量販店でも専用回路が必要に
近頃多い問い合わせに「量販店でエアコンを買ったけれどエアコン用のコンセントがないので工事を断られた。」というのがあります。
エアコン用コンセントは一つの専用のブレーカーから分けることなく単独で配線され一口の受口(コンセントなど)のものを指し“専用回路”といいます。
当店では開業当初よりエアコン用コンセントがなければエアコンを設置しないことにしています。
(エアコンの設置工事と共に専用回路を増設する場合は問題ありません。)
当時は頭の固い変な工事屋と思われたこともあったでしょう。
以前の某有名賃貸住宅では専用回路擬き(エアコン用に設置されたコンセントなのに専用回路ではない)のコンセントが設置されていて、建設および管理側に電話で問い合わせても「法律には書いてない。容量15Aのエアコンなら問題ない」と認めなかったためどうしようもなく例外として一部エアコンを設置したことはあります。
それでも最近は改めて少しずつ専用回路に直し始めているようです。大量に住宅を管理しているので一挙には無理でしょうね。
内線規程等にはエアコンのような大形電気機械器具には専用回路を設置するように記載があります。
私が学生時代に使用した電気工事士教科書(昭和59年版)を見ても同じ内容を示す当時の内線規程の抜粋が出ています。
知る限り30年以上前からエアコンの据付説明書にも「電源は専用回路を使用すること」になっています。
30年前といえば日本は異常なほど好景気でエアコンが各家庭、各部屋へ普及していく時代。
夏ともなれば家電量販店は大量にエアコンを売り、下請け工事人は大忙しで1日に5~7台設置するのが当たり前。
そんな中で容量15Aのエアコン(普通のコンセントの形状)は専用回路がなくても延長コードを使ったりして最寄りのコンセントからつないでもOK。というエアコン工事業界(元請け会社筆頭に)の都合のいい常識みたいなものがありました。
当時の建物はエアコン用のコンセントが設置されている住宅は少なく、いちいち専用回路を増設していると仕事にならないという判断です。
また下請け業者は電気工事業の登録はおろか電気工事士の資格さえない者が9割以上の時代。
畑違いの人がエアコン下請け業者になり、中には公務員をやめてエアコン工事屋になった人もいました。
元請け会社は電気工事業未登録の者に平気でエアコン工事や電気工事を請け負わすことをしていました。
(現在でもこれは・・・)
このような状況下でまともな工事ができるはずがありません。専用回路を使用しないことによる発火、火災が増えていきます。
一日にこなす台数が減っても長らくその悪しき風習が受け継がれてきました。
さすがにこれでは危険と量販店などに御上から通達が来たのでしょう。
いまではどこの量販店もコンプライアンスと称して専用回路がなければエアコンを取り付けてくれません。
いままで遵法精神を感じさせない施工を散々してきたのにいきなりコンプライアンスと言ったと聞いたときは思わず吹き出しました。
まあそれが本来あるべき形で今までが“エアコン業界村”だっただけです。
ご自宅でいままで床上のコンセントからエアコン電源を取っていたから新規に入れ替える際もそれで・・・というのは現在では通りません。専用回路を増設することになります。
でもこのコンプライアンスという言葉は度を過ぎると安全を通り越してただのバカ正直なってしまう懸念もあります。
難しいですね。
http://kato-aircon.com/
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