船のエアコン修理
うーみーはー ひろいーなー おーきーなー っと
今回は船(クルーザーというみたい)に搭載されている海外製エアコンの修理でコンプレッサー交換を行いました。
場所は横浜ベイサイドマリーナ。広々していて気持ちいいです。
といっても船のエアコンの修理は初めてです。なので事前に保険屋さん(生命保険ではありませんよ)に問い合わせて適用外ではないか確認してから請けました。
現地に着くとすでにエアコンユニットが外されていました。
さっそく作業開始。
上にある四角くループになったところは熱交換器で二重管構造になっていて内側を冷媒、外側を海水が流れる仕組みのようです。
このユニットには四方切替弁が付いているので冷暖房ともこの仕組みで熱交換するようです。
これはあくまでも熱交換のみで海水を室内機へ送るのではありません。一般のエアコンの室外機がファンにより風をあてて大気で熱交換するのに対しこちらはポンプで海水を送り行っています。
雑巾のようなものがありますが作業の火炎で周囲にある補器類(圧力スイッチなど)に熱がまわらないように水にぬらしてかけています。
写真では見えませんがパイプにはヒートブロックという冷却材も付けています。
コンプレッサーのパイプを脱着するため溶接機を準備。
ブタンガスと酸素でお気軽な溶接機です。
アセチレンを使用しないので軽くて酸素を使用するので火力は強力です。
全体に白い塗装が施されていますがそのまま火炎で焼き飛ばしてロウを溶かして引き抜きます。
故障しているコンプレッサーを外したら新しいものに入れ替えます。
製造がすでに終わっているようで入手に苦労されたそうです。
コンプレッサーをセットして今度はロウ付け作業。
いつものごとく作業に熱中して途中の写真がありません。
先ほどの吸入管と吐出管のほかにもう一本、サービス用のポート(今回は使用しません)があるのでピンチオフした単管をロウ付けして塞ぎます。
溶接作業が終わって窒素で漏れがないか加圧。低圧部もあるのであまり高圧力をかけてはいけません。15kg/㎠(約1.5MPa)で確認して漏れなし。
溶接したところを担当の方が白色に塗装して本体を船内にセットしました。
室内機へとつながるパイプのフレア接続部分はかなりあやしい状態ですが、フレアナットが外れずパイプもかなり硬いためとりあえずそのまま締めます。
でもやっぱりガス漏れ。
太いパイプはどうにもフレア加工ができない状況なので躊躇せずパイプを切断
念のためと思い持ってきてよかった。
エキスパンダーという拡管器もありますが、この太さのパイプはセージングツールのほうがきれいに広がります。
新しいパイプを継ぎ足してロウ付け
船内機械室での作業なので周囲に熱の影響がないように養生して行います。
このような狭い環境では火炎の方向にも注意する必要があります。
うーん、船の揺れが気持ちいい。私は船酔いはしないので心地いいです。
フレア接続
元から付いていたフレアナットはどうしても外れないのと対辺幅が日本とは異なるので交換しました。
細い管のほうは何とかフレア加工だけでいけました。
真空引きを行って。
なつかしい昔の三方弁。
操作さえ分かっていれば現在のものより扱いやすい弁です。
ただ・・・弁のスピンドルキャップが・・・樹脂製でガス漏れが起きやすいかもしれません。昔の日本のものはキャップが金属でガス漏れ防止に銅のOリングが入っていました。
ガスチャージ
しかし風が出てきて船の揺れで目盛りが安定しません。
一瞬安定するときを見計らって充填完了。
ガスはR22で当方からも準備して伺いましたが担当の方から提供されたものを使用しました。
もうR22を使う機会もないので今回思い切ってボンベを返却することにしました。
冷房運転でしばらく圧力測定
このR22用マニホールドも久しぶりに使用します。
低圧4.5kg/㎠、高圧13.5kg/㎠。
担当の方から冷房温度はOKとのこと。はじめ高圧カット(ハイプレッシャースイッチ)が作動しましたがその後は順調。
高圧カットするほどの圧力でもなく、普通のR22のエアコンでは28(28.5)kg/㎠が高圧圧力スイッチの設定なので問題ないでしょう。(付いているものは塗装などで仕様がみえません。)
回路の接触不良や圧力スイッチのボケがあるのかもしれませんがその後再発しませんでした。
ようやく作業終了。メインのコンプレッサー交換よりもその他の作業のほうに時間がかかりました。
しばらく潮風にあたりながらのんびり夕涼みしてから帰投しました。
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