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2018年2月26日 (月)

エアコンの取り外し工事をすると・・・

川崎市宮前区にてエアコンの取り外し工事依頼をいただきました。有り難うございます。

 

 エアコンの取り外しは取り付けよりも使用する道具も材料も少なく簡単です。だからといって何も考えずに取り外しては自身の成長はありません。他の工事屋さんがどのようなことをしているのかを見る大切な機会です。またその結果起きる問題なども勉強になります。

 

 今回は取り外し2台ですが記事がこれほど長くなるとは思いませんでした。お暇がありましたらご覧ください。

 

1台目は
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こちら冷房能力2.8kWです。

 

 パッと見で配管がナナメに穴までショートカットしていて丁寧さが感じられません。

 

室外機は、
180225_02
手前が先に取り外す2.8kWです。

 

 新品を購入されて取り付けたにしてはパイプの仕上がりがイマイチです。全体的にメリハリがなくヨレヨレな感じで工事に対する真摯さが伝わってきません。いろいろ出てきそうな予感・・・

 

 手前の室外機は取り外し準備のため配管や電線の接続部についているカバーを取り外してあります。

 

近づいてみると
180225_03
はい、出ました電線のむき過ぎ。

 

 電線(ケーブル)の外装シース(灰色)をむき過ぎて中身の黒白赤が見えています。昔これで漏電しているお宅がありました。

 

 それとパイプがつながっているバルブ部分に電線が接触するルートで配線されていますが、暖房時の熱による絶縁物の劣化もあり得ますのでよくありません。

 

電線接続部のカバーを外します。
180225_04
これだけ長くむかれています。

 

 本来は写真にあるラインのところまで外装シースが必要で、カバーをかけたときにシースごとケーブルを挟んで押さえる設計になっています。

 

 エアコンは2台とも同じ工事人が取り付けしています(工事を見ればわかります)ので、もう一台も全く同じ状況です。
 電気工事士の資格すら持っていないことがうかがえます。電気工事士の試験にエアコンは出てきませんが、外装シースはどこまでむくのが適当かは実技試験の前に基本的なことを習うはずです。

 

 現状の動作確認が済み、室外機にガスを回収するポンプダウンを行いました。
 こちらの2.8kWのほうは取り外し前のチェックで配管温度を計測したところガス不足などの可能性がありました。しかし短時間の計測で確実ではないので取り付け後にしばらく様子を見ていただき不具合があれば修理が必要になるかもしれないことをお客さまへはお伝えしてあります。

 

パイプに巻かれているテープ
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巻き方が上下逆です。

 

 テープは雨水が中に入らないように下から上へ巻き上げるのが本来ですが、上から下へと逆に巻かれています。理由は簡単、施工の流れから上から下へ巻いたほうが早くて楽だからです。

 

テープをはがします。
180225_06
巻き取ります。

 

 テープを時間短縮のためにカッターナイフなどでサーッと切ってはがす人がいますが、配管の断熱材が切れて銅管が露出してしまったり、電線にキズをつけたり、時には室内機本体に付いている排水用のドレンホースまで切れてしまいメーカー純正の部品交換になることがあります。
 取り付け時に補修を要することがあり、非常に迷惑な施工方法です。

 

室外機の配管を外したら
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ボンネットとフレアナットで封止します。

 

 当店では必ずこのボンネットを室内機と室外機の双方配管接続部に取り付けています。これは新品のエアコンを購入したときに付けられているものと同じです。

 

室外機の接続部は
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このようになりました。

 

 エアコンの冷媒管内には異物が入らないようにする必要があります。銅管に付いていたフレアナットにボンネットを付けて取り付けます。万一のバルブ不良によるガス漏れやオイル漏れも防止できます。

 

今度は室内側の配管を外します。
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テープ類をはがします。

 

 配管に巻くコーテープをはがすと内側に防湿テープが巻かれています。しかしここに巻くテープではありません。防湿テープは外面に巻くもので、表面の結露を防止する目的で使用します。内側に使用しても断熱効果はほとんどなくあまり意味がありません。

 

 防湿テープを取ると断熱材を固定するビニルテープなどは巻かれておらず隙間だらけになっています。断熱材はしばらく使用していると縮む性質があるため、ビニルテープなどでしっかり固定していないとこのように隙間ができて大量の結露が発生します。

 

配管を外したら室内機を下して電線を外します。
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やはり室外機と同じでシースは長くむかれています。

 

 電線押さえ(バンド)が役に立っていません。

 

しかもこのアース線
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線の巻き付け方が逆。

 

 固定ネジは右回しで締めますのでアース線も右巻きにしなければなりません。これでは電気工事士の実技試験で落ちます。

 

取り外し終わったら穴をふさぎます。
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お客さまで外部は穴のフタはお持ちでなかったので相談し今回はパテでふさぎました。

 

一台目が終了し次の2.2kWへいきます。
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脚立に上って絶縁抵抗を測定した際になんとなく手前に傾いている感じがしました。

 

左から見ると
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上のほうが壁から離れています。

 

 こちらの建物は室内機据え付け用のボルトが壁に付いているので落ちる心配はしませんでしたが、どうしてこうなっているのか気になります。

 

室内機を外すとこのようになっています。
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この2本のボルトナットで固定されていました。

 

 旧公団が規格した幅で取り付けられていてエアコンをしっかりと支えることができます。

 

しかし、
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ボルトが長すぎます。

 

 長すぎるボルトは室内機を取り付けた際、本体背面にあたってしまいます。今回はそれで据付板を歪めて手前に傾いていました。

 

室内機背面
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このようになっています。

 

ボルトのあたっていたところは
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よく見えませんが跡が残っています。

 

 ボルトのあたっていた部分は凹んで周囲も歪んでいます。ヘタをすると割れてしまったり、水漏れをおこしたりします。

 

 ルームエアコンの工事しかしたことのない人は全ネジカッターを持っていない(業務用エアコンではよく使用します)ので対処できなかったと思いますが、このような場合は既設のボルトを抜いてお客さまへ渡し、持参した全ネジボルトを適応できる寸法に切断し差し替えるのが本当です。(このボルトは抜き差しできるように壁の中にナットが埋め込んであります。)

 

そして取り外し完了。
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 取り付け工事の不備はすべてお客さまに説明をさせていただきました。他県へお引越しされるとのことで当店エリア外となります。よい取り付け業者さんにあたることをお祈りいたします。

 

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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