エアコンの力率ってなに?(2)
先日も力率について触れましたが、今回はどうして交流ではこのようなことが起きるのか見てみたいと思います。
電熱器(電気抵抗で熱を発生する器具)や白熱電球に家庭の100Vコンセントから電気を流すと
このようになります。
波形の演算と作図は“十進BASIC”を使わせていただいております。
縦軸は電圧、電流、電力の大きさと向きを表し、単位(大きさ)は見やすくするためそれぞれ任意に変えてありますが電圧[V]と電流[A]を掛けたものが電力[W]です。
式で表すと
有効電力[W]=電圧[V]×電流[A]
となり直流と同じですね。
電圧と電流が0より下になってもマイナス(電圧)とマイナス(電流)を掛けるのでプラス側の電力になります。
0から電力波形の振幅の大きさを平均(中央)したところが有効電力[W]です。
このように抵抗だけの負荷であれば直流と同じように容易に計算できます。
問題となるのはコイルやコンデンサを使用した器具でモーターや電子部品を使用するエアコンはこれに該当します。
例えば前回と同じ力率85%の波形を見てみると
こうなります。
何が起きているかというと電圧よりも電流が遅れて流れています。力率85%はarccos0.85≒31.8°のずれが生じています。関数電卓をお持ちの方は簡単に算出できると思います。
(見えないかもしれませんが方眼の横軸1メモリ90°です。単位は一般に馴染みのある角度degreeを使用しています。)
交流の電気ではコイルを使用すると電圧より電流が遅れて流れ、コンデンサを使用すると逆に電圧より電流のほうが早く流れます。電圧が0Vのときに電流が流れたり、電圧がかかっている方向とは逆に電流が流れたりとへんてこりんな動きをしています。
この状況で電圧と電流を掛けると図のような電力波形になって全体が前の図と比べて下がっています。
この電力波形だけを見て振幅の下辺(もしくは上辺)から平均(中央)までが皮相電力[VA]となって、0からその平均値までが有効電力[W]となります。
式では
有効電力[W]=電圧[V]×電流[A]×力率(0.85)
=皮相電力[VA]×力率(0.85)
となります。
電圧と電流の向きがプラスとマイナスで互いに逆になっているときは電力がマイナス側になって消費されず電源側へ返ってしまいます。
力率は電圧と電流のズレから生じているものであることがおわかりいただけたでしょうか。
エアコンの力率が悪いと何に影響するかまたの機会に触れてみたいと思います。
http://kato-aircon.com/