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2020年2月 2日 (日)

室外機と室外機は1セット?

取り外した室外機を知り合いにあげたいとの相談をいただきました。

先方の室外機が調子悪いようでそれを交換しようとお考えのようです。

はたしてそれは可能なのでしょうか。

昔、日本が経済発展を遂げ、まだ周辺のアジア諸国が遅れをとっていた頃、処分されたエアコン(クーラー)を他の国で再使用していることをよく聞きました。

それも寄せ集めなので室内機と室外機が別のメーカーなどとかなりアバウトだったようです。

昔のエアコンはそれが可能だったということですね。

なぜそんなことができたかというと制御の仕方に理由があります。

まずはこれをご覧ください。
一定速機の室外機電気配線
これは昔よく使用された室外機電気配線を図にしたものです。
各社だいたいこんな感じでしたね。

ケーブルは4心(4線)のもので室内機と接続されています。

コンプレッサー、ファン、四方切替弁(冷暖房切替弁)へ1線ずつ計3本で配線され戻りは共用1線で賄っています。

この方式は室内機のリレーで各機器をON・OFFし電源電圧をそのまま印加するため室外機の構造が単純で、室内機が他のメーカーであっても方式が同じであれば運転できました。

ただし室内機と室外機の冷暖房能力がちがうとバランスを保つことはできません。
また電気容量も考える必要があります。

それさえクリアできればなんとかなったわけです。

しかし現在はどうでしょう。

よく修理などで室外機に付いている基板をお客さんに見せると
「へぇー、こんなふうになってるんだー」
と電子制御基板が搭載されていることに驚かれます。

これ、
エアコンの制御基板に搭載されているマイコン
エアコンの制御基板に搭載されたマイコンです。

室内機と室外機の両方の基板にマイコンがついて
室内機と室外機がシリアル通信
互いにシリアル通信しています。

指令を出したり、状況を伝えたりといろんなことをやりとりしているわけです。

ただし、この信号は機種ごとに異なります。

機種がちがうと・・・
例えば日本語を知らない異国の人にいくら話しかけても通じません。
またその逆も通じません。

それと同じで通信が成り立ちません。

もしかしたら指令とはまったく違う動きをするかもしれませんね。
実際にはシリアル信号エラーなどで全く動かないのが普通です。

これでは使えません。

それならコンプレッサー、ファンなどの機器に基板を通さず直接電気を投入したら動くんじゃないの?・・・

残念ながらそれもムリ。

シリアルでやりとりするようなエアコンではコンプレッサーやファンはインバーター制御されていて100Vや200Vを直接印加することはできません。

四方切替弁にしても現在では省エネのため起動時に数秒DCで電圧をかけ冷暖房を切り替えるタイプもあるのでこれもだめ。

冷媒の流量制御も電子制御でお手上げ。

単なるリレーのON、OFF制御じゃないんですねぇ。

ということで省エネ性能を追求しマイコン制御が全盛の現在では室内機と室外機の組み合わせを別のものにすることはできません。

同じシリーズでも冷暖房能力が異なっていてはいけません。

室内機または室外機を取り替える必要がある場合は全く同じ機種でなければならないのです。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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