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2018年6月23日 (土)

ルームエアコンでも時には配管溶接

ルームエアコンの工事で冷媒管を途中で接続する場合、溶接する作業はほとんど見ないと思います。

業務用エアコンを扱ったことのない工事屋さんはユニオンという部材を使用して接続します。
冷媒管接続用のユニオンとフレアナット

ユニオンは双方にフレアナットを使用して銅管を中継接続することができます。

狭い点検口の中など火を使えない場所ではこれを使用して接続するのが安全です。

ただし、こうしたメカニカルな接続は隠ぺい配管など壁の中に埋め込んで点検できない場所では絶対に使ってはいけません。何年もしてからガス漏れすることがあります。

今回の工事は7.1kWのルームエアコン設置で、配管が長く径も太いため一本モノのパイプでは通すことができず途中で接続が必要になりました。

そこで今回は溶接で接続します。

溶接は“あぶり不足”でロウがまわらずガス漏れしたり、“あぶり過ぎ”で銅管を溶かしたり、ロウが泡立ったりするのである程度の経験が必要です。

確実な溶接ができればその後何年経ってもガス漏れを起こすことはありません。

作業場の様子
溶接前の作業場の様子
手前に窒素ボンベがあります。

「窒素で溶接するの?」 いえいえそうではありません。
管内に酸素があると溶接の熱で内面にススが付き真っ黒になります。

新品のエアコン設置なので窒素でパイプの中を満たしてススの発生を抑えます。“窒素ブロー”とも言います。

ちなみにこの程度の溶接箇所でススが出たとしてもエアコンに影響はありません。念のためということで・・・。

業務用エアコン(特にビル用マルチ)では溶接をたくさんするので窒素ブローは必須です。
ススが付かないようにするスプレーもあります。←これはイマイチですが。

窒素はガス屋さんに詰めてもらうと15MPa(150㎏/㎠)程度圧力があるのでそのままでは使えません。
窒素ボンベに付けたレギュレーター
レギュレーター(調整器)を使います。

もちろんボンベ直で使うツワモノなどいないと思いますが。

窒素レギュレーター
レギュレーターの2次側はハンドルの調整で任意の一定圧力に保つことができます。

続いて溶接
銅管の溶接
溶接中の写真を撮れるほど器用ではありません。もう一本手が必要です。

溶接するところの周りは雑巾を濡らして火炎や熱の影響を受けないように養生します。

手前にあるのが溶接器。酸素(黒いボンベ)には窒素と同じように酸素用のレギュレーターが付いています。

溶接完了。
冷媒管の溶接完了
雑巾で表面のススを拭き取り、ミラーを使い目視で仕上がりを確認します。

はいこれで絶対に漏れません。
ユニオンより確実。丈夫で長持ち

銅管の溶接はロウ付けで行いますが、ロウを流し込んだ後に更に強度を上げるためフィレットといって盛りを付けます。

2分管は細いのでカットの仕方やあぶり過ぎ、ロウの流し過ぎで管が塞がってしまうことがあるので加減が必要です。

また同じところをあぶり過ぎると銅管が溶けます。パイプの太さに応じた火力調整(可燃性ガスと酸素の量)と吹管(スイカン)を持った手は常に均一に熱がまわるように動き続けていなければなりません。

火口(ヒグチ:炎の出る先端部分)と母材の距離も状況に応じて変化させます。

ロウ付け時、銅管は800℃程度になりきれいなピンク色に輝きますのでしっかり冷ましてから保温材を巻きます。
銅管を冷ましてから保温とテーピング

ユニオン接続と異なり仕上がりがデコボコしないのも良いです。

室外機も設置して完了した様子です。
作業完了の様子
溶接箇所は配管化粧カバーの中です。

別の角度から
作業完了の様子、別の角度から

溶接作業は安全に行う必要があります。ガスを扱うのはもちろんですが、母材やロウ材も高温になります。

左手の人差し指と親指の間には二十代の頃にロウが銅管から垂れて陥没した跡が残っています。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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