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2017年11月30日 (木)

引越しでしてはいけないガス補充。

Gas_hoju

 エアコンを引っ越しなどで移設したときに工事屋さんから「ガスを補充したほうがいいですよ」と勧められたことはないでしょうか。

 しかしルームエアコンで正確にガス補充をすることはできません。いまだに車のエアコンと同じような感覚でしている人がいるようです。

 “圧力計でわかるのでは?”と思われるかもしれませんが、エアコンのガス圧は室内温度、外気温度、室内機風量、室外機風量、冷媒(ガス)流量制御、コンプレッサー回転数、機器ごとの特性、その他の要因で時々刻々変化するので不可能に近いと思います。

 エアコンを数回移設した程度では、きちんとポンプダウン(取り外し時にガスを室外機に戻すこと)をして取り付け時に真空引きをすれば、バルブなどの不良箇所が無い限り、通常はガス不足に至るほどガスは抜けません。

 またガス不足に至るほど移設をすることはエアコン本体が工事上、耐えられないでしょう。

 もっとも深刻なのは補充によるオーバーチャージで、電気をたくさん使ったりコンプレッサーを傷めたりとエアコンの寿命を縮めてしまうことがあります。

 では万一、明らかにガス不足が判明した場合は補充をするか?と言えば、答えは“NO”です。

 ルームエアコンにガス補充はヒートポンプサイクルのアンバランスをもたらします。

 ガスが不足したら補充ではなく全量を秤を使ってエアコンの機種ごとに定められた規定量で入れ直すことになり、これが一番確実で安全な方法です。もしもエアコンに不調があっても規定量にすることでわかることもあります。

 ガス補充をしてよいのは、取り付け施工時にチャージレス配管長(ガス補充をしなくてよいパイプの長さ)を超えたとき、メーカー仕様書に記載された補充量を正確に秤(はかり)を使って入れる場合です。

 普通のエアコン工事屋さんでは修理やメンテナンスまでの知識がないので、エアコンが効かないとすぐに“ガス不足”と安直に考えますが、そうではない機器の不具合ということも考えられます。それを知らずにガス補充でごまかしたりすると、のちにもっと重症になるケースもあります。

 エアコンは“工事人にしかわからないこと”、“修理人にしかわからないこと”がありますので、一人の者が双方の経験と知識を持ち合わせ一連となってはじめて現場でのエアコン技術者といえるのではないでしょうか。

 ガス補充は簡単に利益を上げられるので多用されているところがありますが、中にはガスを入れている“ふり”という悪質な場合もあるようです。

「ガス補充をしたほうがいい」は熟練技術者の使う言葉ではないと思います。

Katoairconservice_mark160
http://kato-aircon.com/

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