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2018年12月18日 (火)

200Vエアコン選定の注意

以前にもブログにUPしていますが、200Vのエアコンを購入するにあたり注意することがあります。

このことはエアコンのカタログなどには多分出ていないと思います。

電力会社との契約容量(アンペア契約)に関するお話です。

エアコンは冷房能力が4.0kW(14畳用)以上のクラスになると200V仕様のものが多くなります。

(今回は200Vが分電盤まで引き込まれているものとして話をすすめます。)

分電盤の中は
分電盤内の配線の図
このような配線になっています。

電源側から供給される電気は3本の線で、L1、N、L2となっていてL1-N間とL2-N間は共に100V。L1-L2間は200V(L1-NとL2-Nの和)です。

それが電力会社のリミッタ(電流制限器=電力会社との契約アンペア)を通り、漏電遮断器を介して小ブレーカへと分岐されています。
スマートメーターへ切り替えが済んでいるお宅ではリミッタは付いていません。メーター側がその役割をしています。

小ブレーカに分岐しているところの配線を切り替えることで機器へ加わる電圧(100V、200V)を切り替えています。

ここで、エアコン100V最大電流15Aを二台、200V最大電流15Aを一台導入したとしましょう。
(最大電流は多くの場合、暖房時に出ます。)

わかりやすくするため漏電遮断器、小ブレーカや他の機器は省いて示すと
単相三線の電流の流れ
このように電流が流れます。

※交流なので実際はめまぐるしく方向が入れ替わっていますが、それではわけがわからなくなってしまうため、便宜上このように直流と同じように表して考えるのが通例です。

3台のエアコンはそれぞれフル回転で最大電流が流れているものとします。

リミッタのところではL1とL2に30A、NはL1とL2の負荷平衡が取れているため0Aで流れません。(理論上)
例えば上側(L1側)の100Vエアコンを一台停止させるとその回路の電流は消えて不平衡となりリミッタのL1は15Aに減り、Nには右向きで15A流れます。(この時L2は変化しません)

話は戻りまして図のリミッタには30A流れるので40Aの契約をすれば余裕があるな。と思ったらそれは大間違い。

このリミッタ(電流制限器)というのはL1とL2の和で動作するようになっています。(Nは検知しません。)
そのため200V機器は100Vの2倍電流が流れていると検知されます。

L1+L2=30A+30A=60Aが流れていると判断するのです。
フル回転時は60A契約でも一杯です。

ここが普通のブレーカーと異なるところ。

電流制限器といっても実は電力を制限しているともいえます。

この電力は消費電力のワット(W)ではなく皮相電力のボルトアンペア(VA)。

交流の消費電力は小難しい計算が必要ですが、皮相電力は単純に直流と一緒で電圧(V)×電流(A)です。

60Aの契約は6000VA(6kVA)と同じ。あくまで100Vで60A使えますよということです。

なので図の皮相電力は(100V×15A)×2台+(200V×15A)=6000VAとなります。

契約容量は宅内に引き込まれた電線の太さなどで上限が決められているので「よく落ちるから60Aに上げよう」などと簡単にはできないことがあります。

エアコンを選定購入されるのはお客さん自身の判断なので間違いのないようにしましょう。

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http://kato-aircon.com/

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