意味不明な据付説明書
エアコンを新品で購入すると必ず据付説明書が同梱されています。
その中におかしなことが書いてあるのですが、今回はコンセントとブレーカーに関することに触れてみます。
あるメーカーの説明書の内容に定格15Aのエアコンには15Aのエアコン専用コンセントとそれを保護する15Aの配線用遮断器(ブレーカーのことです)を設置するように指示があります。
一見、もっともなことを書いてあるように思えますがちょっとおかしい・・・
電気の配線や器具(総じて電気工作物)の設置方法は内線規程という書に従って行うことになっています。
そこには15Aのコンセントは15Aもしくは20Aの配線用遮断器で保護する旨の記載があります。
これが配線用遮断器ではなく昔のヒューズであれば15Aヒューズで保護しなければなりません。
なぜヒューズでは15Aでなければならず配線用遮断器は20Aでもよいのか・・・
配線用遮断器は感度がよく、ヒューズの15Aと配線用遮断器の20Aの動作特性が同じではありませんが近いためです。
現在、どこのお宅でも15Aのブレーカーが付いてるところは稀でしょう。上の写真のようにほとんど20Aが設置されています。
もちろんもっと大きな電気器具を使っているところでは配線も太くなって30Aのブレーカーが付いている場合もあります。
説明書はどうして15Aブレーカー指定なのか気になったのでメーカーさんへ他の見解(規定)があるのか確認してみました。
― 以下のやりとりは要約しています。 ―
当方「貴社製造の定格15Aのエアコンには15Aのブレーカーでなければだめですか?」
メーカー「20Aでは過負荷保護になりません。」
当方「過負荷保護???、内線規程と異なりますね。おかしくないですか?」
メーカー「詳しい部署に確認して折り返します。」
数日後
メーカー「ブレーカーは15Aでも20AでもOKです。」
20Aでも問題なしとのこと。
説明書には一例を載せているからと言っていましたが、私にはそのように見えません。
はじめ問い合わせたときに過負荷保護(エアコンの)という言葉が出ていましたが、工場などのモーター直結の単独回路では過負荷保護を兼ねてブレーカーを選定、設置しますが、家庭用エアコンでブレーカーにそこまで期待するのは無理があります。
あくまでも短絡(ショート)や過電流から電気工作物(配線)を保護する目的と捉えるべきでしょう。
例えば消費電力の小さな扇風機の過負荷保護がブレーカーでできるかと言えばNOです。また機器内で保護できなければ製品として販売することはできないと思います。
エアコンの過負荷保護もその機器内の安全装置や回路で考えるのが普通ですし、現にそのようになっています。
もしこれが15Aのブレーカー限定となった場合、ほとんどのお宅(新築でも)でブレーカー交換が必要になります。我々工事屋は儲かっていいですけどね。
また見方をかえて、もし15Aコンセントは15Aブレーカーでなければならないとしたら、一般に流通、設置されている15A20A兼用コンセントの存在を否定することになってしまいます。(詳しい説明は省きます)
どのメーカーも据付説明書の電気に関する記載は不明確なところがあり、室内外機の連絡線の選定にしても内線規程などに従う部分ですがメーカーごとに見解が異なります。
エアコンの配線工事は本来、電気工事士が行うべき部分なので混乱をまねくような中途半端な説明書きは不要! と言いたいところですが電気の知識もなく工事を請け負ってしまう人がいるのも事実で難しいところなんでしょうかねえ。
http://kato-aircon.com/
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