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2019年10月25日 (金)

台風の影響でガス漏れ

先日の台風19号の風で室外機が移動してしまいガスが漏れたとの依頼をいただき伺いました。

場所は東京都世田谷区です。(他店施工)

室外機がこちら
ガス漏れした室外機
特に動いたような感じはありませんが・・・

ご自身で元の位置に戻したそうで。

突風で180度回転するように手前側へ移動して配管化粧カバーも割れてしまいそれも新品に取り替えたとのこと。

しかし室外機を戻したときにパイプの根元からシュー・・・と泡のようなものが出てガスが漏れたそうです。

バルブを見るためカバーを外して
ガス漏れした室外機バルブ付近
下側の接続ナット付近で漏れた痕跡がありますね。

これはコンプレッサーを潤滑しているオイルです。

鏡を使って下側から見ると
接続ナット付近で変形した銅管
銅管が根元で変形してます。

やはり太いほうの管なので曲げ伸ばしにはあまり耐えられません。

バルブを上から見てみると
バルブが曲がっている
曲がってますね。

風で動いた際にかなり強い力で引っ張られたようです。

場合によっては室外機内部の銅管に亀裂が入っているかもしれないのでライトを使って点検。
漏れた跡はなく問題なさそうです。

ガスは完全に空っぽでした。

銅管の修正作業に入る前に電線を外して・・・
室内外連絡電線が細く接続もあまりよくない
う~ん、あまりよくありませんね。

室内外機の連絡電線(主にコンプレッサーへの電源供給)に1.6mm径を使ってます。
工事する人は材料費が安上がりでこれを使ったんでしょうが、お客さんにしてみれば電気の損失(電線で熱になる)が大きくなるので迷惑な話です。

電線のシース(ねずみ色の外皮)の剥ぎ取りもちょっと長いですね。

それはさておき銅管を切り取りました。
切り取った接続部付近の銅管
2分管(上のバルブへ接続)と3分管(下のバルブへ接続)の両方を切りました。

片方だけでは長さが合わなくなるのと、漏れのなさそうな2分管もガスを入れたらやっぱり漏れてたなんてことのないように。

しかし3分のナット(フレアナット)がどうしても取れない。

新しいナットで接続することにしました。
新しいフレアナットを使用
画像ではナットがすでに入ってますがここまで入れるのも一苦労。

銅管の使用年数に加え今回の室外機移動で曲げ伸ばしされ変形した状態でかなり硬化してます。

ナットを少し入れては銅管修正を何度もしてやっとここまで入りました。
ふつうはここで手を放すとナットが断熱材に押されて抜け落ちますが固定されて動きません。

この程度入れば銅管を広げるフレアツールという工具がセットできます。

銅管を接続したら電線もむき直して
室内外連絡電線のむき直し
おっと、銅線にちょっと酸化被膜のようなものがありますね。

なんとなく接触抵抗が増えそうです。

磨いて・・・
電線を磨いたところ
これで安心。

接続完了
冷媒サイクル内を真空引き
続いて真空引きを行います。

ガスを入れる前に一旦冷媒サイクル内を真空乾燥しないといけません。
空気や水分が残っていると運転時に異常高圧になったり、水分が凍って詰まったり、内部を劣化させたりします。

ちょっと時間がかかりましたが
ポンプ能力の真空度に到達
ほぼ真空。

エアコン設置時に室内機とパイプだけ真空引きするのとは異なり室外機内も引くので何倍も時間がかかります。

”ほぼ真空”というのは完全な真空には到達できないため。
真空ポンプの設計到達真空度を超えることはできません。

でもこれだけ引ければ十分。

ある程度まではゲージ上で真空度がわかりますが、ポンプの音で判断したほうが確実です。
(ポンプのモノによっては音で判断できないこともあります)

ガスチャージ
エアコンへガスチャージ
秤を使って行います。

圧力計を使ってガス量を測ると思いました?
残念ながら圧力でガスの量は測れません。かなりアバウトになってしまうのでエアコンが不調を起こします。

マニホールド(画像、室外機の上に乗っているもの)からのホース類を真空ポンプからボンベへとつなぎ直しさらにホース内を真空引き(短時間)するので再度別のホースをポンプにつなぎます。

このときまちがってもエアコン側に空気が入らないようにします。
せっかく時間をかけた真空引きがやり直しになりますからね。

さらにガスを入れる際にマニホールドのバルブ操作をまちがえると真空ゲージや真空ポンプを壊します。

慎重に操作。
秤を見ながらエアコンにガスが入っていくのを確認します。

しかし途中で入らなくなりました。

このエアコンのガスの封入量は1.2kg。
0.8kg位入れたところでそれ以上入らなくなってしまいました。

理由はエアコン側とボンベの圧力が均等になったため。
こうなると待てど暮らせど入りません。

”仕方ないアレをするか・・・”

室外機のサービスポート(真空引き、ガスチャージ、圧力測定するポート)が低圧になるようにエアコンを試運転モードにしました。

コンプレッサーの力を借りて吸入してもらいます。

マニホールドのバルブを微調整して(画像ボケてる😅)
マニホールドのバルブを微調整
ボンベからのガスの流量をマニュアル操作で調整します。

まかり間違ってもバルブを開け過ぎてはいけません。
コンプレッサーを破壊します。

ガスの流れる音とバルブの状態を見て
ボンベからの流量調整で凍るサービスポート
サービスポートが凍っています。

ボンベから出た液状のガスが気化しているんです。

ガスがどの部分でどんな状態なのか想像しながら微妙にバルブ調整・・・ゆっくりとチャージされていきます。

規定量に到達
エアコンガス規定量封入完了
チャージできました。

ある程度かたづけをしてから
リークディテクタでガス漏れ確認
リークディテクタでガス漏れ検査しました。

ついでによくある室内機熱交換器からのガス漏れもチェック。

漏れ反応なし。大丈夫そうです。

エアコンを運転して温度測定もOK。

これで完了
ガス漏れ修理完了

これからは風が強いとき室外機まわりに重しになるようなものを置くそうです。

これまでの規模を上回る異常な気象が次々に起こるので要警戒ですね。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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