« 2018年11月 | トップページ | 2019年1月 »
前回につづき、もう一台のエアコンを見てみます。
どうしてこうなったのか不思議に思いましたが、建物の塗装などを直す修繕工事のときになってしまったそうです。
少し画像を大きくしてみましょう
黄色の直線と見比べるとかなりのものです。
熱交換器と室外機のシャーシとなる底板がともに変形。
この先考えられる故障として、ガス漏れ、異音、電線噛み込みによるショートや漏電などが挙げられます。
使用年数も考慮し再使用はやめたほうがよいと判断しました。
お客さんにはその旨説明して納得していただきました。
ちなみに修理をするとかなりの高額になるでしょう。
かなり大きな外力が加わったことが想像できます。
マンションなどの大規模修繕工事でエアコンを壊されるのは珍しいことではありません。
ガスが抜けた、壊された、パイプがグニャグニャになった・・・などしょっちゅうです。
「じゃまだなぁ、エイッ!」とぞんざいに扱ったり、「オッ、ちょうどいい踏み台」と乗っかって作業したり、新しいエアコンだったらたまったもんじゃありません。
修繕をおこなったところに修理を求めたようですが返答はなかったそうです。
修繕工事の時はできることなら室外機を取り外したほうが安全です。
ということで残念ながら二台とも処分となりました。
雑な工事というのは物だけではなく、いろんなところへ損害を与えます。
http://kato-aircon.com/
横浜市にて引っ越しに伴うエアコン移設の依頼をいただきました。(有り難うございます)
一台移設の依頼でまずは取り外し工事に伺ったのですが・・・
訪問してみると二台エアコンがあり、どちらか一台を再使用するとのことでどちらを持って行くか迷っているようです。
結果は二台とも移設はやめたほうがいいという判断になりましたがその理由は・・・
― 1台目 ―
全体の見た目も素人っぽい工事
お客さん曰く、エアコンクリーニングを頼んだら落ちそうになっているから断られたとのこと。
室内機の据え付け板が壁から取れかかって落ちそうになっているのかと思いきや、そうではなくて本体側が割れているようです。
室内機(据付板)を固定する公団ボルトが見えてますね。じつはこれが原因のようです。
ポンプダウン(ガス回収)を終えて室内機が落ちないようにパイプ類を慎重に取り外して室内機を降ろします。
いままでこの室内機はカーテンレールとパイプで支えられていた状態で、質量の軽いタイプだから持っていたようなものの、重いタイプだったらとっくに落下事故になっていたと思います。
据付板は
窓枠にのってしまっているのでこれではまともに付きません。
公団ボルトが低い位置にあったため、そのまま工夫せずに取り付けてしまったのでしょう。
機種により長く出ていても干渉しないものもありますが、このエアコンは
背面のボルト位置が浅めのためボルトがおもいっきりあたります。
本体はプラスチックで柔軟性があれば本体裏が凹んだりするのですが当機種は硬めのプラ。
本体の重量が力となりボルト先端が支点となってテコの原理で上部引掛け部に作用し耐えられず割れたようです。
ボルトを短いものに交換するなり、それなりに対処すればこのようなことにならなかったはずです。
これではもう取り付け工事はできません。
次回(その2)でもう一台も移設とりやめになった事例をUPします。
http://kato-aircon.com/
日立のルームエアコンには他社とは異なる断熱材が付属してきます。
室内機から出ている銅管(冷媒管)にはすでに他社同様の断熱材が巻かれているのですが、さらにその周囲に付属のもので補強するようになっています。
他のメーカーでは断熱材ではなく防湿テープを付属していたり、中には何もついてこない強気なメーカーもあります。
とくに銅管を本体背面に通す施工の場合は周囲に結露が起きやすいのですが、防湿テープでもある程度は防ぐことができます。
でも防湿テープは屋内専用でパイプが屋外に出る貫通部には使用できません。テープが不織布のようなもので出来ているので雨水がしみ込んでしまいます。
その点、この手の断熱材は屋外への貫通部でも問題なく使用でき、断熱効果も大きく結露の心配がありません。
13年前に当店で取り付けた日立のエアコン
入替工事で撤去しているところ。
本体の断熱材の周囲に付属の断熱材が巻いてあります。
日立さんはこの断熱材を昔(30年以上前)から同梱していますが、時間と労力を惜しむ工事人は使わず持ち帰って捨ててしまいます。
他業者が付けたエアコンを取り外しに行って巻いてあるのはほとんどありません。
お客さんに余った部材を見られると困るため、工事説明書と一緒に隠して処分してしまうのです。
中には持ち帰った断熱材を別のお宅で不足したところに使ったり・・・
他の業界と同様、手抜きはなくなりません。
ヘタするとこの断熱材の使用目的を知らないエアコン屋がいるのも事実です。
http://kato-aircon.com/
不要になったエアコンを撤去に伺いました。
この部分だけを見ても全体がどんな工事されているか想像が付くというものです。
これではパテを盛り過ぎで、エアコンを撤去後にフタを付けても周囲にこびりついて汚らしい感じになってしまいます。
スクレーパーでこすっても完全には取りきれません。
取り外し工事を進めていくと想像通り、室内機と室外機を結ぶ電線もメーカー指定(2.0mm)より細い1.6mmが使用されてました。
その他各所もいろいろありますがキリがないので省略して。
素人さんですか?って感じです。
ネジの中に使用禁止されているネジ込み式ボードアンカーも見えますが使用方法すら不正。
これだけ止めてあると電動ドライバーを使用しても時間がかかるのですが、それに加えてネジは石膏ボードに打っているだけなので一本も効いておらず、空回りして抜けてきません。
お客さんには「落ちなくてよかったですね。」と伝えましたが、世の中のエアコンにはこのような落下予備軍がたくさん設置されています。
もう勘弁して~
雑な取り付け工事は取り外すのも手間がかかります。
ネジの種類はバラバラなので、どこかから外したものを適当に集めて再使用したのでしょう。
そのとき付いたら「後は知らん」という工事人のお座なりな感じがひしひしと伝わってきます。
大抵のお客さんはこのようなことになっているとは知らずにいるのでしょうね。(知らぬがホトケ)
ということで作業終了。
話は変わりますが・・・
外したエアコンは珍しいタイプでした。
換気と排水を同じ管で行うタイプ
以前、”換気ブーム”だった時のエアコンで、シャープさんが開発した換気とドレン排水を同一の管で行うタイプです。
普通は換気と排水は別の管で二本に分けて行うようになっています。
記憶によるとシャープさんは”五空”という名称で換気機能の付いたエアコンを他のメーカーより早く出して、換気機能付きエアコンブームの火付け役となりました。
この同一の管で行うタイプはそのブームの末期頃に出たものだと思います。
施工性は悪く、引っ越しなどでエアコンを移設するたびにメーカー純正部品を取り寄せる必要があるなど費用面でもよくありませんでした。
今となってはあの細い管で換気なんて無理があるような気もしますが、換気音がうるさくて使用しない人のほうが多かったのではないでしょうか。
エアコンに付いている付加機能のほとんどは使い物にならずその時の流行ものなのでそのうち消えます。
と私は思っています。
http://kato-aircon.com/
以前にもブログにUPしていますが、200Vのエアコンを購入するにあたり注意することがあります。
このことはエアコンのカタログなどには多分出ていないと思います。
電力会社との契約容量(アンペア契約)に関するお話です。
エアコンは冷房能力が4.0kW(14畳用)以上のクラスになると200V仕様のものが多くなります。
(今回は200Vが分電盤まで引き込まれているものとして話をすすめます。)
電源側から供給される電気は3本の線で、L1、N、L2となっていてL1-N間とL2-N間は共に100V。L1-L2間は200V(L1-NとL2-Nの和)です。
それが電力会社のリミッタ(電流制限器=電力会社との契約アンペア)を通り、漏電遮断器を介して小ブレーカへと分岐されています。
スマートメーターへ切り替えが済んでいるお宅ではリミッタは付いていません。メーター側がその役割をしています。
小ブレーカに分岐しているところの配線を切り替えることで機器へ加わる電圧(100V、200V)を切り替えています。
ここで、エアコン100V最大電流15Aを二台、200V最大電流15Aを一台導入したとしましょう。
(最大電流は多くの場合、暖房時に出ます。)
わかりやすくするため漏電遮断器、小ブレーカや他の機器は省いて示すと
このように電流が流れます。
※交流なので実際はめまぐるしく方向が入れ替わっていますが、それではわけがわからなくなってしまうため、便宜上このように直流と同じように表して考えるのが通例です。
3台のエアコンはそれぞれフル回転で最大電流が流れているものとします。
リミッタのところではL1とL2に30A、NはL1とL2の負荷平衡が取れているため0Aで流れません。(理論上)
例えば上側(L1側)の100Vエアコンを一台停止させるとその回路の電流は消えて不平衡となりリミッタのL1は15Aに減り、Nには右向きで15A流れます。(この時L2は変化しません)
話は戻りまして図のリミッタには30A流れるので40Aの契約をすれば余裕があるな。と思ったらそれは大間違い。
このリミッタ(電流制限器)というのはL1とL2の和で動作するようになっています。(Nは検知しません。)
そのため200V機器は100Vの2倍電流が流れていると検知されます。
L1+L2=30A+30A=60Aが流れていると判断するのです。
フル回転時は60A契約でも一杯です。
ここが普通のブレーカーと異なるところ。
電流制限器といっても実は電力を制限しているともいえます。
この電力は消費電力のワット(W)ではなく皮相電力のボルトアンペア(VA)。
交流の消費電力は小難しい計算が必要ですが、皮相電力は単純に直流と一緒で電圧(V)×電流(A)です。
60Aの契約は6000VA(6kVA)と同じ。あくまで100Vで60A使えますよということです。
なので図の皮相電力は(100V×15A)×2台+(200V×15A)=6000VAとなります。
契約容量は宅内に引き込まれた電線の太さなどで上限が決められているので「よく落ちるから60Aに上げよう」などと簡単にはできないことがあります。
エアコンを選定購入されるのはお客さん自身の判断なので間違いのないようにしましょう。
http://kato-aircon.com/
横浜市都筑区でのエアコン工事です。
こちらのお客さんは15年程前より何度もお世話になってます。毎度ありがとうございます。
ここは賃貸住宅で8年前に当店で4台設置したのですが、そのうち一台がランプが点滅して動かなくなったため新品への入れ替え工事です。
まずは設置されている状況を室内機から見てまわり、最後に外から室外機とパイプを・・・
あれ?室内機の付いてる壁と外に出ているパイプの壁が離れてる。
室内に戻り、別の部屋のクローゼットを開けると
こうだったっけ?
8年も経つと以前どういう工事をしたかなんて覚えてないですね。
テーピングで仕上げてありますが、普通のエアコンのパイプとは異なりきれいに見えませんか?
実は室内側と屋外側の穴の高さが同一で排水勾配が取れない設計になっているんです。
賃貸住宅なので勝手に穴を開け直すことはできません。
そこで少しでも勾配を確保して水漏れリスクを減らそうと筒を巻く方法をとったのです。
記憶はなくともここまでやるのは私で間違いありません。
室内側は穴の上のほうに、屋外側は穴の下のほうにパイプを配置して1/100程度の勾配をとっています。
また、この方法により物の出し入れの際にパイプにぶつかっても曲がって勾配がくずれることはありません。
窓のある壁に室内機が付いているので、てっきり穴の後ろは外だと思ってました。
― 取り付け ―
なお、ここは2階で外部は地上から梯子をかけて作業しています。
(室外機は1階地面に設置)
樹脂の筒は曲がりもなく再利用してテーピングします。
正面から見て
以前と同様、室内側から屋外側へ排水勾配をとっています。
ドレンテストも問題ありませんでした。
8年前に4台取り付けた中でたまたま一番大変なところが故障とはなんとも・・・。
修理も可能だったとは思いますがお客さんから連絡をいただいたとき、すでにエアコンを購入されていたので点検などせず工事をおこないました。
今回もご依頼いただきありがとうございました。
http://kato-aircon.com/
川崎市内にてエアコン工事。こちらは当店で以前工事を行ったお客さんからのご紹介で依頼をいただきました。(有り難うございます。)
工事内容が難しいようなので見積もりを兼ねて下見に伺いました。
どういうわけか配管カバーが残されたままです。
こちらはコンクリートの分譲マンションです。
はじめは前の居住者が壁にネジ穴が開いているため外さずに残したものだと思いました。
カバーがグラグラだったので取ってみると・・・
パイプが通っています。
別の部屋のエアコン用配管が通っています。
あちゃー😵。これはかなり無理がありますね。うまく配管カバーに収まらないかもしれません。
本来であればもう一つ別に穴を設けて配管するのが普通だと思いますが、どうしてこういう設計になったのでしょう。
今回取り付けるエアコンは冷房能力6.3kWで5.6kW以下のパイプと異なり冷媒管はφ12.7mm(4分管)仕様と太いので余計に収まりが悪い。
お客さんには最悪の場合、テープ仕上げになることも念のため伝えておきました。
― 取り付け工事 ―
まずはダメになっていた配管カバーの部品を一部交換。
元から付いていたものは変形して保持力がなくなっていたので交換。
これから施工する新しいパイプが少しでも通りやすいように天井面の開口を広げて既存のパイプを端に寄せました。
カバーも切り込みを入れましたが、以前より強度が残せるように加工しています。
4分の銅管を手曲げでカバーに収めるのはほとんど不可能なためベンダーを使用しました。
室内機との接続部がもう少しずれていればカバーに収めるのは不可能だったでしょう。
こればかりは運。
銅管を溶接してしまえば接続位置をある程度自由に、しかも細くできるので収めやすくなりますが、新品のエアコンなので本体の改造となり故障の際にメーカー保証が受けられなくなる可能性が高くなります。
ドレン勾配もすべて確保して排水に問題ありません。
過去ここにあったエアコンの配管結露による水漏れの跡が壁に残っていたので、カバー内のパイプには防湿テープを巻きました。
もちろん穴にはパテ埋めを施します。
マンション建築時の設備設計がしっかりと未来を見据えていないと後になって面倒なことになります。
先行配管などはその最たるもので、単にパイプが見えなくてカッコイイなどの理由で敷設すると居住者が痛い目を見ます。
また、どうしても先行配管を敷設する必要のある状況では、それなりの知識と経験をもった者が施工しないと一度きりしか使えないような配管をされてしまうことがあります。
http://kato-aircon.com/
世田谷区にて15年程前に当方で取り付けたエアコンが故障したので新品へ入れ替え工事です。
撤去する前の写真は撮り忘れました。
室内機を取り外した後の状況です。
15年も経つと当時のことはほとんど覚えておらず、はて、こんなに柱(左)ギリギリに付けたかな?と思ったら耐震補強で柱を太くしたそうです。
建物は鉄筋コンクリート構造です。
壁から室内機を固定していたアンカーボルトが2本出ていますが、おそらく15年前に当方で打ち込んだものだと思います。
マンションなど集合住宅の居住者であればアンカーを打ち込むのは許可が下りず難しいのですが、こちらはお客さんが建物のオーナーなので問題ありません。
2本のアンカーは公団仕様の45㎝幅で打ってあるので、どのメーカーでも合うようになっています。
でも、壁から出ている配管とボルトの位置関係は機種によりまちまちで、同じメーカーでも合わないのが普通です。
今回は三菱重工(ビーバー)から三菱電機(霧ヶ峰)への交換ですが、同じ三菱でもまったく別物。
しかも、このアンカーの位置では左の柱にぶつかって室内機が付きません。
アンカーを打ち直すという方法もありますが、できれば躯体への穴を増やしたくありません。
そこで室内機を取り付ける据付板(鉄の板)に壁のアンカーの位置に合わせて穴を開けました。
数センチ左に移動したところに開けました。
これで配管穴ともうまく合います。
でも・・・
据付板に開けた穴のところは室内機背面が浅くなっていてアンカーボルトがあたります。
本来の位置であれば本体背面が深く加工してあるためあたりません。
このまま取り付けると据付板が曲がって室内機が手前にせり出したり、背面が凹んで割れてしまう可能性があります。
このアンカー
ボルトが取れるタイプではないので打った後では長さ調整できません。
ピン打ち込み式アンカーは施工も楽で安価ですがこういうとき不便ですね。
アンカーの打込んである壁の上半分は躯体コンクリートの梁でモルタル仕上げの上に珪藻土が塗られています。
そのため壁は石膏ボードと異なり硬くてナットでガッチリ固定できます。
ならば・・・据付板と壁の間にワッシャーを入れて5mm程度浮かして付けることにしました。
これで背面にあたりません。
こうしないと室内機が手前におじぎしてしまいます。
アンカー付属のナットでは厚みがあって合わなかったのですが、お客さんが薄いナットをお持ちでしたので使わせていただきました。
室内機は軽量なタイプなので十分です。
アンカーを打ち直しせずになんとかなりました。
入れ替え工事はこういうことがよくあるので気が抜けません。
それとパイプ、電線類はもちろん新品に取り替えてます。
http://kato-aircon.com/
マンションによくあるこの部分
メーターボックスとかパイプシャフトなどと呼ばれるところ。
今回はご覧の通り、この部分にエアコンのパイプが横切ります。
(まだ施工途中でパイプや電線をテープ巻きしていません)
ユニークな設計ですね。
画像の左上の穴が部屋へとつながっているのですが、この壁は防火区画になっています。
火事の際に延焼防止のため火炎が出ないように塞ぐ必要があるんです。
ここをエアコンのパテや耐火パテで塞いでも、パイプ類が燃えてしまえば穴が開いて延焼は防げません。
いざ火事になればこういう穴からは火炎放射器のように火が吹き出します。
このパテは熱で膨張するようになっていて断熱材やドレン管などが燃えてなくなってしまっても穴が塞がるようになっています。
実際は穴の周りに付いているスリーブと共に認定品である必要があります。
他のマンションなどでは防火区画貫通処理材を自費で用意して取り付けるように注意書きがあるだけですが、こちらではなんと穴の中に処理材が準備されていました。スリーブも認定品と思います。
なんと親切な・・・
これも買うと結構なお値段しますからね。
付属の説明書に従ってパテ埋めしました。
いまはこういう処理材も施工が簡単です。昔はめんどうなのが多かったですから。
でも爆発的に燃えたらパテがすっ飛んでしまうような気がしますがどうなんでしょうね。
マンションでは通路側の壁なども防火区画の場合があるので建物の説明書に従って貫通部処理材が必要になることがあります。
http://kato-aircon.com/