモルタルの外壁に穴を開けた際の残がいです。
厚みが2cm位で上面が室内側です。
メタルラスとは金網でできていてモルタルを壁に保持する役割があり一般的には”ラス網”とか単に”ラス”と呼ばれています。
拡大してみると
左
このように切断した部分が鋭利になっていてパイプ類に刺さることが予想されます。
実際過去には穴に通した電線にメタルラスが刺さり火災になった事例があります。
電線からメタルラスに漏電し壁に貼られたラス網が電熱線のように熱くなり発火するというものです。
電気工事の世界では昔からよく知られている事象で、わたしが学生時代でも電気工事の授業で習いました。
いまでは漏電遮断器がかなり普及してるので火災に至るケースは少ないとは思いますが。
それでも漏電遮断器が故障していれば危険な事に変わりありません。
そしてエアコンで配管穴に通すのは冷媒管(銅管)、ドレンホース(排水管)、内外連絡線(電線)などです。
ここで危険性が考えられるのは電線ということになりますね。
しかしそれだけではありません。
ドレンホースにラスが刺されば漏水になります。
「さすがに冷媒管の銅管までは刺さらないでしょう」
たしかに銅管までは刺さりません。
が・・・それだけではありません。
銅管はエアコン本体金属外箱と同電位になっています。
断熱材(スポンジみたいなもの)を破り銅管にメタルラスが接触しているとエアコン内部故障により本体で漏電が起きた際、ラス網にも漏電電流が流れることになります。
もっと言えば他のエアコンや電気機器と同じアースに接続されている場合、状況によってはそれらの機器で漏電しても回り込みでラスに流れてしまうことさえ考えられるわけです。
(ちょっとややこしくなってきましたね😅)
原因不明の火災にはこういった現象もあるかもしれません。
このような理由からスリーブの取り付けは欠かせませんね。
http://kato-aircon.com/
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