フロンガス過去の栄光、そして現状
多くのエアコンではフロンガスを冷媒としてシステム内を循環しています。
フロンガスと聞くと現在ではオゾン層破壊、地球温暖化と悪役のイメージがすっかり定着しました。
まだ私がこの業界に入ったころはこのようなことは誰も知らないことでした。
当時エアコンの講習などに行くと「フロンガスを発明した人はすごい!」「ノーベル賞に匹敵する」とそれはもう持ち上げられ、奉られて発明者は写真(絵?)付きで講習用テキストの初めのほうに大きく載っていました。
人畜無害、無臭、不燃性と言われエアコン、冷凍機、冷蔵庫、半導体などの洗浄、スプレー缶のガス・・・と様々な物に使用されました。(ただし大量に吸うと酸欠になったり、火に触れると毒ガスが出ます。)
しかし数年後、太陽からの紫外線を軽減しているオゾン層を破壊しているものがフロンガスだったと判明すると途端に悪役へと転じてしまったのです。(家庭用エアコンでは”R22”という種類になります。)
完璧と思われていたものが知らずのうちに地球規模の被害をもたらす悲しい結末となってしまいました。(温暖化係数も高い)
その後、試行錯誤ののち”R410A”というオゾン層を破壊しないとされる冷媒が開発されて新製品に採用され入れ替わって行きました。
講習ではこのR410Aも完璧なものではないため”とりあえずのつなぎ”というような説明もありました。このガスは温暖化係数が非常に高くルームエアコンに充填されている量でも二酸化炭素に換算するとなんと3,600㎏(3.6t)に相当します。
これでは地球温暖化という観点からは使い続けられるものではありません。
そして近年採用されているものが”R32”です。「環境にやさしい」というフレーズで紹介されていると思いますが、あくまでもこれまでのフロンに比べてというもので、温暖化係数は高くルームエアコン1台分のガスで二酸化炭素換算1,200㎏(1.2t)相当です。そのうえR32は微燃性でそういった面の安全性はまだわからない部分もあります。
またR410AやR32は圧力が高いためエアコン本体が持たずに穴が開いてしまいガスが漏れるケースが多くなっているのも現状です。
バランスの取れた特性でオゾン層を破壊せず温暖化係数も低い、しかも無害で不燃という冷媒が開発できれば良いのですがいまのところ無理なようです。
http://kato-aircon.com/
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