交流から直流への変換実験
インバーターという言葉は多くの方がご存知と思いますがコンバーターというのはどうでしょうか。
ホームセンターやカー用品店でもインバーター電源とかは売ってますね。
インバーターは一般向けには直流を交流に変換して家庭用電気製品を使えるようにするものが多く出回ってます。
エアコンでは主に室外機の中でコンプレッサーを回すために使用されています。
ならばコンバーターとはなんぞや?
はいこれは直流の電圧を変えたり(DC-DCコンバーター)、交流を直流に変換するもの(AC-DCコンバーター)をいいます。
エアコンのインバーターは電源50/60Hzの電気をコンバーターで一旦直流にしてそれを再度インバーターで任意の可変周波数に作り直しコンプレッサーを回しコントロールしているのです。
ではコンバーターはどのようにして交流を直流に変えるのか、先日の修理で出た撤去基板があるこの機会にパーツを拝借し基本回路でその実験をしてみます。
波形を見ながらやろうと思うので
この簡易型オシロスコープを使います。(以下オシロ)
オシロの画面をカメラで撮るとよく見えないので本体で保存した画像を使用します。
この部品は整流ダイオードともいいますね。
取り外したダイオードスタック
端子は左から+、~、~、-となっています。
この”~”(交流のマーク)へ交流を加えると”+”と”-”から直流を取り出すことができます。
なお、”+”と”-”へ直流を入れても”~”から交流は出てきませんのであしからず😄
ここで詳しくは書けませんが中に4つのダイオードがブリッジ接続されています。
実験にはまず交流電源が必要ですね。
コンセントの100Vを直接使用するような危険な事はできませんので
自作の実験用変圧器を使用します。
この変圧器から今回は13Vを出して使います。
(ロータリースイッチよるタップ切替式)
周波数はコンセントと同じ50Hzです。
ではまずダイオードスタックの交流入力に電源から来た13Vを接続し、同じところへオシロのプローブもつなぎます。
はやい話がオシロで電源変圧器から来た電圧波形を見ようということです。
変圧器で100Vから13Vへ降圧されてますが波形は変わりませんので。
では正弦波の波形です・・・
あれ?なんかサインカーブというにはちょっと微妙ですねぇ😅
やっぱりこのへんが安ものオシロです。
まあいいか。いいものなんて買えません。
画面高さの真ん中あたりが0Vで上がプラス側、下がマイナス側となります。
時間は左から右へと流れています。左端を0とすると右端が0.12秒です。
正弦波交流なので山のようにプラスへ、そして極性反転してマイナスの谷へと連続的に繰り返しているのがわかります。
ではこのときダイオードスタックの出力はどうでしょう。
プローブを出力側へつなぎました。
どれどれこれできれいな直流が・・・
山の連続・・・険しいなぁ
でもこれで正常なんですよ。
ここで前の交流波形と重ねてみてみましょう。
オシロの機能で以前の波形と重ねて表示できます。
ピンク色の波形が入力側の正弦波交流。
こうするとピンク色の谷が水色の山へと反転したのがわかりますね。
マイナス側が無くなって山だらけになったわけです。
上がったり下がったり激しいですが極性反転しないのでこれも直流。
このような整流の仕方を全波整流といいます。
(ほかにダイオード1コだけで行う半波整流というのもありますが正弦波のマイナス側にあった谷が消えてその部分は0Vフラットになるため山と山の間隔が広くなり扱いづらくなります)
でもこれでは電圧変動が大きくて使い物になりません。
きれいにならして直流らしくしたいですね。
だれもが一度は見たことのある・・・そんなことないか😁
エアコン用なので容量も大きく1200μF×2つ。
でもこんな大きな容量を使うと危険。
うちにあった100μFの小さなものを使います。
コンデンサは加える電圧が上昇の時は電荷を蓄え(充電)、電圧が降下し始めると電荷を放出(放電)する性質があります。
この特性を利用すると波形はこうなります。
一瞬、”波形はどこ?”なんてなりませんでしたか?
横一直線にきれいに平滑されてこれぞ直流って感じです。
前の波形と重ねます。
全波整流波形の山のてっぺんがそのまま横一直線の直流になってますね。
コンデンサの作用で山のデコボコが埋められました。
電源が約13Vの正弦波なので山のてっぺんは約18V。
だいたい18Vの直流です。
エアコンの電源100Vの機種では全波整流して平滑すると141Vになります。
でも実際に室外機を開けて実測すると280V強程度になっています。
なぜでしょうか?これについてはまた別の機会へ。
割と簡単に直流に変換することができました。
ではこれをそのまま機器に使用できるのでしょうか。
最後にその実験をします。
小さな負荷に見立てた抵抗を接続します。
これも転がってた適当な抵抗220Ωです。
さてどうでしょう。
これをリップルといいます。
変化する電圧をリップル電圧。
これも全波整流の波形と重ねてみましょう。
なんとなくわかりましたかねぇ。
220Ωの抵抗をつなぐ前は抵抗の高いオシロしかつながってなかったためほとんど無負荷でリップルは発生しませんでした。
しかし負荷となる抵抗を接続するとそこで電気を消費するため小さなコンデンサの容量(電荷を貯められる量)では放電量が不足し大きなリップルとなります。
しかも結構な発熱量。
やばい、早くやめないと破裂しそう💣
これでは使えませんね。
なぜエアコンでは大きく高容量のコンデンサが必要なのかこれでなんとなくわかるのではないでしょうか。
ちなみに半波整流の場合は山が全波整流の半分になって間隔が広がるのでリップルも更に大きくなります。
ちょっと長くなりました。これで今日の実験を終了します。
http://kato-aircon.com/
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