昔のエアコンは長持ちした。(電気回路)
お客さまと「昔のエアコンは長持ちした。」、「実家のエアコンはもう何十年も使っている。」など現在のものと比べて昔のエアコンのほうが長寿命であったという話題がよくでます。
その理由のひとつとして構造が単純であったことがあげられると思います。またこれが一番の理由になるかもしれません。
先日、旧型のエアコンを撤去する機会がありましたので、その電気回路を見てみます。
まずは端子台から、
電線の接続の仕方がちょっとアレですがそれはさておき4本の線で接続されています。
この線は室内機側の端子台へも接続されています。
現在のインバーターエアコンではごく一部を除き3心(3本線)で3本のうち2本を電源用交流100Vまたは200V、残り1本と電源用の1本を共用しシリアル信号で内外機の連絡や指令をやりとりしています。
上のほうにある“SAP-・・・”なつかしいサンヨー製のエアコンです。電子制御基板はありません。
わかりやすくすると、
各端子が何につながっているか記載しました。
コンプレッサー、ファン、四方弁のそれぞれ単純に電灯線100V(AC100V)を印加すれば作動します。
室外機を別のメーカーや機種に変えても配線を合わせれば動きます。そのため昔は日本で廃棄したエアコンを海外でいろいろ組み合わせて再使用している話をよく聞きました。
現在のインバーターエアコンでは内外機間のシリアル信号が機種ごとに異なっていてこのようなことはできません。保護装置も盛り沢山で異常があるとすぐ検知してエラーを出して停止します。一定時間内に同じ異常を何回繰り返すとエラーを出すという場合もあります。
ファンモーターの内部は温度ヒューズが内蔵されていると思いますが、そのほかはありません。
このオーバーロードリレーは過電流を検知するのではなく、コンプレッサーの上部に貼り付いていて高温異常を検知するもので、ガス不足などで温度が異常に上昇した場合に機械的なバイメタルスイッチのようなもので回路を遮断します。そのため一度このリレーが働くと冷えて復帰するまでの数時間は起動しません。コンプレッサーが動かず冷暖房が効かないだけでエラーも出さず室内機は通常通り運転します。
点検で早く冷やすためにうちわでコンプレッサーをあおいだ記憶が懐かしい・・・
いまでは半導体のサーミスタがコンプレッサーの吐出管についていて高温異常を検知し室外機のマイコンからシリアル信号で室内機のマイコンへと伝えますので、作動すると室内機がエラーを出し停止します。
昔(ノンインバーター)のエアコンは部品点数が少ないため故障も少なく、なにより室外機に電子制御基板が搭載されていないことが長持ちに寄与したのだと思います。
http://kato-aircon.com/
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