実験。コンバーターの倍電圧整流
先日こちらで交流を直流に変えるコンバーターの実験を行いました。
それに引き続き今回は”倍電圧整流”です。
すみません、電気回路が苦手な方にはちょっと難しい内容です。
前回の実験で交流を直流に変換し平滑すると交流電圧の最大値がほぼ直流の電圧になることがおわかりになったかと思います。
エアコンに搭載されているコンバーターからは直流約280V強の電圧が出ます。
インバーターで使用するにはこれくらいの電圧が必要。
でもエアコンで100V電源の場合、交流の最大値は約141V程度。
これでは直流もこの程度の電圧しか出せませんね。
まずは普通の全波整流回路を見てください。
基本回路はこんなふうになっています。
これが前回の実験で使用した回路。
左の交流電源が100V(実効値)であれば右の直流出力は約141Vです。
この直流をオシロ(オシロスコープ)で見てみましょう。
コンセントの100Vをそのまま使うのは危険なので実験用電源を使用し1/10の交流電圧10Vで行います。
(実際には10V強出てますが😅)
すると
交流電圧(実効値)の√2倍(最大値)に近い14.5Vの直流が見えます。
(交流が10V強のため14.1より0.4V大きくなっています)
例えば電源の交流電圧を倍にすれば出力する直流電圧も倍になります。
エアコンで言えば電源200Vにすればインバーターに使用できる直流約283Vが得られます。
でもそれではエアコンは全部200V電源でないと使えませんね。
それとも大きなトランスを搭載して200Vに昇圧するか・・・そんなコストかけられません😆
そこで使用されるのが倍電圧整流回路。
これはエアコンでよく使用される倍電圧整流回路
これは部分的な基本回路です。
これを実際に作ったのがこれ
実験なのでかなりテキトウ😅ですが回路は間違いありません。
そして今度は同じ交流10Vを加えこの倍電圧整流回路を通してオシロで見ると
前回の波形(?)もピンク色で同時に表示。
倍の29Vになってますね。
たったこれだけで倍電圧になりました。
どうしてこうなるのか・・・🤔
先ほどの倍電圧整流回路からコンデンサを外します。
直流出力側の1線を”a点”としました。
今度はこのa点を基準にオシロで見てみましょう。
これでどうなるでしょうか。
波形を見てみます。
あれ~、なんか山と山の間に平坦なところがありますね。
これを半波整流といいます。
では-側はどうでしょう。
波形は
おっとこんどはさっきと逆に谷と谷の間に平坦なところがあります。
ここに+側の波形を表示させると
交流電源の正弦波になりました。
なのでプラス側の山のてっぺんは14.5V。
そしてマイナス側の谷の底は-14.5V。
あ、わかっちゃいました?
プラス側半波整流波形にこんどはコンデンサを付けたときの波形を表示すると
平滑され14.5Vの直線になりました。
+と-の直流同士は
このように互いに29Vの電位差が生じています。
これが倍電圧になる仕組みです。
この原理で電源100Vのエアコンでも室外機の中のコンバーターには直流280V以上の高電圧がかかります。
開けると”!高電圧注意”や”直流300V注意”などと注意喚起してあります。
触ったらエライこっちゃです。
詳しい方は倍電圧整流回路を見てブリッジダイオードである必要はないことに気付いたかもしれません。
ダイオード2個でもできますね。
しかしエアコンではブリッジダイオード(ダイオードスタック)を使っています。
万一のときコンデンサ保護になるためでしょう。
ということで今回も実験終了です😊
http://kato-aircon.com/
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