エアコン移設でガス補充?
先日、ある問い合わせをいただきました。
その内容は、引越し屋さんからエアコンの移設にガス補充などが必要になるかもしれないから標準工事より高くはなるが予めパック費用で申し込みをしたほうがよいと言われたそうです。
それを不審に思われたとのことです。
まずエアコンというのは新品のときに規定量(ルームエアコンであれば1kg程度)が初めから本体(室外機)に封入されています。
そのためチャージレス(補充不要)配管長以内であれば真空引きをしてバルブを開けるだけでいいわけです。
ただしチャージレス配管長を超えた場合に限り超過分1mあたり数十グラムを補充することがあります。
では移設のときにガス補充が必要になるというのは・・・
おそらく引っ越し屋さんが言っていることは上記のような配管長の話ではなく漏れて減った量を補充することだと思います。
移設をするとガスが減るとよく聞きますね。
実際は移設により減るガスは微々たる量で経験上移設したらガス不足になったということはありません。
もし不足したのであればそれは移設前からガスが漏れていた可能性があります。
もしくは移設時の施工ミスやバルブ不良で漏れたのかもしれません。
そして問題なのは・・・
”ガスが減ったから補充する”という考えです。
初めの方で書きましたがエアコンのガスは規定量というのが機種ごとに決まっています。
それを守らないと動作が不安定になったり、電気を余計に消費したり、寿命を縮めたりといいことはありません。
ガスの量は重さで量るもので、よくエアコン屋が持っているゲージマニホールド(赤と青の圧力ゲージが付いたバルブ)で圧力を見てもわからないんです。
しかもゲージには圧力と共に温度の表示がありますがこれの意味を知らないエアコン屋の多いこと。
昔、業務用エアコンでインバーターではなく一定速で回るコンプレッサーに圧力計と管温を計測する詳細判定法を用いて補充を行った時代がありましたがそれでもなかなかうまくいかないのが実状。
それを現代の回転が常に変化するインバーター機でしかも流量制御に電子膨張弁を使用していれば尚更わかりません。
なので秤を使って規定量を入れ直すしかないんです。
メーカーのサービスマンでも補充でごまかすことがよく行われてますね。
ガス漏れ調査に行くと「去年メーカーでガス補充してもらいました」なんてよく聞く話です。
直さないで補充ってどうなんでしょう。
ガス不足が発覚したら(場合によっては漏れた原因を特定、修理してから)規定量を入れ直すというのが本来のやり方。
安易な”ガス補充”はやめたほうがいいと思います。
引越しの下請け工事業者の中にはガスを入れるポーズだけして補充代を請求するなんてとんでもない話も聞いたことがあります。
「ガスが足りてないんで補充しましょう!(へっへっへ😁)」なんて具合。
本当に入れたかどうかなんて後には証明できないですからね。
http://kato-aircon.com/
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