室外機の天吊り工事
前回の続きで室外機の天吊り工事を行います。
(東京都稲城市)
エアコン関連業者間では天吊りと呼んでますが公団吊りともいいます。
こちらの建物には
室外機を天吊りするためのインサートが4つ設備されています。
当店ではこのインサートがないと天吊りは行っていません。
また後打ちのアンカーが打込まれている場合は安全性に懸念がありやはり行いません。
インサートの配置間隔は縦横方向どちらも50cm(旧公団規格)。
左に同じくお隣の天吊り用設備のインサート(化粧ナットと化粧ワッシャー)が見えます。
(こちらのは作業前に外してしまいました)
はじめから建物に付けられているナットやボルトは使用しません。
それはステンレスなので建物に埋め込まれているインサートや取り付ける天吊り金具は鉄製で接触すると付近がサビやすくなるためです。
天吊り金具
昔の天吊り金具には先ほどのインサートに固定するボルトナットのセットが付属していましたがサイズが合わないことが多く今では現地調達となっています。
まだエアコン工事駆け出しの頃、インサートにミリねじとインチねじがあり建物ごとにばらばらなことを知らず「あれ?硬くて入らない・・・」と苦戦したことを思い出します😅
インサートの深さとねじのサイズをチェック。
深さは4cm程でサイズは10mm(ミリねじ)です。
ここにインチねじ(3/8インチ)を使用してもスルスルとうまく入ったように勘違いしますが、それではインサートよりボルトが細くしかもねじのピッチが異なるため点接触になり双方のネジ山を壊します。
六角ボルトが75mmとちょっと長めですが問題ないのでこれを使用します。
ほかにスプリングワッシャーと大きめの平ワッシャーを用意しました。
先に六角ボルトをレンチで軽く締めてそれからナットを締め付けます。
吊り用のステーを付けて
室外機の設置位置や足寸法に合わせて付けます。
いよいよ室外機を上げますが一人作業なので
専用の吊り下げ(上げ)機を使用します。
これは室外機の重心が中心より右側にあるためです。
玉掛の技能試験を思い出しますが目で見たものの重心がどこにあるかという出題がありました😅
室外機の吊り下げ機は一本吊りのためこの判断を間違えると滑って落下します。
使用した日晴金属製の天吊り金具には吊り下げ機が付けられるように加工がしてあります。
吊り下げ機も同じく日晴金属製なのでこのようになっています。
室外機を上げます。
綱引きのようにベルトを引くと上がっていきます。
周囲に接触するものがないか注意しながら上昇。
このとき吊り荷の下に入らないのは基本中の基本。
上がりました。
このあとは室外機を載せる金具を渡して吊り下げ機を取り去ります。
最後に各所のボルトナット類を確認も兼ねて増し締めします。
それとはじめに取り付けたボルトナット類には
酸化防止(サビ止め)にシリコンのコーキング材を薄く塗りました。
ここでお隣さんからパーテーション越しに声がかかり「こっちに風がこない?」と心配されています。
風は外の方向に吹き出すことを説明してご納得されていました。
しかしお隣の室外機を見るとベランダに床置きしています。
じつはこういう公営系の建物は消防法の観点から室外機を床置きすることを禁止しているところがあります。
(こちらもそのタイプのようです)
いずれ室外機を天吊りするように指導されるかもしれません。
室外機の天井吊りというのはベランダを広く使ってもらおうというような使用に配慮したものではなく、災害時の避難の際に障害となるのでそもそも床に置くなということなのです。
ベランダは専有部ではなく共用避難路という解釈です。
ということで建物の管理に確認して適切な設置をおこないましょう。
http://kato-aircon.com/
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