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2019年2月 1日 (金)

なつかしのエアパージ(今は禁止)

お客さんからブログネタにどうぞとこんなものを見せていただきました。
昔の本体ガスによるエアパージ
本体のフロンガスR22を放出してエアパージする説明書です。

エアコンは工事完了間際に室内機やパイプの中の空気を抜いてから室外機のバルブを開放し管内(冷媒サイクル内)に空気や水分が残らないようにします。

現在では“真空引き”といってポンプで空気を引き抜く方法が用いられます。

しかし昔のエアコンは画像のように本体に入っているフロンガス(フロン22)を放出して空気を追い出す方式がメーカー推奨のもと行われていました。

真空ポンプはもちろん当時から在ったわけですが、いちいち準備する手間を省く意味あいがあったのだと思います。

本体ガスによるエアパージであれば準備もなく5~10秒程度で済んでしまいます。慣れてくれば放出の秒数ではなくガスのニオイでパージが完了したことが判るようになります。

いま新しいエアコンでこのようなパージをしても熱交換器の造りが複雑で空気が抜けきらないでしょう。

でもお客さんは一流メーカーがこのようなことを書いていたことに驚かれておりました。

今ではフロンガスを空気中に放出することがいけないことだと皆さんご存知だと思います。
一時は「真空引きしてくれますか?」と問い合わせで聞かれることもありました。

でも遡ること20数年前まではフロンガスを放出することは何の問題もなく、それどころか人畜および環境にも無害で何にでも使用(冷媒、洗浄、スプレー缶などのガス、断熱材の発砲などなど)できて開発した人はノーベル賞ものだと賛美されるほどのものでした。

なのでメーカーもこのような説明書を付けてましたし、講習のテキストにはフロンガス開発者の肖像画と共にもちあげて掲載するほどでした。
(いまはさすがに消してるでしょう)

当時は撤去するエアコンなどもいちいちポンプダウンをせずにガスを放出することも普通に行われ、機種によってはバルブがない(ワンショット接続など)ため外すと必ず全量放出してしまうものもありました。

ただ人畜無害といっても一台分のガスを一気に放出すると酸欠でクラクラと気が遠くなったものです。

自動車のエアコン(フロン12)だってガスが漏れて毎年補充している車が多かったと思います。

しかし、調査研究などで地球の上空で太陽からの強い紫外線を緩和しているオゾン層をフロンガスが変化して破壊していることが判明。
オゾンホールが大きくなり影響が叫ばれるようになってたちまち極悪ガス扱いとなりました。

まあ、完璧なものなんてないですよね。こういうもんです。
いま世の中で安全と思われているものだってどうだかわかりませんよ。

エアコンに使われていたフロン22(R22)はその後オゾン層を破壊しないR410Aへと置き換えられました。

それまで使用されていたR22の特性があまりにもよかったため幾種類の候補からR410Aの採用に踏み切るにはメーカーなど相当悩んだようです。

結果R410Aが選ばれたのですが、これの難点はガス圧が高くなるため本体の材質、工具や材料などに変更を要したこと、そして温暖化係数が高いことです。

温暖化係数はルームエアコン一台分のR410A(約1kg)で二酸化炭素(CO2)に換算して3.6トン分に相当します。

エアコンは施工不良や本体不良、劣化などによりガスが漏れてしまうことがありますが、全体でみれば毎年かなりの量が知らないうちに漏れて空気中に放出されていることでしょう。

その後さらにR32というガスへ置き換えられました。それまでの二種類の混合冷媒であったR410Aから単一冷媒になり温暖化係数が低く1/3程度になりました。

それとは引き換えにガス圧が更に高くなった(少しですが)こと、これまでの冷媒と異なり燃性があるため火気注意となりました。

R410Aが採用された当時の講習で燃性のあるガスは却下されたと聞きました。

エアコンはこれまでも圧縮機によるディーゼル爆発事故の事例がありますがR32とあいまって危険が高くなることもあるのではと考えています。

おっと、かなり話がふくらんでしまいました。

むかしはフロンガスを放出してもよかったという話でした。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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